死んだふりをしたら、友人の本音を聞いた話
本間和也。どこにでも居る高校生だ。2年になって友人ともそこそこ上手くやっている。でも、3人組になると、必ず余る。会話に入っていけない。
(……嫌われてんのかな?)
グループチャットで盛り上がる友人達は楽しそうだ。何だかムズムズした。このまま友人が離れてくんじゃないかって思ったからだ。
(死んだふりしてみようかな)
グループチャットを抜けて、SNSに【自殺】を仄めかす投稿をした。
《しんどい。死にたい。つらい》
書いたら心臓がバクバクしてきた『いいね』を押した人の本意は分からない。でも、少しずつ自殺を止めさせる様なコメントが湧いた。
(弱い人には優しい言葉を掛けてくれるんだな)
等と思ってたら、引用で《死ぬ気もないくせに》とか《死にたいなら一人で死ね》と送ってくる人も沢山湧いた。
(や、止めろよ……軽い気持ちで書いたのに……)
多くの言葉に酔ったから、一杯の水をゆっくり飲んだ。軽い気持ちで死を扱うと炎上するのか。
──電話が掛かってきた。
声の主は友人達だった。彼らは順番に話す。
「もしかして、お前の好きな子の事をバラしたのがショックだったのか。ごめん!」
ん。初めて聴いたけど。許さないよ?
「この前貸して貰ったゲーム画面を落として、傷つけたことが原因か?」
……、絶許。
みんな、酷いや。
友人は自分のことなんか考えてなかったんだ。
なら、1回。
死んでみる!
しばらくSNSを放置して、親を装い《和也は亡くなりました》と投稿した。疑う人も信じる人も居た。電話にも出ないでいた。
友人達のSNSに、自分のことが話題になる。
「アイツ、自分から話しかけない奴だったな」
「そうそう。何考えてたのか分かんなかった」
「なんで死にたかったんだろう?」
……。
そんなふうに思われていたのか。別に死にたいわけじゃないけど、課題は見えた。問題は、復活の仕方だ。
(嘘だって言ったら、信頼失くすよな……)
勘の鋭い友人は「構ってもらいたいだけだから反応しないほうが良いよ」と冷静に書き込んでいた。
──自分から話しかけない奴
──何考えてるか分からない奴
これをクリアしないと、今後友達の和の中に居るのは難しいだろうな。まだ修正が効くうちに。
「ごめん。生きてる。寂しくて構って構文を書いた」
そう書いたら、批判がたくさん来た。凹んでいたら、友人がグループチャットを誘ってくれた。
勇気を出して「自分から話しかけること」をしてみた。思いのほか、友人と会話が弾む。
(こんな……簡単なことだったのか)
何事も、受け身は良くないのだなと、学んだんだ。もし同じような人に出会ったら、教えてあげよう。
おしまい。




