表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣達の鎮魂歌外伝~復讐者の物語~  作者: 悠介
暗殺者の弟子として

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/40

第三十七話 合流

「よし、お前はこれで生き延びたか、あの大尉がビーネルのあった村で過ごしてたって言ってただけはあるな。」

「あ、師匠、おかえりなさい。」

「この子が……、俺達と同じ……。」

「えっと、貴方達は?」

 一回寝て、トイレに起きて、今は午前か午後かの六時だ、って言う時間に、師匠が戻って来た。

 私が干し肉だけで生き延びたかどうかのテスト、に関しては合格らしい、って言っても、あの頃、村にいた頃、レーションだけで生きていた頃に比べれば、干し肉なんて言うお肉のぜいたく品を食べられれるんだから、量が少なくても、ある程度はお腹にたまるわけだし。

 それよりも、師匠が連れてきた四人の人、って言うのがいる、男の子が三人、女の子が一人、私と同い年くらいの子から、ちょっと年上の子がいる、年齢的には、十二歳が一番上位だと思う、村にいた頃の、年上の小学生はこれ位、って言う大きさの子が一人いる。

「俺、俺は……、えっと……、ネイ……。」

 ドン!

「てめぇは馬鹿か?Mと名乗れって言ったと思うが?」

「ご、ごめんなさい……。えっと、俺はMです……。」

 師匠が、十二歳くらいの一番大きい男の子、ちょっと色が黒めで、私達の村みたいに、日の光を浴びない生活、はしてなかったんだと思う男の子を、思いっきり蹴り飛ばした、男の子は、暗がりでもわかる位に涙目になりながら、名乗った、それは私も一緒なんだろう、Kって名乗らないと、師匠に蹴り飛ばされてたのは私だったと思う。

「私は、えっと、Kです。」

「僕は……、Lだよ。」

「うちは……、T。」

「おいらは……、E。」

 私が自己紹介した後、二番目に大きくて、ゴランみたいに糸目の、ちょっと恰幅の良い坊主頭の男の子、ちょっと喋り方が特徴的な、ぱっちりとした赤色の髪の毛の女の子、最後に、私とお同い年くらいの、灰色の髪に細身な体の男の子が挨拶をする。

「良し、それぞれ部屋割りは言ったとおりだ、ま、親睦なんざ深める必要はねぇ、お前らは抹消された人間達だ、歴史から、戸籍から、抹消されてるんだからな。本名が無かろうと、何だろうと問題はねぇ、俺が撃ち殺したとて、些末な結末になるだけだ。それをよーく踏まえて、これからを生きていくこったな。ほれ解散、今日くらいは寝かしてやる。」

 四人の子供達は、それぞれが部屋の割り当てを先に聞いてたのかな、素直に地下二階に降りて、それぞれの部屋に入って行く。

 私も部屋に戻ってもう少しだけ寝よう、と思ったんだけど、師匠がなんとなくここに居ろ、って言う目をしてる気がして、リビングに残った。

「お前は賢いな、それこそあの基地になんぞ籠ってたら勿体ない程度にはな。ま、俺好みに仕立ててやるから、感謝しろ。脱げ。」

「え……?」

「服を脱げ。」

「えっと、その……。」

「ん?俺の命令が聞けないのか?」

 ガン!

 師匠に洋服を脱げって言われて、お風呂でもないのにと思って戸惑ってたら、師匠に腕を掴まれて、リビングのソファに連れていかれる。

「や、いや……!」

「俺の命令が聞けないのなら、死ぬか?」

「……!」

 ビリビリビリ、洋服が破かれる音がする、師匠が何をしたくて、私を同士いのかがわからない、ただ、逆らったら殺される、抵抗したら殺される、それだけはわかった。

 だから、口を手で押さえて、声を殺す。

 恐怖心、何処かに置いてきたはずの恐怖心、何処かに捨てちゃったはずの、落としちゃったはずの恐怖心が、湧き上がってくる。

 本能的に、って言うのかな、私は怖いと感じてる、師匠が何をしたくて、どうして私の服を破いてるのかはわからない、ただ、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。

 怖い、それだけが頭の中を流れていく、声を出したらいけない、抵抗したらいけない、それだけはわかってた、暗殺をしてる人なんだから、私を殺す事なんて躊躇わないんだろう、だから。


「……。」

 ふと思い出す、師匠と出会ってすぐ、私は強制的に処女を捨てる事になった、その時の事を。

 今外は夜、アンドルまではまだもう少し掛かるだろう、今は途中の駅で燃料を補給するために止まっている所だ、補給所、という石炭を補給する場所で、車両を動かすための燃料を投下する為の場所に、石炭を補給している所だ。

 昼間いた若夫婦は、途中の駅で降りた、ソーラちゃん、と赤子の事をずっと抱いていて、あれは疲れないんだろうか、赤子を連れて機関車に乗る、と言うのは、色々と苦労はしそうだ。

 思い出す、あの日の事、私が処女を失った日の事、師匠に犯された日の事を。

 あの日は、そう、四人の同期、M、L、T、Eの四人が連れてこられた日、初めて干し肉を食べて、まず第一に、干し肉だけで一日を過ごすという、第一関門を突破した日の事だった。

 生々しい思い出、というよりは、それの影響で、私は女を使って暗殺をする事に関して忌避感を感じている事、性行為とは、私にとってはただの凌辱だ。

 凌辱、服を剝がれ、裸にされ、碌に事前行為もない状態で、肉棒を膣に入れられて。

 痛いと感じる事しかなかった、師匠に気持ちいいか?とねちっこい言葉を掛けられたから、気持ちいいと言って「ふり」をしていたけれど、私にとって、性行為とは痛みでしかない、痛みでしかなかった、濡れるという事が無かった私の体質上の問題で、快楽を感じるという思考が無かった中で行われた凌辱は、私にとっては痛みでしかなかった。

 それに……。

 それに、私は初潮が来た頃に、子宮摘出の手術を受けさせられた、私には、子供を産むという機構は残されていない、生理という、子宮の循環の為に必要な生理現象、を血が出るのが邪魔だから、という理由で摘出されて、私は子供を授かるという道を失った。

 それに関しての是非は問わない、確かに今の私からしたら、生理は邪魔なだけだ、ナプキンなんぞ暗殺にもっていっても邪魔なだけ、血が付いたナプキンをいちいち隠して、という事をするよりも、子宮を摘出した方が合理的だった、それはそうだ。

 ただ、私には当たり前の幸せは掴めない、その時点で、私は子供を授かって、両親の様に子供を育んで、という道は途絶えてしまった、それは確かだ。

 今ではそう思っている、というよりは、今ではその方が合理的だ、と思っているし、私にとって子供が出来るのは、弱点を増やす事になるだけ、なのだから、いらない機構と言えばそうだ、その通りだ。

 ただあの頃、初潮を迎えた頃、子宮摘出という手術を、闇医者の所で受けさせられて、確かTも一緒に受けただろうか、そんな事があって、私は当たり前の幸せを、子を授かるという継承を出来ないのだ、とは理解した。

「……。」

 師匠に凌辱されていたのは、その初潮を迎える前まで、それ以降は凌辱の手も止まった、師匠が私に飽きたのか、それとも生理の来た私が万が一妊娠でもしたら、堕胎手術の為に手を止めなければならない事が面倒だったのか、それに関しては一切知らない、ただ、九歳から十二歳まで、三年間、師匠が性欲に振り回されるたびに、私は凌辱をされて、痛みの中で「早く終わってほしい」と喘ぐふりをしながら願っていた、それは覚えている。

 喘ぐ、という行為に関しては、猿真似ですらない、私が、もしも男女がそういう仲になって、そう言う事をするのであれば、そう言う声を出すのかもしれない、という本能的想像から喘いでいただけだ、それが正しい形なのか、それが男女の性交渉として正しい事なのか、の是非は知らない、私は子宮を摘出してから、膣自体は残っていても、性交渉をした事がない、だからわからない。

 今の私は快楽を感じるのか、それとも結局は苦痛を感じるだけなのか、私が女という性を使って暗殺任務に赴かない理由、その是非は、やはり師匠との性行為の痛みにあるだろう。

 ファーン

 汽笛が鳴る、そろそろ機関車が先に進むという合図だ。

 アルマノという国自体はそこまで大きくはない、地図を見比べても、ベイルに比べて国の面積的に大きいわけでもなく、北の国や南の国に比べても、国土は小さい方だ。

 ただ、だったとしても移動には時間がかかる、東の街であるミルギールから、北の街であるアンドルに向かうまで、丸一日とまでは行かないけれど、其れなりに時間はかかる、車で移動するとなったら、路面の状況にもよりけりだけれど、二日三日は移動にかかるだろう、というのが基本的な話だ。

 ルーサーが、学生を終えて社員として働き始める前、に国を一周した事がある、と言っていたけれど、その中でも、首都と街を結ぶ大通りの通りを走って行っても、街から街へは幾分かかはかかる、東の大都市であるミルギールから、北の都市であるアンドルまでは、幾つかの街を経由して、何日かかけて到達した、と何処かで言っていた。

「……。」

 だから、ではないけれど、私は運転免許を持っていないし、そんなものを国に登録でもして、何かの拍子に見つかってしまったら問題だ、私は銀行口座を作る時でさえ、師匠の偽造身分証の力を借りて、現在では、本名ではあるが忘れ去れた名前、としてリリエルを名乗っている、偽装身分証、というやつに頼って、私は普段から生活をしている。

「……。」

 もしも、施政者、大統領を暗殺する事が出来たら、そして、神への復讐を遂げたとしたら。

 私はその時まで生き抜かなければならない、そして、それを終えた以降、生きる意味が見出せない。

 生きる意味がない人間は、死んでいくだけ、それはわかっていた、それは理解していた、だからこそ、私の人生の終わりはそこで良い、と思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ