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G材倉庫ジャック事件!  作者: 冴木 悠宇
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第九章 救世主? 後編

挿絵(By みてみん)

「……今帰りか?」


 びびくぅっ!


 ずっと下向き会社への転職を本気で考えているG材倉庫リーダーが顔を上げると。また徹さん課長がニヤリと笑っていた。


 「UOFひlkvkjんcjさwぢゅ!」


 あれ?デジャヴ??それともタイムスリップしたの??


「よし、こっちだこっち!」


 昨日と同じ、いきなり羽交い絞めにされて有無を言わさず引きずられる。(もうすきにしてくらはい)


 G材倉庫のリーダーは徹さん課長にずるずると引きずられて、再び薄暗い談話ブースへ引っ張りこまれた。


「悪いな、今日も待っていたぞ」 あら、いやだアイドルの出待ちなの? このひと僕のファンか何か?


 どうやら魔界の扉をくぐったのではなく、バックトゥザフューチャーのドクに出会った訳でもないようだ。G材倉庫リーダーはホッとした。


 肩をぐるりと回していた徹さん課長は、小さく舌打ちをして天パ頭をかりかりと掻いた。


「……で、Gちゃんは何やってるんだよ?」


「その呼び方、ちょっと……」


「ん?じゃあ何がいいんだよ?」


「せめて……リーダーで」


「何かおかしいか?Gちゃんでいいよなぁ?」


「……はい」


「で、Gちゃんはの件だ、どうなんだよ」


 もうGちゃんでいいです。

 なんか黒くてつやつやした嫌なヤツを想像しちゃうケド。


「なんだよ。困ってる現場があるの、わかってるんだろ?」


「……分かって、います」


 そうだ。魔女がG材倉庫へ異動して来た時のこと。


『ほ、ほんとにG材倉庫から異動なんですか!?困るんですけど……』


 現場歩きをしているG材倉庫リーダーは何人もの現場社員からそう言われた。

 G材倉庫のリーダーはポツポツと老害と魔物に占拠された倉庫の事情を徹さん課長に話した。

 老害達の目論見(もくろみ)、それはG材倉庫の仕事を減らし自分達の楽園を築くことなのだ。


「なんだよソレ?マジか?マジなのか?」


「激マジです」


「知ってる。悪い、確認だよ……。話は聞いてたからな」


 腕を組んだ徹さん課長は何やら思案していたようだった。


「購買処理ができる唯一のG材倉庫は現場といちばん近い関係にあって、臨機応変に対応してもらえる場所でないと価値がないんだよ……」


 徹さん課長はBluetoothのヘッドホンを外した。


「ハツオが声高に言ってるだろ、現場が欲しいものの相見積もりまで揃えてG材倉庫へ持ってきたら購入手続きをしてやる。あと納品されたら連絡するから現場社員がG材倉庫まで取りに来いってな」


「……はい」


 自分が言った訳ではないのだが、G材倉庫リーダーは申し訳なさそうにうつむいた。


「俺のところにはそれが聞こえてきたんだよ。まったくあの老害どもは何様のつもりだ?臨機応変に動いてくれないG材倉庫はもう必要ない、親倉庫に統合しちまえよなんて話も出てるんだ。楽園どころか自分達の居場所すらなくなるのがわからんのか」


 徹さん課長の意見はもっともだ。


 なにせ浅慮しか浮かばない枯れた脳を持つ老害どもだ。

 昔のよしみ、会社の上層部とつながっていて虎の威を借るなんとやら。他人の権力を自分の力のように思うがままに振りかざすのだ。


 ヒロユキの「ぶちょうにいっとく」などその典型である。


「ふん。まぁいいか、今は好きにさせてやる」


 徹さん課長は、急にニヤリと笑った。


 キタ!キタキタキタ!この人こわいよ。


「このままじゃ現場がうまく回らん」


 徹さん課長の笑みはもはや獲物を狙う猛獣のようだ。


「三ヶ月待ってろ、ジジイふたりを処分してG材倉庫に戻ってもらう」


 身震いをしたG材倉庫リーダーを残し、不気味な言葉を残した徹さん課長は宵闇が深くなりつつある談話ブースから出ていった。

真剣に仕事に打ち込んでいる者にとって、享楽的な思考を職場に持ち込む愚か者は害悪でしかない。

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