雲の骨
なにこれはなんていう
雲の骨がそらを覆い尽くして
そらいちめんを抱きしめているようだ
蒼空を紫に染めて
地平線あたりは清らかな火が
燃えているみたいに
うっすらと明るい
昔昔の遊び心のままで誓った
クレージーな火花が目の前で散る
忘れていた誠実な約束を想い出す
黄昏にすこし照れて
七星を待ち侘びて
突然に微笑む君の唇の形は
すこし照れてるみたいな
君の愛をそのままに
抱きしめたくなるかな
いっしょには
生きてゆけないだろう影ふたつ
黄昏まえに
雲の骨が世界を覆うのを
しっかりと確かめたら
心の正しいやさしい旗を
ちゃんとお手入れしてさ
雲の骨の囁き声が降り積もる道は
足跡だらけなのに
とても整然としてるのが
一番わかるから旗を振ることになる
だれも知らない悲しみのことを
試みになにも知らないふりをしてみる
光り輝く未来の先の闇をみてみる
とどまる世界の記憶は
いとも容易くこころを撃つピストル
みたいだなんてな
そらもうみも雲の骨の白銀に紛れて
わたしはといえば
君といっしょに
孤りで降り積もる骨の細かい粉にまみれる
雲の骨が
めのまえで蕩けはじめると
罪を知る美しい女神のような君は
なにかを決意したまなざしで
醜くもおぼろなこの街を眺めて
夜が更けてゆくにまかせて
なにかを無視して生きてゆこうとする
繋がりたいのは
脆く弱い心のせいか
繋がるのは蒼い鎖か
くれないの糸か
わからない未来は
ちょっとだけはやく
追いつけないはやさで過ぎてゆく
なにもわからないまま
そこに在る一夜で芽生えた骨への気持ちを
夢か現かなになのかもわからないまま
魂と魂がちいさく鳴り響きあう
しめやかな雲の骨の音を聴く