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こちら国家戦略特別室  作者: kkkkk
第5章 ゼロゼロ融資の崩壊を防げ!
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お役所仕事大作戦!(その3)

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。


 僕たちは垓のシミュレーション結果を見ている。


 政府が設置したゼロゼロ融資の相談窓口が映し出されている。ゼロゼロ融資の返済が開始され、資金繰りに困窮した中小企業の社長は相談窓口を訪れた。


「あっ、鈴木さんだ!」と茜が言った。


 そこには、前のシミュレーションで債権者から罵声を浴びせられていた鈴木さんが映し出されていた。今回は鈴木さんが幸せな結末を迎えられることを、僕は祈っている。


「本日はどのような要件でしょうか?」と相談窓口の担当者は鈴木さんに笑顔で尋ねる。


「ゼロゼロ融資の返済期日が来週なんだけど、資金繰りが厳しくて返済できそうにないんです。何とか待っていただくことはできませんか?」

「返済期日に関するご相談ですね。こちらは担保関係の相談窓口ですから、1つ上のフロアの『条件変更相談窓口』でご相談下さい」

「分かりました……」


 鈴木さんは案内に従って条件変更窓口にやってきた。鈴木さんは相談窓口の担当者に期日変更の話をする。


「今は資金繰りがきついんです。返済期日を少し伸ばしてもらえませんか」

「返済期日に関するご相談ですね。こちらは金利変更に関する相談窓口ですから、1つ下のフロアの『返済相談窓口』で相談してもらえますか」

「分かりました……」


 鈴木さんは案内に従って返済相談窓口にやってきた。鈴木さんは相談窓口の担当者に期日変更の話をする。


「資金繰りがショートしそうです。返済期日を伸ばしてもらえませんか」

「待ってほしい、とはどれくらいでしょうか? 1日ですか? 2日ですか?」

「いや、2カ月くらい……」


 今回の相談窓口は正解だったようだ。さすがに無限ループは可哀そうだと思ったから、僕は最終的に相談窓口に辿り着けるように設定していた。この設定は茜には内緒である。


 担当者は鈴木さんを見ながら「それは無理ですね」と言った。


「そこを何とか!」

 鈴木さんは机に擦りつけんばかりに頭を下げた。


「売掛金の入金待ちなどの関係で1日、2日待つのは前例があります。でも、さすがに2カ月は……」

「そんな……」

「売掛金を早めに支払ってもらうことはできないのですか?」

「いやー、販売先が大企業だからそういう融通は効かねー」


 鈴木さんは担当者に食い下がる。

 窓口相談の担当者は事務的なトーンで鈴木さんに質問する。


「じゃあ、家賃の支払いを待ってもらうのはどうですか?」

「それも難しいな。もう2カ月家賃滞納してるからなー」


 鈴木さんは家賃滞納を堂々と答える。もはや、形振り構っている状況ではない。


「それでは、従業員に給与の支払いを待ってもらうのはどうですか?」

「そんなことできねーよ。従業員の生活はどうするんだよー」

「ちょっとくらい大丈夫じゃないですか? 給与支給日を変更したらいいんですよ」

「そんなことしたら、辞めちゃうよー。零細企業なんか募集しても人来ないんだから」


 なかなか諦めようとしない鈴木さんに、窓口相談の担当者は尋ねる。


「他に支払いができる方法はありませんか?」

「そうだなー。俺の生命保険で払う……とか……かな」

「なるほど」


 担当者は手のひらを叩いて納得している。


「目がこえーよ。俺が死んで払えばいいと思ってるんだろ?」

「いえ、そういうわけでは。ただ……」

「ただ、なんだよ?」


 不快感を示す鈴木さんに担当者は言った。


「死亡保険金が下りる死に方ならアドバイスできるかと思いまして」

「そーかよ。もーいいよ! 帰って何とか金策に走るから!」


 そういうと、鈴木さんは相談窓口から帰っていった。


 相談窓口に来たものの、何も解決しなかった鈴木さん。ただ、建物を後にした鈴木さんの顔は晴れやかであった。


 きっと、死ぬよりは借金問題の方がマシと思ったのだろう。


 **


 ダイジェスト映像は工場の前に債権者が殺到している場面を映した。既視感のある映像だと思ったら、鈴木さんの工場だった。


「社長さーん、出てきてくださーい!」

「お金払ってもらえませんかー」

「ドロボー!」


 会社から出てきた鈴木さん。債権者に揉みくちゃにされる鈴木さんは「債権者への説明会を実施しますので、そちらにお越しください」と債権者に申し訳なさそうに謝罪した。

 債権者に「逃げんなよ!」、「いま払えよ!」と言われながらも、鈴木さんは「申し訳ありません!」を繰り返していた。

 工場の前にはスーツ姿の銀行員もいる。イライラしているのか、銀行員は工場敷地に置かれたゴミ箱を蹴り飛ばして、工場から去っていった。


<その4に続く>


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