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城が騒がしいな

 城内が騒がしい。深夜だというのに、バタバタと足音が至る所から響いてくるのだ。国王は、何事かと薄っすら目を開ける。自身の身体の数倍もあるベッドから、ゆっくりと身体を起こす。隣に備え付けてある明かりに手をかざすと、フッと明かりに火が灯った。


 バタン


 強い衝撃で、自室の扉が壊れんばかりに開放された。


「な、何事だ!?」


 普段ならばノックする音が聞こえてくる筈なのだが、今日に限ってそれは無かった。無礼だのなんだのと考える暇も無く、自室にツカツカと入って来たのは、1人の騎士であった。甲冑を身に纏い、しかし顔は露わになっている。自室は未だ暗いままであった為、顔はよく見えないが、ベニドルム騎長の配下に当たる誰かだろう。


「大変です!!! 城最上階の、宝物庫に侵入者が!!!」


 なんという事か。この国の国宝の数々が大切に保管されている我等が宝物庫に侵入者だと。ここ何十年とそんな話は聞いた事が無い。遥か昔、自身が幼少の頃に一度だけ、そんな事があったかどうかという記憶である。


「誰だ!!!」


「そ、それが・・・」


 問いかけると、騎士はなんとも言いづらそうに口をモゴモゴとしている。


「勇者様方です・・・!!!」


「な、なんだと!?」


 勇者様とは、二週間程前に異界より召喚した2人の少年の事だ。そうだような。それしかないものな。しかし、その2人が他ならぬ泥棒を働いたとは。なんとも信じ難い。彼等は聡明で、礼儀正しい好青年であった筈。何かの間違いではないのかと思念していると、ふと外が騒がしい事に気付く。


 「お待ちください勇者様方!!! 何故その様な事を!?」というベニドルムの声がする。はつらつとしたよく通る大きな声は、確かにベニドルムの声であり、その内容から、確かに勇者様方は“しでかした“という事が分かる。


「宝物庫の中は何もかも無くなっており・・・、ただ、宝物庫の中央にこのような紙切れが一枚・・・」


 緊急事態であったが、それでもここは国王の過ごす部屋である。走りはせず、それでも歩きのままで出来る最大限の速度で近寄ってくる。紙切れを、明かりにかざす。


 怪盗シオミ&イノウエただいま参上!!!

 PS.皆様のご健勝に心よりお祈り申し上げます。


「なんじゃこのふざけた文章は!!!」


「分かりません・・・。あ、でもPSはちょっと良い事書いてますよ」


「いやPSが一番腹立つだろうが!!! なんじゃこれ。なんでちょっとPSで巻き返そうとしてんのこやつら!?」


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