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1章 ボーイ・ミーツ・ウルフガール(37)

「来いよ、俺を攻撃しようとするなら、さもなくはここから立ち去れ!」


 勧告とも取れる強気な三日月の発言に、退治しに来た生徒の多くはたじろいだ。


「やれ! お前らっ! 奴はもう少しでどちらにしろ死ぬんだ。奴の為にも!」


 頬の出血を右手の親指で荒々しく拭い、鐘山がそう生徒たちの攻撃を促した。生徒は皆、彼の言うことを受けて、攻撃を開始する。


「ウォーターアロー!」


「ファイアーショット!」


「シエル・トルヌーム!」


 口々に生徒たちが彼に霊術を放った。しかし、三日月は持ち前のスピードでその攻撃を交わしつつ、そしてその強い腕力で振り払った。生徒の一人は思わず、「嘘⁉」と叫んでしまう。そして生徒の陣に一気に肉厚した。交戦の為集まっていた生徒たちは皆ちりぢりになるようにして逃げ出し、三日月の拳は剣を持った生徒と退治した。

 キン! キン!という鍔迫り合いの音が鳴り響いたが、(やが)て生徒の持っていた剣が刃(こぼ)れを起こしてしまった。急な戦闘のため、強化(エンチャント)の霊術をかけてなかったのか。そして三日月は拳を使って、剣を破壊する。唖然に思ったその生徒の首を叩き、気絶させる。

 生徒の顔が恐怖で歪んでゆく。ここにいた生徒は総勢二十人ほど居り、二十vs一は無謀な戦いかに思えたが、その殆どは寄せ集めに近く、バラバラに攻撃をしていた。それに予想以上の力によって、生徒側の戦意も失いつつあった。生徒側は一人、また一人と逃げていく。口々に叫び、攻撃の手は絶えず続いていたものの、彼の拳が霊術を打ち消すように対処されていく。

 しかし、散り散りになってしまった分、どこかへと標準を当てはめなくてはならない。しかし、(たゆ)まぬ攻撃はその一方集中を許さず、三日月の方も攻め(あぐ)ねていた。戦いは持久戦になり、時間が経つにつれて少しづつ、少しづつ、三日月は敗色が濃くなっていった。


「フレイム・フォール!」


「サンダー・シーク!」


 三日月はその攻撃は防げないと思ったのか、大きく避け、霊術は地面へと当たった。軽い地震のような揺れと、軽い噴火の如き、大きく土砂が舞う。

 そうした拮抗(きっこう)した状況が続いていた中、鮮明に刻々と力強い足音がこちらへ一歩また一歩と近づいていく。


「また貴方が私達の邪魔をするの?」


 といきなり出て来た女性は、五番通りで狼男―リンを倒そうとした女性だった。


「貴方は……」


 困惑したように三日月は問うた。


「あら、貴方ほどの有名人が私のことを思い出せないなんてね。私は霊術東学院生徒会長・西蓮寺秋音よ」


 その女性は怖くて蠱惑的な笑みを浮かべながらそう答えた。

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