ばつげーむ
##ぷろろーぐ
「大好きです!付き合ってください!」
私は、そう言った。
心の中では、そんなことは1ミリも思っていない。
だが、これは『無理やり』言わされているだけだ。
本気の言葉が返って来るはずも無い。
##だい1しょう
#ばつげーむ
私は、学校の教室で本を読んでいた。
「ねーねー。ゆーか! ゲームしない? 勿論罰ゲーム付きで!」
急に友達の早夜華に話しかけられる。
パニックになり、さらに罰ゲームありのゲームに誘われる。
「えっ?! さや、私、ゲームとか苦手でっ......!」
「大丈夫! 簡単なゲームだから♪」
と言葉を残し、腕を掴まれる。
(ええ?! そんなこと言われたって、罰ゲームの対象になったらどうするの?!)
友達の早夜華に、急に別のどこかへ連れていかれる。
「あ、あのさ。私、どこへ行くの?」
流石にこのまま知らないところに行くのはまずいと思い、しばらくの空白の時間に話しかける。
「んー? ゆーかの親友、朝日川のところに行くんだよー!」
「あ、瑞稀ちゃん? で、何するの?」
「えっとね、私とゆーかと朝日川で一緒に炙りカルビゲームをするんだよー!」
その言葉を聞いた瞬間、表情が固まる。
「あっ、炙りカルビゲーム?!私、そのゲーム苦手って......」
そうだ。私は、炙りカルビゲームが大の苦手。
「まあまあ♪遠慮せず♪」
(遠慮なんてしてないですけどぉぉぉぉぉ?!?!)
心の中で叫ぶ。
早夜華に振り回されて、朝日川瑞稀......私の親友のところへ着いた。
「あ、着いたか? では、始めようか」
「ちょっと瑞稀ちゃん! 炙りカルビゲームって......私の事絶対罰ゲームに陥れようとしてるでしょ!」
「え? 私はそんなつもり無いが......まあ、やってみたらいい!」
「えぇー!!!!」
「じゃあ、優香、早夜華、瑞稀の順でいくか」
地獄が......いや、炙りカルビゲームが始まった。
「わかった......炙りカルビ」
「炙りカルビ炙りカルビ!」
「炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ」
「多い......炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ」
「全然? 炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ」
「だな。炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ」
「ええ......炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビあるび......」
「あー! ゆーか間違えたー!」
「えー?! 罰ゲーム?!?!」
「そうだな。」
絶望した。対象になってしまった。
「じゃあ! 私森永早夜華は、天野優香被告人が、告って貰うことを望みます!」
なぜか裁判風に言われた。それよりも!
「え?! 嘘コク......ってこと?!」
「そういうことだな。じゃあ、誰にするか?」
話が流れていく。置いてかれていく。
「あ! そうだ! クラスの中でモテる浅野に告ってもらおうよ!」
「え?! 浅野圭くんって、告られても誰にも承諾しないって事で有名でしょ? 傷つくが......」
「まあまあ、大事にはならないんだから」
「私の中では大事だよ......」
しょんぼりしながら、圭がいるであろう教室へ行く。
「すみません。圭さん居ませんか?」
そう言いながら、窓ガラスを覗き込む。
そうしたら、読書をする圭の姿が見えた。
小説のようだ。こうして見るとかっこいい。
「ああ。はい?」
柔らかい声が聞こえた。
「失礼します。」
何故か礼儀正しく教室の中へ入る。
圭も困惑している。そりゃそうだ。
大きく息を吸う。
「大好きです!付き合ってください!」
心の中では、そんなことは1ミリも思っていない。
だが、これは『無理やり』言わされているだけだ。
本気の言葉が返って来るはずも無い。
「嬉しい」
え?