ゾンビ、暗黒神の下っぱになる。そして新たなる仲間が・・・
お上には勝てません、しょせんは最弱生物界最底辺のゾンビなのですから。死んでますけど。
全く、人生を運にかけると碌な事がない、なにが運命のドローですか。
競馬・競輪・競艇・パチンコ、遊びと人生をごっちゃにしちゃぁいけないなぁ。
(ですが・・あの時・・あの時、赤薔薇竜を引いていれば!)ちくしょう!
運命に見放されたように、オレは魔神の居城で大理石にモップをかけていた。
1980年の滅私奉公でも、いずれは終りが来る。
南米のゾンビは意志の奪われた生者だとか、なるほど私は正しくゾンビなのでしょう。このまま磨り潰されるように、こき使われて死ぬのでしょう。
多分・・その内・・・きっと・・・・いずれは善いことがあるだろう。
【ソンビ、ブラック暗黒企業の下っ端に転職する】・・・いまいちです。
大理石に水モップは天敵、よく絞った雑巾で素早く拭いてから、丁寧に空拭きする、滑りそうなほどぴかぴかにして、次ぎの位置に移動する。
「魔神城。ただの通路が数百mとか・いつまで拭いていても切りが無い」
しかも人も者もいないのだから、全く土汚れも無い。徒労すぎて徒労感がスゴイ。
・・・・・
「ああ、吉田さん。泥が!泥が足に」
「ん?・・ああ、新人か?吉田は・・こっちだ、おれは西田。顔を見れば解るだろ」
合成獣キメラの西田さんは、その虎のアゴで横にいる山羊の吉田さんをさす。
・・・「え~~と西田さん、取りあえず足を拭いて下さい、せっかく綺麗にした廊下が泥で・・」
西田さんはめんどくさそうに足をなめて、きれいにしてから歩いていった。
守護者?守護獣らしいキメラの吉田さんは、よく中庭で日向ぼっこして寝ている。
蛇の田中さんとサソリの鈴木さんとはまだ話はしていないですが、悪いヒト?では無いようです。
後は・・下半身が蛇の女性が暇そうに日光浴をしています。
今日も平和、下っ端はやる事は多く給与は安いですが、ロメ雄は今日も元気です。
一日分の記憶が飛んでよく憶えて無いけど、多分この城の神に勧誘されてよかった。
一点を除いて・・・
「なにが『ゲームは一日1時間か!』通信制限でも受けているのか?それとも[北国]のように電力が不足しているのか?」
きたぐに、の事は禁句だ、ミサイルが飛んで来る。
そもそも電力が過不足無く、安定して使える国の方が珍しい。
突っ込みたい所だが相手は神、ウグゥと喉に仕舞い込む。
この神、人がいないからか暇なのか?時折真面目に働いているゾンビ相手に、時々チョッカイを出しに来るんだ。
フッ「『真面目にやっていれば報われるとか』善いことがあるとか、
本当にそう思っている訳では無いだろう?[日給860猫]で働く者よ。
ただやることも無いから黙々と自我を殺して歯車に徹しているだけ。
なにも考えず・なにも生み出さず・変化もせず。ソレはあきらめと同じだろ?」
この動労ゾンビが!
嫌な神だ、大体給金を決めたのもそっちでしょうが。
ゾンビにも痛い所は有るんだよ?見えないけれど有るんだよ?
日給860猫・・だいたい1000ペリカ、地下労働の方がマシな給料ですよ。
「『ゲームは一日28時間』その矛盾すら超え、脳と体と通信料を酷使し、
いたる者だけが得られる力が有る。
このダイヤのように引き締まった体、脳内分泌が異様なエンドルフィンと血糖値の おかしいアドレナリン。
このビタミン剤と数々のサプリで作り上げたバランスギリギリの健康状態。
バランス栄養食材では到達出来ない境地、これこそが究極の神体!」
ただ季節の温度変化や機械の放熱に弱く、最近は花粉にも弱くなったらしい。
「自分、ゾンビですから」不器用なんで、解らないっス。
「ゲームも庭も取り上げれば少しは変化があると思えば、
全くだな・全く駄目だな!」
引きこもりゾンビを、急に外に出してもなにも変わらないのは当たり前。
『困ってる人を助けるのは当たり前!』ほどの当たり前。
外の人と偉い人はソレが解らんのですよ!
「お前も男だろ、スマホ持って異世界でハーレム作ったり・デスマ中に意識飛ばしてゲームキャラとハーレム作ったり・リセマラでUR武器とか手に入れて異世界無双とかしたいだろ?ムテキパワーでウハウハのほほん生活とか?」
・・・・神様・・オレ・・オレツェェェェェーーーがしたいです。
神は言った、ゾンビの仲間に美少女はいないと・・
「絶望した!無双世界に絶望した!」なにが最高の装備だ!可愛い女の子もいないのになんで・・なんでオレ・・オレはゾンビなんですか!
「お前マジ泣きか?ゾンビだぞ、このまま行けば魔法少女もいない状態で
『ガイアの試練』を受け続ける事になるぐらいしか役に立たんゾンビだぞ?」
・・・・・・・・・・まじか!本気か!真面目先生か?
「その上お前、結構リアル系ゾンビだからこう[グチャ]としてグロく[ベチャ]としてキモい感じだから、魔法少女組合に訴えられる感じだぞ?」
公益法人 国立魔法少女組合。
魔法少女の権利と肖像権を守り、魔法少女を名乗るにはそこの許可を得なければならないあの有名な?あの組合。
上がガチの御役人だから洒落が通じないんだよなぁ。
神が空間に姿見を呼び出した、ホレと指さす方に私の顔が向く。
うわあ・こうテンションが→がる方向の「うわぁ」
ロメ雄もビックリのゾンビである。
【以降グロい表現がされています、気の弱い方は飛ばして下さい】だ。
目玉は擦れ、辛うじてついている顎と乾いた口。歯は負並びで崩れ、黄色と赤のコントラストが芳ばしい全身とボロッと禿げて骨の見えた頭。
剥き出しの筋肉は乾き腐り、黄色い脂肪がねちょっとこびりついている。
確かに18禁だ、トラウマレベルの腐った死体だ。
ロメ雄はその手のゲームも平気な多分18以上。
まあ多少は引いたが良く見ればモブゾンビぽいなぁくらいにはなれた。
それもゾンビ化したせいだろうか?恐れおののく心も直ぐに鎮静化される。
(フッ、これが死の奴隷。ソンビの特性か・・)
ハァ・・「自分の状態を自己分析してその程度か?もっと焦るとか、何とかしなきゃあとか思う心は無いのか?・・・
まぁいい、ロメ雄には朕自ら試練を課すとするか。お前はもう立派なゾンビだったのだなぁ・・・」
なんか呆れたような神は、ロメ雄のゾンビを再確認すると、ブラック企業にも存在する[全くやる気の無い人間]を[もう怒鳴り疲れた上司]のように溜息を吐き、
空間に腕を差し込む、空間魔法か?と感嘆の意を表している間に空間から絹を引き裂くような悲鳴と激しく暴れるナニかが
本当に[首根っこ掴まれた]状態で引き抜かれた。
ソイツは何と言うか、半腐りの鶏。アンブレラ社ですら開発しなかった鶏の死体、ソイツがゾンビ化しているのある。
お前もゾンビにしてやろうか?