いい加減なゾンビと、笑いにうるさい神。
「だれって・・・・なんでやねん!オレやオレ・・ほら、オレ!」
どうやら新手のオレオレ詐欺?多分そんな顔を私はしていたと思う。
私の反応にボウズ頭の影が・・欧米か!くらいのアクションで雪だるまに突っ込みを入れた。
破壊・・笑いの破壊神か!・・・・
(なんだ、気のせいか)こんな人間もいない場所で、つまらないギャグを披露する人間はいない。人恋しさに幻聴を聞いたんだ。
「なあ友ちゃん」エア友達を世間ではそう言うらしい、更に集中し念を込めるとソレは実体化し、具現化系能力として開眼するとかそんな記憶が。
「友ちゃんって誰だよ、お前は友達が少ないのか?」
そうだなぁ・・私には友と呼べる者の記憶も無いし、あんな共同墓地?に埋められるくらいだから、こっちの生前もいなかったのだろう。
「そんなにへこむなよ・・・・冗談だ。お前が黒髪の美少女だったらオレが友達になってやっただろうが・・ゾンビだからなぁ・・お前」
ソイツは残念なゾンビをみるような気配を出し・・・・沈黙後、周囲から闇を拡散させ視界の全てを飲み込んだ。
そう世界は暗転したんだ。
真っ暗な世界でも物が見えるのは、オレがゾンビというクリーチャーだからか?
拡散した影は、闇が深くなるにつれて輪郭を確かにして正体を見せた。
(影の中で闇が形を作るってる?)嫌な予感・・・
退屈を凝縮した眼光に不満の固まりのような口元、実際には[へ]の字口に口角が[く]の字で虫を虫を噛み殺した子供の顔。
背丈と服装は全くの子供、迫力・・覇気はゾンビで無ければ死んでいる・・・
魔闘気?覇王色と異なるのは[殺意]だろう。
確か・・・四大行の一つに「お前を殺す」って言っただけで相手を怯ませたような。
確か・・「欧米か!」彼がしたように、オレは軽く挨拶をしてみた。
・・・・・反応は無い、やはり違ったか。
最近の子供が求める挨拶はコレでは無いのだろう、流星の如く過ぎていった流行りを追うのは難しい。
ゴレライ!T!TTT!・・違うのか・・
取り敢えず・・『いまね、すっごい長い光りケーブルを戴きました!』『いやーなんぼあってもいいですからね~~』
「家のオカンにお土産頼まれたやけど・・・名前忘れてもうてん・・」
「ほな二人で考えよか!・・でどんなん?形とか大きさとか?・?」
ようやく口角はへらっと侮蔑したような動きを見せた、さすが何度も聞いたネタ。神にも通じるのか。
『こけの一念岩をも通す』同じネタでもやり続ける事で名人芸にも昇華出来る。
「今時は北海道でも通じない挨拶をする物では無い・・滑り芸も大概だ。
恥ずかしいとは思わんのか?」全く成長していない・・
白い悪魔・白いクマのような優しい瞳・・・私は・・オレはお笑いがやりた・・
違う違う、雰囲気に飲まれては駄目です。
ようやく口を開いた子供は怒りながらも、二分の笑い。
ジロリと睨んだ子供は一息吐き出し、
「でだ、僕のウィットに富んだ挨拶をスルーしてくれたお前!
僕が誰か解ってんのか?」
そっちが先にやったのに、私に駄目出しですか?ああそうですか・・そんな貴方は、
[笑いの破壊神・今も語られるコントの伝説・爆笑と沈黙の科学反応]
「エンタの神様だ!」
主に日本の西部、最大級の湖を背に竜の心臓の位置に存在する世界神の一柱。
怒り・悲しみ・笑いの感情の三源神、始まりの神の直系神でしょう。
・・・・両腕を✛させ舌を出した、正解か!
「ノーだ・ノー!なにが『正解か!』だ、最近のクリーチャーは物を知らん!
お前みたいな木っ端ゾンビが目にする事も烏滸がましい
が・・お前のやった[三流の笑い]に免じて許してやる!」
サンドとかバイキング派だったか、確かにベテランの腕には半歩及ばない気はするけど・・
「朕は神なり、そも正しくは世界を紡ぐ世界神なり」
朕さんはふんぞり返り過ぎて、顎が話しているように見える。逆に疲れないのか?とか疑問を挟む余地も無い程反り返っていた。
「なるほど!」オレは地面に膝を付けると、そのまま後頭部を地面に付けバキバキと背骨が悲鳴を上げるのも無視して頭を始点にブリッジした。
無論両腕は胸元で組んでの・・超のけ反り挨拶。
「ゾンビである、名前はまだ無い!」最後に井戸に落ちる気も無い!
背中の骨がきしむ!神様世界の挨拶はしんどい事この上ないな、全く。