秋葉原ヲタク白書64 神田川は忘却の河
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第64話です。
今回は、バーの常連が神田川で拾った女子は"時間ナチス"と"時間マフィア"に追われるお尋ね者?
ソレゾレの思惑と企みを胸に、ミレニアムに沸く萌え始めたアーリー秋葉原へと飛ぶ主人公達でしたが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 神田川のローレライ
「テリィたん!良い事したん!リンナ、元気な赤ちゃんが出来るって幸せそうだったん!」
「えええええっ?!」
「あらん?彼女が排卵日だとは知らんかったん?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
危ねぇ!危うく本気にするトコロだょw
ココは、僕の推し(てるメイドである)ミユリさんがメイド長を務める秋葉原のメイドバー。
アキバ的な日常に変化をもたらす存在であるコトから"冥王星秘密結社バー"と呼ばれる。
で、JKのクセして僕にカマかけたのは"ゆるカル▼"のデシィだ。
"ゆるいカルト▼"である彼女は"人類の終末"に備える巨乳JK。
前回の主人公リンナは、デシィの"ゆる友"なんだがスレンダーでw
マァどちらか好みを"どーしても逝え"と逝われればデシィの方が…
そんな健全男子の自由な発想がごく自然に頭に浮かんだ次の瞬間、突如空気がイオン化して超高温を発し、自我がゲシュタルト崩壊!
カウンターのミユリさんの両目から迸るデス光線を浴びた僕は即死し、直ちに輪廻転生←
バツ悪空気が大洪水な中を、最近常連になったスケボーギャングのミサルが御帰宅スル。
でも"助かった"と思った僕は大バカ者でw
「テリィたん。マジヤバい!どーやら俺は恋をしちまったようだ!help me!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
スケボーに乗りし厄介ゴトょ汝の名はミサルw
「テリィたん。胸が焼けそうに熱い!コレはマジ恋だ!助けてくれ!」
ミサルは神田川沿いの"佐久間河岸親水テラス"を仕切る"ベジタブラ7"のヘッドだ。
"ベジタブラ7"はスケボー集団で、階段やら手摺やらを器用にスケボーで昇降してる。
で、話すと長いが、ミサルは僕達を"神田川に映る流れ星の2人組"だと思い込んでるw
つまり"ダチ公"?"マブ達"?
「ミサル、何だょ今度は?」
「昨夜の俺の相手を探してくれ!忘れられないンだ!ところで、テリィたんの昨夜のお相手はJKだったンだって?」
「その余計な突っ込みヤメてくれ。もう1回、輪廻転生しなきゃなんナイだろ?あ、ミユリさん誤解…」
「俺の話を聞け!昨夜は"シホリたん"で遅くなって、居酒屋オールした帰り道、みんなは始発で先に帰ったンだが…その後"BROCK M"でボンヤリしてたら、突如、レティが川面に浮かんで…」
"BROCK MALL"は万世橋界隈のショッピングモールで神田川沿いにオープンデッキがある。
あ、ソレから良い子は新型コロナがパンデミックの最中に居酒屋オールするのはヤメましょうw
「ええっ?ちょっち待ってくれ。昨夜の御相手が神田川に浮いてたのか?殺して川に捨てたワケ?土左衛門にしたってコト?」
「神田川に捨てたンじゃねぇ。神田川から拾ったンだ。で、話してわかったコトは、彼女が報道写真家で素敵な人ってコトで…」
「おい!ミサル、しっかりしろ。お前、川に浮いてた女と話をしたのか?何かトンでもなくヘンなコト逝ってるゾ!いつもだけど」
「テリィたん、ソレが恋と逝うモノだっ!」
「強気で開き直られた?!」
「で、彼女がズブ濡れだったンで"秋の湯"の"朝風呂セット"で一風呂浴びたら、アソコの美人女将に絶対要らない!って逝っといたのに、彼女はシャンプーとか買わされちゃってて…」
あぁ!アソコの女将は"セクシーボーイズ"上がりで手強いンだw
よく僕も、ウッカリ買わされたシャンプーが試供品だったりスル←
「で、昭和歌謡の"神田川"みたいに銭湯の外でコーヒー牛乳飲みながら待ち合わせして俺のマンションへ。もう完璧なセックスだった!まるで映画みたい。でも、彼女は仕事でパリへ数ヶ月の予定で発ち、電話番号も聞いてない…」
「あのなぁ。コレだけ新型コロナが盛り上がってる最中に、フランスに簡単に入国出来るハズがナイだろ?ソレに、今時ネットだって名前だけじゃ探せないょ。そもそも、僕は探偵でもサイバー屋でもナイし」
「でも、頼まれるとイヤと断れない江戸っ子ナンだろ?俺だって、普通ならこんなコトは頼まナイ!でも、レティは運命の女だと思うンだ!」
「でもなー。そんなのは無駄骨だし無意味だょ。神田川にプカプカ浮いて男を誘惑する女?"神田川のローレライ"かょ?早く忘れろ」
「探すのか?探さないのか?」
「その仕事は、浮気調査や迷い猫探しに等しい。自分の江戸っ子ヲタクとしての自覚を大切にしたい」
「どうせヒマなんだろ?最近解決したのは"沈黙の鎌"と"ゆるカル▼"ぐらいじゃナイか。カラダが古新聞みたいな臭いになるぞ?」
「川に浮いてるエロ女探しよりマシだ」
「とにかく、写メを見てくれ」
ホームレス系の女子を覚悟する僕←
ところが!写メの中では、美女が朝の眩い光の中で(恐らくミザルに)腕枕されながら、コケティッシュに微笑んでいるではナイか!
思わぬアーバンな美女のいる風景に驚きつつも、ん?この美女は…
何処かで見かけたような気もスルのだケド…サテ何処だったっけ?
とりあえず、急ぎ戦線を立て直そう!
「ミユリさん!さっきから気になってるンだけど、ダメじゃないか!未成年のJKがバーでカクテル飲んでるぞ。しかも、天麩羅?を肴に」
「だから"ゆるカル▼"のデシィりんのカクテルは"シャーリー天ぷら"でノンアルコールなの。天ぷらを肴にカクテルなんて江戸っ子ょね。イナセだわ」←
「何だか知らないけど、カウンターに巨乳を載っけるのはヤメさせろ。気が散る」
その時、新たな厄介ゴトが御帰宅←
その囁きは、狭い御屋敷の中を、まるで重力波のように広がり、時空を伝播する…
「エリスだ…エリスが来たぞ…」
「エリスが?テリィさんに逢いにか?」
「おおっ!エリスだっ!テリィさんの元カノが今カノの御屋敷に殴り込みかょ!」
オールブラックのメイド服でエリスが…って描写を始める前にハッキリと逝っておくが、エリスは断じて"元カノ"ではありませぬ←
ミユリさんと出逢う前のコトだけど、まぁ、その、何と逝うか推してた時期があって…
もちろん、御主人様とメイドの関係で正確には"元推し"で直前だから"前推し"か…
早速"今推し"ミユリさんと火花が散ってるw
"今推し"って何かスキヤキの老舗みたいだ←
「おかえりなさいませ、エリスお嬢様。ワンオーダーお願いします」
「ごきげんよう、ラッツ。何か奢って下さる?」
「下さらナイ。何しに来たンだょ、エリス」
ラッツは、僕がテリィを名乗る前のネームだ。
エリスはカクテルを注文、早々に切札を切る。
「ラッツ。相変わらズ貴方は私のコト、気が狂ってると思っているのね?」
だって、彼女の瞳には明らかに狂気が…
話すと長いが、一言で逝うとエリスは人生を賭けたトランプに負けて血の繋がらないパパに囲われ正気を失い…ヤッパ一言じゃ無理w
「今から、私の御屋敷に御帰宅して女子トイレに入って欲しいの」
「またまた力一杯、奇妙なコトを逝われた?!女子トイレ?何で?水漏れの修理?」
「ラッツが来てくれナイなら、私、ココで舌を噛むわ」
そして、エリスは美しい顔に微笑を浮かべながらベロリンと舌を出す。
思わズ背筋がゾッとする僕だケド、傍らからミユリさんが静かに逝う。
「前のネームで呼ぶメイドに、御主人様をお預けするワケには逝かナイわ。私も御一緒します。御屋敷をお願いね、つぼみん」
「かしこまりました。メイド長」
「あらあら。貴女までおいでになるの?では、私は御屋敷でお待ちしています」
来た時と同様、まるで幽霊みたいにエリスは音を立てズ滑るように御屋敷からお出かけ。
「何なの、アレ?」
「あぁ。何であんな厄介なメイドを推しちゃったのかな?昔の僕は」
「全くです」←
思い切りブー垂れるミユリさんを、後退りしながら常連が遠巻きにする。
そして、少し遅れ、息を殺して、常連の遠巻きの輪に恐る恐る加わる僕←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
エリスの御屋敷"ノーシグナル"は、僕の苦手な地下の箱だ。
渋谷で遊んでた頃、オヤジ狩りに遭って以来、地下は大嫌いw
そして、奥のトイレの前で今カノと前カノに挟まれる僕。右は男子トイレで左は女子。
ソコで初めてエリスは、ある女子の画像を僕に見せてくれたが…ややっ?この女子は!
で、この子がトイレに入ってるの?
え?連れ出して来い?僕が?何で?
僕とミユリさんが呆気に取られる内に、エリスがエイヤッとドアを開ける!
思わず両手で顔を覆うも怖いモノ?見たさに指の間からトイレの中を凝視←
あれ?誰も入ってナイ…ょ?
次の瞬間、素早く僕の背後に回ったエリスが僕のお尻を蹴り飛ばし、反動で僕は女子トイレに突っ込み、額を便器に激しくぶつける!
「痛えっ!」
咄嗟に気の利いたジョークでも飛ばそうと思ったが、いかんせん"痛い"w
僕は血を噴く額を抑え、ミユリさんは息を飲み、エリスは不思議そうな顔←
「変ね?何も起こらナイわ?」
第2章 僕には引力がある
「ナゼなの?どーして何も起こらないの?」
「エリスさん!何てコトを!」
「痛えっ!」
マァ解説不要だょね?僕は便器の横に倒れ込みミユリさんが必死に介抱してくれる。
その横で不思議そうな顔をしたエリスは、僕が額をぶつけた便器を指でなぞってる。
エリス!僕より便器か?
「おかしいわ。前回はココで古の"蒼い彗星"が現れて、貴方は多元宇宙へトリップしたのに!」
「え?"蒼い彗星"?ま、まさか"超古代解放戦線"の時の2匹目のドジョウ狙い?また僕に異次元を彷徨って欲しいのか?」
「とにかく!エリスさん。貴方は、もうテリィ様に関わらないで!」
先ず"超古代解放戦線"は、オーパーツの埋戻しを要求する過激な環境テロリスト集団。
青森で発掘された円筒印章の強奪を図り"僕が阻止した"のだが、その時に現れたのが…
"蒼い彗星"だ←
大変複雑に込み入る不可避的理由により、この女子トイレに止む無く僕が入った際"蒼い彗星"が現れ僕をパラレルワールドへ誘い…
ソコでは、エリスはワンレンボディコンのイケイケ姉ちゃんで、ミユリさんは何処か頭の弱そうなサーファーガールだったンだけど…
アレは1970年代へのタイムトリップ?異次元断層に落ちた?何だったのか今もワカラズw
とにかく!挙句に僕は"解放戦線"の精鋭"オリオン軍"を一網打尽にし、無事にこの現実世界へと奇跡の生還を成し遂げたンだが…
マァ今でも、僕は異次元にいるママなんじゃナイかと思うコトは多々起こる。例えば今←
「ダメょ!タイムトリップは失敗だわ!どーしよー。私、奴等に殺されてしまうわ!」
「良かったわ!で、奴等って誰かしら?」
「"時間マフィア"の連中よ!」
えっ?"時間マフィア"?何?
誰だょソレ?初めて聞く名だw
しかし"今カノ"って"前カノ"には容赦無いコト逝うんだなw
パラレルの頭の弱そうなミユリさんなら絶対に逝わなさそうだ←
「エリス、その"時間マフィア"って何者だょ?ソイツらに何か脅迫でもされてるのか?」
「良いンじゃナイ?多分、自業自得ではナイかしら」
「奴等は、数日前、突如現れたの。御屋敷の中の空気が揺らいだような気がして…振り向いたら"彼等は来た"」
閉店間際、エリスが振り向くと有名な"宇宙人捕獲!"の合成写真から抜け出たようなトレンチコートにギャングハットの男が2人。
「ホラ、今年はコロナショックの株価みたいに、気温も平気で20℃近く乱高下スルでしょ?あぁゆぅ薄手のコートを着てる人、多いのょ。だから、にわかに"時間マフィア"だとは、わからなかった」
「えっ?じゃあ、どーしてわかったの?」
「名乗ったから」←
怪しいトレンチコートの2人組は、エリスに実は人を探していると告げる。
で、てっきり、例のバンザイしてる猿みたいな宇宙人のコトかと思ったら…
「エイダ…だったのか」
「ええっ?!ラッツ、貴方、ナゼその名を?」
「テリィ様を昔のネームで呼ばないで」
エイダw
年末のアキバを震撼させたシリーズ第50話を飾る"CD戦争"の際に"自由ドイツ軍"を率いた残忍極まり無い"黒衣の看護婦"だ!
実は、どーしても思い出せなかったミサルの一夜の相手も…彼女w
"時間マフィア"とやらの手配写真?のお陰で、やっと思い出す←
しかし、捕虜を背中から撃つ非道な女が…ミサルに腕枕されて恥ずかしげに微笑むか?
もしや別人?いや、あの顔は忘れようがナイ(さっき忘れたけどw)ドッペルゲンガー?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あ、ソレ、間違いなく"時間マフィア"です!またアキバに顔を出すようになったのね?どのファミリーかしら?」
「えっ!やっぱりミメイさんなら知ってると思った!で、何者なの"時間マフィア"って?」
「うーん。時間犯罪組織、みたいな…えっと?"母さんチャーハン"どっちだっけ?"炒め刀削麺"はテリィたんょね?」
僕とミユリさんは、昭和通り裏の中華"新々秋楼"でランチ中。
ココの看板娘のミメイって…実は"永遠の生命"の持主なんだw
何しろ永遠に生きてるので"時間関係"には特に詳しく、色々よく知ってて助かる。
案の定"時間マフィア"にも詳しいみたいだから先ず彼女の話を聞くコトにしよう。
あ、因みにココの"炒め刀削麺"は絶品だ!
ミユリさんの"母さん炒飯"と半分コする←
「アキバは次元活断層の上に出来た街だから、昔から"時間旅行者"が多いの。色んなファミリーが時間犯罪の拠点にしてる」
「え?アキバには"時間マフィア"がウロウロいるの?しかし、時間犯罪?何ソレ?儲かるの?コロナショックの株大暴落を事前に知り、売り抜けて大儲けとか?」
「時間って、河の流れみたいに大きな力が働いてて、チマチマやっても未来は結局変わらない、と逝うか、逆に未来を変えるようなコトってナゼだか出来ないの。つまり、株の暴落を事前に知って売ろうとしても、何故だか売れない、みたいな。パラドックス防止機能付きのシステムなのね」←
「宇宙に働く基本的な力は、引力、クーロン力、核力の3つだけど、その他に"時が流れる力"とかもあるのかな」
「ピンポン!良い線逝ってる!ってか、そもそもテリィたんって、時間と記憶に対して引力が働く不思議な人ょね?テリィたんには"引力"がアルと思うの」
「そぉ逝えば、時の流れって河に似てるょね?いくら抗っても、全てを忘却へと押し流す広大な河…確かに、最近、僕も物忘れが多くなったンだ!」←
「あ、ソレは単なる老化だから…で、宇宙が生まれて以来、時って絶えるコトなく流れ続けてるの。その宇宙最強の力を支配しようと色んな文明が挑んだけど、誰も成功しない。その本質に迫る前に、文明としての寿命が先に尽きてしまうの」
「そんな強大な力に支配された"時間"相手にマフィアは犯罪なんて出来るの?」
ミユリさんがもっともな疑問を呈する。
「でも、犯罪もまた、宇宙に時が流れ出した瞬間から、絶え間なく存在し続けてるモノだから。で、多分テリィたんが探してる女"黒衣の看護婦"だっけ?恐らく名前からして"ナース・ノストラ"ファミリーだと思う。時間の世界じゃ有名な犯罪ファミリーょ」
「一目瞭然なネームだったンだね」←
「そして、テリィたんは"マフィアの女"とまたまたトラブってるwホント、ミユリさんも大変ね」
「ありがと。お陰様でテリィ様との日々には飽きが来ないわ」
「御馳走様。で、そのエイダがファミリーに追われてるってコトは…」
「組織の金に手をつけたか?!ドンを誘惑したか?」
「だったら、とっくに死んでる。多分、抜けたいとか言い出して逃げ回ってる、とかそんな程度じゃナイの?"時間マフィア"を抜けて幸せなヲタクになりたいの!なんちゃって」
「おお!ソレならアキバでウロチョロしてるのも納得だ…あ!彼女は"自由ドイツ軍"のメンバーだった!"自由ドイツ軍"は第2次世界大戦末期、陥落直前のベルリンでナチスに対しクーデターを起こした秘密結社なんだけど、そのメンバーになるためにエイダは"ナース・ノストラ"を抜けようとしてトラブってルンじゃナイかな?」
「え?じゃ、去年の大晦日に神田川で何やら派手にドンパチやってた人達のお仲間?何やら死人もたくさん出たとか聞いてるけど」
「え?あ、そう?いや、アレは例の"時間ナチス"の連中が…新年の花火とか…」
「あ!テリィたん案件だったのね!そーじゃナイかなって思ってたの!私には話がなかったなー」
"新々秋楼"の前身である"新秋楼"は、去年"時間ナチス"との戦いで全焼してて、ココでは"時間ナチス"の話題は鬼門ナンだ…
「やっぱり"時間ナチス"には声をかけてたのかぁ!あーあ、私も出たかったな、シリーズ節目の第50話にっ!」
「おおぉ、ゴメン!あの時は色々と立て込んでて…」
「あっ!あの光は何?」
その時、ミユリさんが窓の外を指差す!
御主人様のピンチ?を救うメイドの智慧!助かる!と思ったら、ホントに何か光ってるw
"新々秋楼"の前の狭い路地いっぱいに突如"光の渦"が発生、その中心に何かが出現?
ま、眩しい!目が開けられない!
思わず両手で顔を覆い"光の暴風雨"が去るのを待って指の間から恐る恐る目を開くと…
路地の幅員一杯にアダムスキー型の円盤が出現!その輝く表面にはハーケンクロイツが!
"時間ナチス"のタイムマシン?
やれやれ。主役は遅れて登場だw
第3章 ミレニアムに飛べ
「おおっ!"新秋楼"が新しくなってるわ!"炒め刀削麺"のお味は変わってナイ?テリィたん」
「マタハ。今、食事中だから後にしてくれ」
「あ、おばちゃん!待って!撃たないで!今回はワケありだからっ!」
マタハ!ワケのナイ時がアルのか?!
円盤から降り立ち"新秋楼"に入って来たのは"時間ナチス ヴリル空挺団"のマタハだ。
ストレートの黒髪に切れ長の目は五反田No.1デリヘル嬢に似ているが、ソレは気のせいw
彼女の姿を見て、店主の太ったおばちゃんが奥からフリーガーファウストを出して来る。
肩撃ち式9連装の対空バズーカ砲で、おばちゃんは以前、コレで円盤を撃墜している。
僕の妹を名乗る"銀河団"のエミリをケッテンクラートごと吹き飛ばしたのもコレだw
ケッテンクラートと逝うのは、オートバイ式のハーフトラックで…(以下省略)
「おばちゃん。私達、今度は味方だから。"ポンギヌスの槍"の時は、お店を粉々にしてゴメンナサイね。でも、総統命令だったので…」
「今回だって、タイムマシンを使う作戦ってコトは当然、総統命令なんだろ?今度は何をスルつもりなんだょ?」
「ズバリ!テリィたんの誘拐!」
え?と思った時は既に遅く、空挺兵スモッグにFG-42を構えた兵士が両脇から僕を掴む!
ミユリさんもミメイもおばちゃんもそれぞれ頭にワルサーP38を突きつけられ動けないw
「もう1度だけ、逝います。ハーケンクロイツに誓って、私達"ヴリル空挺団"は、今回はみなさん、と逝うか秋葉原シティの味方。永世の大義に準じ、テリィたんを少しの間お借りします。今回に限り、ミユリさんはお連れ出来ません。でも、貴女の御主人様は、必ずお返しします。このユニークな性格のままね。だから…邪魔しないで」
「テリィ様?」
「ミユリさん。とりあえず、何処だか知らないけど逝って来るょ。大晦日の"CD戦争"の時も"ヴリル空挺団"は友軍だったしね」
おばちゃんが、頭にワルサーを突きつけられたママ、食べ掛けの炒め刀削麺をパックに詰めて渡してくれ、お陰で心残りもなくなる←
FG-42に追われるように歩くのは嫌だったが円盤に乗り込む直前、僕は映画のシーンをまねワザと明るい顔でミユリさんを振り向く。
気の利いたセリフを何か、と思うより先に、ミユリさんの唇が動く。声には出さズに。
あ・り・が・と
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"時間ナチス"のUFO型タイムマシンは初めて乗ったけど、中は思ったよりかなり狭いw
円盤と逝うより戦車の中だ。狭い砲塔の中で僕とマタハは鼻と鼻がぶつかる距離で対面。
おばちゃん心づくしの"炒め刀削麺"をマタハと摘み作戦会議だが、コレは密閉、密集、密接の新型コロナの典型的感染パターンだw
「で、何しに何処へ逝くのかな?僕達。あぁ冷めても美味いな、神だょ刀削麺」
「西暦2000年頃の秋葉原。秋葉原が萌え始めたアーリーアキバって、テリィたんの得意科目でしょ?しかし、ウチでつくるとこの味にならないのょ刀削麺。何で?」
「まるで気分は、ナチスの探検隊を地底王国シャンバラに案内する現地人ガイドだな。で、ソコに"永遠の生命"をも断ち切る"ポンギヌスの槍"があるワケか。空挺団は、総統命令でソレを探しに逝くンだろ?ところで、炒めた刀削麺が食べられるのは"新々秋楼"だけナンだゼw」
マタハは、暫し沈黙して僕を凝視する。
そして、タブレットに映る資料を示す。
「お見通しなの?ま、ソレなら話も早いわ。"槍"を持ってるエイダは、メイド服を着た"時間マフィア"の殺し屋ょ。有名な"ナース・ノストラ"ファミリーの一員で、背中にトレードマークの"壊れた時計"の刺青がある。"時間マフィア"ミレニアム支部の所属で、有史以来の全時間で指名手配されてるwでも、結局は逃げ延びて、近未来の聖都アキバで生涯の伴侶に恵まれ、本物の看護士となって結婚、静かな余生を送る」
「彼女の背中に刺青があるのは…実は知ってたw彼女が違う未来から逃げてきたってコトも薄々とね。しかし、殺し屋だったなんて!やはり信じられないな。いや"CD戦争"や"神田駅前動乱"の時とか容赦なかったモノな…そうでもナイか」
「抱いた相手の暗い側面を知るのは責め苦ょね。私にも経験がある。衝撃を受けた後で怒りがこみあげて来る。でも、もしエイダに心当たりがアルのなら、私達の作戦に協力するコトが、テリィたんの癒しへの第一歩になる」
僕は、苦笑するしかない。
「僕は、僕の癒しのためにナチスに手を貸すつもりはないょ…ところで、新型UFOの乗り心地だけど狭過ぎナイか?前の奴には乗ってナイから比べよーがナイけど」
「時間旅行については、時空潜水艦との競作になって予算が削られたの。ガマンして」
「時空潜水艦?あの前回、君達がバミューダから乗って来た原子力U-boatのコト?」
「Ja。時空を旅する"時間波動帯水平ジャンプ理論"に基づくメカである点は同じだけど、原子力U-boatは神田川の助けを借りられる分だけ有利なの」
「神田川の助けを借りる?」
「煉獄の山頂にあるエデンの園から地球の中心に向かって忘却の河が流れてルンだけど、次元活断層のせいで、その一部が神田川に合流してるwだから、神田川には時間線を旅する力がアルの」
「"神曲"か。"死霊は冥界でレテの水を飲み前世を忘れる"だね。確かに、僕も神田川を渡って神田の駅前風俗へ逝くと"全てを忘れる"傾向がアル」
「テリィたん。ソレは男の勝手な言い草。女はソレが許せナイ…」
その時、ちょうど足元の辺りにいる操縦兵が僕達を見上げて報告する。
「マタハ指揮官、間も無くミレニアムの秋葉原に到着。想定誤差範囲は±1.72時間」
「着時用意」
「Jawohl!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
世界が萌え始めた、ミレニアムの頃のアーリーアキバを語る人の中には、アキバの御屋敷はコスプレから始まった、とスル人が多い。
ソレはソレで卓見だが、その遥か前からアキバ以前の秋葉原でメイド服は着られている。
ソレはSMの世界だw元来メイド服は絶対服従の証であり、被虐嗜好のシンボルとされる。
つまり、メイド服は、萌えょアキバょと世間が騒ぎ出す前から特殊嗜好者のモノなのだ。
そんな者達が集う、都内に数箇所アル場所の1つが秋葉原にある地下バー"縄と鞭"だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「貴方がオーナー?この店、古いの?」
「あぁ。俺が生まれる前からさ。親父の店ナンだ。しかし、姉ちゃんの女ナチス!グッと来るねぇ」
「でしょ?トーシロとは年季が違うのょ。私の友達が遊びに来てるかしら?池袋じゃララァって名乗ってたケド」
「知らねぇ」
え?ララァ?
「あ、思い出した!絶品な女王様だ」
「あのね。多分常連なの。彼女は報道写真家で…」
「悪いね。コレ、何かの調査?」
マタハが詰まるw
次は僕の出番だ。
「この"コスプレデー"って満員になる?」
「お?興味アルのか?この国の精神風土には馴染まないみたいで人集めに苦労しテンだwまだまだクリスマスの仮装パーティに毛が生えた程度だが…来てくれるか?!」
「逝くとも!その内、猫も杓子も"仮装"する未来が待ってるゼ!その時、俺達が始めたんだって逝ってやろうじゃナイか!」
すると、オーナーが満面の笑みを浮かべながら手を差し伸べて来る。
「店長のバラゾだ」
「僕はテリィ」
「ララァだっけ?池袋から来たララァなら、常連なんかじゃナイ。ウチのスタッフで雇った。メイドの仮装をさせてルンだが、(SM)プレイがNGで困ってる。何とかプレイをさせろって客が殺到してな」
「だろうねw実は、僕は、彼女の池袋時代の客を代表して様子を見に来てルンだ。店さえOKなら、ララァを追って全員この店に鞍替えするけど?」
「そりゃありがたい!大歓迎だが…実はララァは欠勤が続いて…罰金も溜まってる。正直なトコロ、復帰はかなり難しい。その代わり、スパニッシュ巨乳なら…」
「罰金は、コチラのマタハ女王様が立て替えてくださるょ。マルクだけどw無断欠勤だって3日も続けば、普通は捜索願だろ?」
「ウチは、その手の苦情が元々多い店でな。無断欠勤や売上紛失。俺も、実はスタッフとは衝突してばかりだ。ララァはてっきり、借金を返すために池袋へ無心に逝ったのかと思ってたが」
「何かと問題の多い子だけど…でも、スジさえ通せば簡単にナンバー張れる素材であるコトも確かだ。テリィが来たと伝えてくれないか?ロッカーとか教えてくれれば名刺を挟むが」
「店からも頼む。カミラ!コチラをララァのロッカーにお連れしろ」
スパニッシュ系の超グラマーが僕にウィンクする。
まだ出勤したばかりで、ジーンズ姿なのが惜しい。
案内されたロッカールームは恐ろしく狭く、コレで着替えられるのかと心配になるホド。
そのまた奥に、実はお目当てのバックヤードがアリ…つまりSMプレイ用"武器庫"だ。
手枷、足枷、調教具、そして刀剣類…
さて、槍、槍、槍と…目指す"ポンギヌスの槍"は割とアッサリ見つかる。
"武器庫"の暗闇の中に、ヤタラと無造作にポツンと立て掛けられている。
この少し先の未来で、僕達はこの"ポンギヌスの槍"を守って新秋楼に立て篭もり、時間ナチスの猛攻に耐えUFOを撃ち落とすのだ。
しかし、今ココで"槍"を手に入れれば、あの戦いを避けるコトが出来る…のか?
ところが、悩む間も無く、全く悩まないマタハが喜色満面で"槍"に手を伸ばすw
ソコへ…
「待って!その"槍"は私のだから!」
何者をも振り返らせる鋭い声。
文字通り振り向けばソコには…
メイド姿のミユリさんがいる。若き日の。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時間ナチスは、恐らくベルリンにある"人工神化研究所"で、ミレニアムのアキバでララァが"槍"を持っていると知ったのだろう。
そして、誰かがララァ=エイダと思い込んでしまったようだ。
実際は、ララァってミユリさんの池袋時代のネームなんだが。
ミユリさんが池袋にある東インド会社を模したロープレ喫茶で、マハラジャにお仕えするコーヒー娘をやってた時のネームがララァ。
因みに、コーヒー娘のコスプレはベリーダンサー風でカワイイおヘソがチラ見えスル奴←
その頃、アキバは未だ秋葉原で、御屋敷など影も形もないマイコンブームに沸く電気街。
ヲタク達は東京の西の果て?にある池袋のロールプレイング喫茶でヒッソリと遊んでる。
そして、生粋のヲタク少女だったミユリさんはララァを名乗り、初めてのコスプレに胸ときめかせ御給仕に精を出し…推し変されるw
当時のミユリさんのTOは新人娘の巨乳に目が眩みアッサリ推しを変更してしまう。
池袋を捨てたミユリさんは、メイド服が着れると逝う理由だけで秋葉原に流れ着く。
そして、地下のファティッシュバーで働き始めるのだ。
その過程の何処かで"ポンギヌスの槍"を手に入れて。
"ポンギヌスの槍"は、地球上に太古の昔から存在する"永遠の生命"を断つ最終兵器。
総統は、世界各地に探検隊を送り"槍"を探させ"最強兵団"に装備するコトを目論むw
僕の知る世界では"槍"は結局"永遠の生命"を持つ新秋楼の看板娘ミメイの手で月軌道に投擲されて終わる。
しかし、時間ナチスは、そうなる前に何としても最終兵器である"槍"をゲットすべく、過去へと遡る作戦に出たワケだw
ところが…
「ララァ!その手をお離し!この"槍"は、総統のモノよっ!」
「嫌っ!アナタこそ手を離して!ソートーって誰ょ?鷲の旗の下に?」
「惜しい!総統大好きワグナーには違いナイけど、ソレは"総統"じゃなくて"双頭"!」
地下のSMバーの暗闇の中で、女ナチスとメイドが"槍"を取り合っている!
ソレはソレで実に絵になるンだけど、さらに事態をややこしくする女が追加w
「やはり、お前がエイダか?!"時間マフィア"の"時の掟"を忘れたか?掟を破り"時間マフィア"を抜ける者には凄惨な制裁が待つのみ!」
御案内係スパニッシュ巨乳のカミラw
いつの間にやら…女王様ボンテージ!
ブラボー…じゃなかった、いつ着替えたの?ってかナンで着替えたの?大歓迎だけど?笑
マタハがポケットからホイッスルを取り出し思い切り鳴らすと地上で整列待機してた"ヴリル空挺団"が完全武装で飛び込んで来る。
負けじとカミラ女王様がパチンと指を鳴らすと周囲の空気が揺らいで…ギャング姿の"時間マフィア"が出現!テレポート?すげぇ!
たちまち起こるドイツ兵とマフィアの大乱闘の間を縫って僕は"槍"を手にした若きミユリさんと手を繋ぎ地上へ階段を駆け上がる!
「あ!"槍"が!」
「逃すな!追うのよっ!」
「だから、地下の箱は嫌いだ!」
ソレゾレの都合だけを主張しながら地上に出たら….何と万世橋の袂だ。
おっ?未だ公衆便所がアルょ!懐かしいな!記念にシテ逝こう(何を?)w
ミユリさんの手を引き、僕達は万世橋の真ん中で神田川を見下ろして向き合う。
あぁ!ミユリさんは未だ何処と無くあどけなさの残る大好きなツインテ美少女!
「何方か知らないケド、私、みなさんの争いの種である、この"槍"を抱いて神田川に身を投げます!思えば、私と逝うヲタクの存在自体も災いの種でした!何もカモ嫌になったわ!もう池袋にも戻れないし!」
「待て!この神田川は…タダの神田川じゃ無いンだ!コレは忘却の河"レテの河"だぞ!この河の水を飲めば、今までの記憶を全てを失くす!ソレは、今までの人生を否定し全てを捨て去るコトになる!ソレでも良いと逝うのか?」
「構わない!今までの私なんて、タダのつまらないヲタクょ。命を残す資格すらナイ。死んでたも同然なのっ!」
「あのな!生まれて来ない方が良かったヲタクなんて1人もいないんだょ。このアキバではさ!」
その瞬間、若きミユリさんは、雷に撃たれたような顔になり、そして何かが吹っ切れたかのように僕に抱きつく。彼女は泣いている。
「ミユリさん。君はこの街を好きになる」
「なぜ?」
「君と僕が出逢った街だから。だから、次に会う時には最高のメイドになってくれ」
「その時には、私の御主人様になってくださいますか?」
「約束だ」
思い止まってくれたのか?しかし…
次の瞬間、彼女は僕の腕の中からスルリと抜け万世橋の欄干を鮮やかに飛び越える!
"槍"を胸に抱き、穏やかな微笑みを浮かべたママ、神田川の川面へと落ちて逝く!
彼女の背中が川面を打つ瞬間まで僕達は見つめ合っている。
スローモーションみたいにミユリさんの唇が動くのを見る。
あ・り・が・と
第4章 忘却の河を渡って
ミユリさんが身を投げた後の万世橋は、もぉタイヘンだ。
ほどなくして、地下バーから飛び出して来る2つの集団w
片や完全武装の空挺兵、片やギャングハットにトレンチコートのマフィア。
それぞれを女ナチスのマタハとスパニッシュ巨乳女王様のカミラが率いる。
「追え!メイドの小娘から"槍"を奪い返すのよっ!」
「待て!追ってはダメ!コレは…"忘却の河"よ!飛び込めば、昨日までの人生を無くすわ!飛び込んではダメ!」
「構わナイ!僕はミユリさんの後を追う!」
ところが、運動神経抜群?の僕が万世橋の欄干に跨りモタモタする内、マタハとカミラとその手下達に四方八方から掴まれてしまうw
「ダメ!過去の記憶を失くすのよっ?コレで昨日までのララァは死んだ。もうコレ以上、誰も人生を失う必要はナイ。"時間マフィア"はココで手を引く」
「最終兵器"ポンギヌスの槍"もまた、時の流れの中に喪われた。同じくコレ以上の"戦闘中人生喪失"を出す必要を認めナイ。"時間ナチス"はミレニアムより撤収する」
「嫌だ!離せ!僕はあの子と逝く。約束を、約束をしたンだ!」
必死に神田川に飛び込もうとするヲタクを四方八方から羽交締めにして止める女ナチスと女王様と兵士とギャングw
バラゾ店長が撮った写メが後に国民の祝日となる"秋葉原コスプレ記念日"の礎となるコトを僕達は未だ知らない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
気がついて目を開けると…見知った天井だ。
ココは…御屋敷だ。でも、天井?僕は床にでも寝かされているのだろうか。
いや?お酒の棚が見える?ん?カウンターに寝かされている?誰かの声が…
「…では、今より故テリィたんの御屋敷葬を執り行う。喪主はミユリ メイド長…」
「うわあっ!待ってくれ!コレは僕の葬式なのか?僕は…死んだのか?」
「静かにして!貴方の御葬式なのょ。万世橋から飛び降りた貴方は打ち所が悪くて…ホラ」
メイド服に喪章をつけたミユリさんが手鏡で見せてくれた僕は、包帯でグルグル巻きにされて目と鼻と口だけが…
「うわあああっ!」
カウンターの上で起き上がり絶叫したトコロで、御屋敷が大爆笑に包まれる。
ああ?ああ!コレは常連…と逝うかミユリさんもグルで御屋敷グルみの犯行w
何と御丁寧に足の先まで包帯のグルグル巻きで、コレはもう重傷者と逝うよりミイラだw
見回せば、常連やミユリさん&つぼみんまでハイタッチして喪章を取って大喜びしてる←
肩を叩かれ振り向けばミサルだ。
「やぁ。生きて帰って来たな、テリィたん」
「ミイラになって、だけど」
「恨むなょ。俺はノッただけで、発案は…とにかく!今度の件で、やっぱりテリィたんが俺の親友だと逝うコトがよくわかったw今度、俺の女にも会ってくれ」
「俺の…女?」
「レティさ。何か前世でテリィたんに迷惑かけた、とかワケわかん無いコト逝って、今宵はバイトに逝っちまったケドな」
「ミサル。実は彼女は…」
「テリィたん。俺もアキバのストリートは長いンだ。何を覚え、何を忘れなくちゃイケナイか、わかってるつもりだょ。だから…何も逝うな」
「…彼女が"黒衣の看護婦"だと、いつから知ってた?」
「初めからさ!おいおい。俺は、スケボーで勝負した相手の顔は忘れない。去年の大晦日、俺達は"神田川に映る流れ星の2人組"だった。最強だったょな!」
大晦日の"CD戦争"で、僕とミサルはスケボーの2人乗りで"黒衣の看護婦"と勝負し佐久間河岸の地下要塞爆破に成功スルのだ。
あの時、悪の化身だったエイダは、その後の"神田駅前動乱"でも極悪非道ぶりを発揮するが、多分その後神田川に落ちたのだろう。
ところで"永遠の生命"ナンだけど、刺殺、射殺、爆殺、心臓停止など、なまじ"永遠"を生きるだけあり何度も見舞われるそうだ。
しかし、その度に彼等は蘇るワケだが、蘇る場所は何故か決まって河の中らしい。
つまり、生まれたママの姿で突如、川面に姿を現わすワケだね。エイダみたいにw
もちろん、エイダは"永遠の生命"ではなく単に"記憶を喪くしたスケボーギャングの女"なんだが、やはり河が絡むワケだ。
"忘却の河"の流れには、永遠の神秘と力が宿る。
アキバにメイドの数だけ物語と秘密があるように。
あ、ソレから今回のもう1人の歩く厄介ゴトである前推しのエリス絡みだけど。
ギリシャ神話でエリスは争いの神で、娘のレテは忘却を司る水のニンフらしい。
まぁ、ソレもどーでも良いコトだけど。
おっと、ココで御新規さんの御帰宅だ。
トレンチコートにギャングハットの男女?
「おかえりなさいませ、御嬢様。御主人様」
「ややっ?君は…カミラ。先だっては、ありがとう!僕が神田川に飛び込むのを止めてくれて」
「テリィ!やっと見つけたぞ!捕らえろ!奴の首を狩れ!」
ええっ?!
スパニッシュ巨乳カミラの両脇の部下が僕に飛びかかって来る。
うーん。どうやら僕はミレニアムの後で彼等と何かアルようだw
もしかして、ココは僕の知らない"未来"なのか?
ジョークの続きと思って爆笑する常連を見ても…知った顔ばかりナンだけどな。
もぉどぉでも良いや。やれやれ。おーい、誰か!今宵の証拠写真を撮ってくれ。
また国民の祝日が増えるカモしれナイぞw
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"時間旅行"をネタに、"時間ナチス"や"時間マフィア"、スケボーギャングや地下のSMバー、そしてミレニアムに沸くアーリー秋葉原などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を秋葉原に当てはめて、ラブストーリーも絡めて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。