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危険物乙四類の本を買った。

「マサル、頭を上げて。あなたは一分前から私の彼氏。彼女として彼氏と苦楽を共にするのは当然の事だわ」

「ゆ、勇者様」

「その勇者様ってのやめてよ。マサル。リンって呼んで。何だか勇者プレイをしているみたいで恥ずかしいわ」

「分かった。リン。じゃあ早速教えてくれ。危険物乙四類の奥義を……」

「何なのよ。魔王だったり奥義だったり。まあいいわ。でもね教えるに当たって口頭では伝わらないと思うし、私もすでに記憶が忘却の彼方よ。だから古本屋に行って過去問やら教本やらを買いに行きましょう」

「分かった」

 そんなこんなで中古屋に到着した俺と鈴。

「へえ、結構色んな本があるんだなあ。危険物にも」

「そりゃあ危険物にも人気のある四類以外もあるし、出している所も違うから当然でしょ。でも一番大事なのは自分が良いと思った本を買う事よ。それと比較的新しい本を買った方が良いわね」

「それはどうして?」

「法令だったりが改正されたりするからって聞いた事があるわ」

「へえ。うん? この本、気になるな。結構綺麗で見た目は新品みたいだけど、黒い本だし」

「本当ね。黒くて重厚だけど何かしら……どことなく妖艶さを秘めて黒光りしていて魅力的だわ」

「あっ、でも裏側血が付いている……」

「本当ね。汚いわね。買うのやめる?」

「いや、俺この本買うわ。だってこの教本持っていた奴が血の滲むほど努力をした本って事だろ? それほど、魅力的な本なんだよ」

「マサルは、ポジティブね」

 そうして俺は黒光りする危険物乙四類の問題集付き教本を買った。百円だった。

 早速家に帰った俺達はその本に付いていた血を、アルコール除菌しふき取ると、最初のページをめくった。その瞬間俺と鈴は光に包まれ本の中へと吸い込まれて行った。

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