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街宣車らしき車があったので行ってみた。

 本屋を出た俺達は街中で街宣車らしき車が街の中央に泊まっているのに気付いた。

「ねえマサル。あれ街宣車かな? 選挙でもあるのかしら」

「分かんねえ。ちょっと行ってみようか」

 その車に近づくにつれ次第に声がはっきりと聞こえてきた。

『危険物の取り扱いは、危険物取扱者が行う。それ以外が取り扱う時は危険物取扱者が立ち会う。しかし、[丙種]は取扱いが出来ない』

「ああ、またこういう系か」

「マサル。飽きないで。この世界に来たんだからもう覚悟を決めて、この世界と、危険物四類と向き合って。頭の中を危険物乙四類で埋めないと、どうやらこの世界からは抜け出せそうにないんだから」

「そうだな。覚悟を決めて、町の人の全ての行動、言葉に耳を傾けるよ」

「偉いわマサル」

 俺は街宣車の声に真剣に耳を傾けた。

『免状の交付は<都道府県知事>が行う。書き換えは氏名、本籍地、写真が10年経過した時、交付地・居住地・勤務地の都道府県知事が行う!』

「いや、そんなに力説して言わなくても」

「マサル。さっきの誓いはもう消え去ったの? 彼が力説するには訳があるのよ。ほぼこの場所は間違いなく試験に出るのだから」

「マジか。だからこその強調なのか」

「そう。そして一歩一歩覚えて行って、魔王に対する有効打を増やして行けば必ずや魔王を倒す事が出来るようになると思うわ」

「よし」

『免状返納して<一年>経過しない者や、罰金以上の刑で執行が終わり、<二年>が経過しない者には免状が交付されない! そして保安講習は危険物作業に従事している時は<三年>に一回受講しなければならないのだ。従事していない時は受講する必要はない! 従事し出して<一年>以内に保安講習を受ける事。後は<三年>に一回で良い!」

「うわっ。一回じゃ覚えられないなこれ」

「大丈夫よ、マサル。そこの看板に毎日同じ時間にここで街頭演説しているみたいだから覚えるまで毎日ここに来ましょう?」

「そうだな。これも魔王を倒す為、この世界から抜け出す為だもんな」

「そうね。でも一番大事なのはこの世界の魔王を倒す事ではないわ。ここで危険物乙四類の知識を確実に身に付けて、魔王を倒してこの世界を脱出して、現実世界で危険物乙四類の資格を取ることが最終の目標じゃない」

「そうだ。その通りだよ鈴」

 鈴の言葉で身が引き締まった俺は、頭をフル活動させて演説の声を頭に叩き込んだ。

『指定数量は危険物の品目ごとに定められている。指定数量以上の危険物は<貯蔵所>以外では貯蔵出来ず、製造所以外では取り扱いが出来ない』

「リン。いきなり分かんなくなったぞ」

「難しい事じゃないわ。モンスターにはS級、A級とかがいるって言ったじゃない。その位によって数量が分かれているのよ。例えば、特殊引火物のS級妖怪では指定数量は50リットル。だから50リットル取り扱っている場合は指定数量の倍数が1になるの。そして倍数が1以上の場合は消防法や危険物の規制に関する政令などの適用を受ける事になるの。これは100%魔王は攻撃してくる内容ね。だから丸暗記ね。S級妖怪の指定数量50リットル以外も必ず覚える事ね」

『特殊引火物は指定数量50リットル、第一石油類は非水溶性は200リットル、水溶性は400リットル……』

「だめだ鈴。頭が混乱してきた。くそ、ここは一時戦術的撤退を……」

「そうね。また明日来ましょう」

 そして俺達はその場を後にした。

「確かに、言葉で一度聞いて覚えられるような内容じゃないわよね」

「そうなんだよな。特殊引火物であるS級妖怪の指定数量が50リットルで、第一石油類であるA級妖怪の非水溶性が200リットル、水溶性が400リットルで良いんだよな」

「そうね。毎日コツコツと覚えて行けば頭の中に危険物乙四類のルートが確保されるわ。最初は荒れ果てた茂み以外何もない所でも毎日開拓して行けば、やがて茂みがあった所にも道が出来るようになるわ。危険物乙四類という道が頭の中にね。

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