他のS級モンスターについて。
「そういう事か。ようやく理解して来たぜ。さっき俺達が出会った特殊引火物であるS級妖怪は第四類のS級妖怪だったのか」
「そういう事」
「もっと第四類のS級妖怪について詳しく知りたいんだが」
「そうね。分かったわ。でもその前に第四類は全て蒸発燃焼だという事を頭に入れて置くことが大事ね。液面から蒸発する可燃性蒸気が空気と混ざって燃えるのよ。だからS級妖怪以外にも、炎系の魔法は厳禁よ」
「へえ、厄介だな」
「S級妖怪で注意しておくべきモンスターはまずは最初に出会ったモンスターのジエチルエーテル。日光や空気に接触すると過酸化物を生じるモンスターで加熱や衝撃で爆発するので危険なモンスターよ」
「でも、追っかけて来たよね」
「この世界のモンスターは魔王の魔法の影響でそれぞれのモンスターに特殊な効果が付与されているのじゃ。例えばジエチルエーテルの場合は空気遮断魔法や暗所魔法、更には加熱衝撃防止魔法が」
「ああ、だから追っかけて来れたのか。ジュンシュさん」
「他のS級モンスターはさっき話が出たダブルドラゴンこと、二硫化炭素がいるわね。あいつは引火点が-30度で発火点が90度だからとても危険だわ」
「つまり、火が付きやすいって事だよな」
「そうよ。ねえ、ジュンシュさん。二硫化炭素はもしかして怒りっぽい?」
「ええ、そうですじゃ。すぐに切れる事で有名なモンスターですじゃ。そして暴れ出すと国の精鋭ですら抑えるのが大変な、危険なモンスターですじゃ」
「引火点と発火点が低いのがこの世界では怒りやすさに変換されているようね。でも二硫化炭素は水よりも重くて、水中保存する性質がある……という事はもしかしてダブルドラゴンって水竜かしら」
「そうですじゃ。よく分かりましたな。リンさん」
「へえ、水龍か。確かにやばそうだな。他にはS級モンスターっているか? 鈴」
「そうね。他にはアセドアルデヒドが有名ね」
「アセドアルデヒド! 水に溶けて姿を隠す危険モンスター!」
ジュンシュさんが言った。
「そうね。水に溶けるモンスターは他にもいるわ。今言ったS級妖怪のアセドアルデヒド、そして後で教えるけど、A級妖怪のアセトン。そしてアルコール類ね。アのつく物は水に溶けると覚えておいた方が良いわ」
「へえ」
「後は、酸化プロピレンもS級妖怪ね。これも水に溶ける妖怪ね。そして重合するって覚えておいた方が良いわ」
「重合って何?」
「そんな詳しいことはどうでも良いの。酸化プロピレン、特殊引火物であるS級妖怪で、水に溶けて重合ってそれだけ知っていれば魔王と戦う事は可能だわ」
「そうなんだ」
「あなたが後々興味が出たなら詳しく調べればいいだけなのよ。まずは魔王を倒す事を目標にね。最短で」
「分かったよ鈴」




