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居間へと入って行くと、もう皆が丸く配置されたソファに座って各々隣りの人と話していた。

それを見て、足を速めて自分のソファへと座った卓哉は、修一や雅也、洋文も同じように座るのを見てから、口を開いた。

「遅くなってごめん。じゃあ、19時になるし、議論を始めようか。で、占い先なんだけど、相方の共有者と二人で決めた結果、二人を指定するので、そのうちの一人を占ってほしい。じゃあ、莉子さんから。」

莉子は、身を乗り出した。

「ええ。誰と誰?」

卓哉は、手帳を見ながら言った。

「莉子さんは、8番の雅也と、9番の幸太郎から一人占って欲しい。それから、修一さん。修一さんは、2番の剛と、3番の信吾からどちらか選んで占って欲しい。洋文さんは、1番の杏沙さんと、4番の太一さんから一人占ってほしい。」

占い師たちが、それぞれ自分が持ち寄ったメモを片手にそれを記した。洋文が、言った。

「これ、どうしてそうしたのかとか、聞けるのか?」

卓哉は、困ったように笑った。

「明日になったら言えるかもしれないけど。村目線なりの考えがあって振り分けたってことだ。ちなみに共有者同士で情報は共有してるから、どっちかが噛まれたとしても、残った方も同じように対応できるようになってるから。手帳に小さく相方の番号も書いてあるんで、もしオレが噛まれることがあったらそれを確認して欲しい。乗っ取りは出来ないようにしてあるから。」

洋文は、頷いた。

「共有なりに真占い師を見極めるために考えて振り分けたってことだな。分かった。じゃあ、オレもしっかり考えてどっちを占うか決めるよ。」

卓哉は、頷いた。

「よろしくお願いします。」

玲が、口を開いた。

「で、そうなって来ると占われないのは真里ちゃんと和也だけど、色が付かないのは不安だよねえ?明日以降は優先的に占ってもらうようにするよー。安心して。」

和也は頷いた。

「明日は占い指定に入るんだろ?別に急がないから、それでもいいよ。どうせ、占われなかった三人もグレーのままで残るんだし、グレー吊りでも五人の中からって事になるだろうし。」

和也は、自分が白いという自信があるようだ。真里は、それでも不安そうに言った。

「でも…誰にも占われないままで明日になったらグレランに挙げられるなんて、不安だな。」

実際は雅也に占われるのだが、玲は素知らぬ風で言った。

「大丈夫だよー白かったら誰も君には投票しないし。そうだな、だったら明日は、真里ちゃんは必ず占ってもらえるように、誰かに一人指定してもらうよ。ね、いいよね、卓哉?」

卓哉は、玲が何を言ってるのか分からなかったが、それでも真里を安心させるためならと、頷いた。

「え?ああ、うん、そうするよ。莉子さんでもいいけど、洋文さんか、修一さんにでも占ってもらったら、白が出たらすごく心強いんじゃないかな。とても弁が立つから味方としてこれ以上はないと思うよ。莉子さんは真だったとしても、きっと言葉の強さで弱い所もあるだろうし。不安にさせるならさ。」

真里は、驚いたように目を丸くした。

「え。そこまで優遇されようと思ったわけじゃ無いの。白くなるように、頑張るから。特別扱いはしなくていいよ。」

玲は、それでも苦笑して言った。

「いいんだよー。女の子を不安にさせたままってのが気になるもの。男は強いもんね?女の子は強く言えなかったりするから。やっぱり早く白を出してもらって落ち着きたいよねえ。」

真里は、あまりに玲が自分を気遣うので、本当なら喜んだところだったのだろうが、普段はそういう感じに玲から積極的に接して来ないので、逆にそれを不気味に思うようで、黙り込んだ。

卓哉は、玲が何か思惑があってそれを言ったのだろうとは思ったが、それが何か分からなかった。だが。隣りの雅也がじっとその様子を観察していたので、もしかして玲は、雅也に自分が占って欲しいどちらかを占わせようと考えて、今の会話をしたのかもしれない、と思った。

どちらにしろ、雅也には自分に指定された二人の情報はいくらか落ちたのだ。後は、雅也次第というところだろう。

修一が、言った。

「じゃあ、オレも黒か狐を狙って占う事にする。明日以降の占い先はやっぱり村の指定か?」

卓哉は、頷いた。

「うん、それはそうしようと思ってる。明日からはまた動きもあるだろうし、みんなの意見も取り入れて考えて行くつもりだよ。確定白を作って行く事も考えてるしね。一人を3人で占って色の違いを見るのもいいかもだけどなあ。結果は同時出しで。」

雅也は、頷いた。

「余裕があったらそれもいいな。少なくとも偽は賭けに出なきゃならなくなるからな。」

玲は、それには苦笑した。

「気が早いねぇ。とにかく、明日の色を見ないと分からないからさ。卓哉と相方はどうか知らないけど、僕にはなんとなーく色が見えてるんだよねぇ。だから、占いの指定は妥当だと思うよぉ?ま、狼が困りそうな占い先だなとは思ってる。」

卓哉は、え、という顔をした。指定したのは玲なのだから当然なのだが、相方が玲だと知られてはいけない。

「玲さん、黒の位置が分かったんですか?」

玲は、声を立てて笑った。

「ううん、だから、なんとなーくだよ。消去法で狐もなんとなーくここかな、ぐらい。明日の占い結果が楽しみだねぇ…。」

皆の表情は、期待に満ちた顔、不安そうな顔、戸惑う顔と様々だ。玲が、占い師に狼が混じっていたときの牽制をしているのはなんとなく分かった。共有者目線では、占い師には人外が二人。狐陣営と狼陣営が出ているのは容易に推測出来るのだ。雅也だったとしたら…?しかし、雅也がそんなことをする意味はない。

卓哉は、そう思いたかった。とはいえ、村人全員の勝利を握っている以上、完全に真置きしているのを、公言することは出来ないと思った。

とはいえ、今日はもう、これ以上話し合うことは無い。

卓哉は、もう疲れたなと口を開いた。

「じゃあ、今日はもうこれで。後は明日にしよう。まだゲームも本格的に始まっていないんだし。」

玲も、頷いた。

「そうだね。僕も今日はもう疲れちゃったー。狼の襲撃は無いんだし、さっさと寝よう?で、明日は占い結果を早く聞きたいし、ええっと、6時に部屋の鍵が開くって言ってたよね?じゃあ、7時にここに集まろうよ。どう?」

卓哉は、今から寝たらもう、何時にでも起きられそうだな、と思いながら頷いた。

「そうしよう。じゃ、解散して、また明日の7時にここで。」

皆の顔は、いろいろだった。

複雑な顔をしている人、無意識に表情を引き締めている人、何やら戸惑ったような顔をしている人…。

とはいえ、これまで人付き合いをそんなに重要視して来なかった卓哉には、誰が裏にどんな感情があってそんな様子なのか、想像することは出来なかった。

友達を多く作らず、自分がこれと思った数人とだけ付き合ってそれで良いと思って来たことを、卓哉はそこで後悔した。このゲームで勝ち残るには、そういった心の機微などにも敏感になっていた方が有利だったのに。

だが、今さら何を言っても仕方がない。どんなゲームになるのか分からないが、このゲームを続けない事には、何が起こるのか、これから先のことは未知の世界なのだ。


卓哉が雅也と共にとぼとぼと部屋の前へと帰って来ると、雅也がポンと背中を叩いて、言った。

「どうしたんだよ、卓哉。ここまで良くやってるじゃないか。お前、こういうの避けて来たのにさ。いい機会だと思うぞ。これで慣れておいたら就活の時も結構有利になるんじゃないか。どうせ避けて通れないことなんだし、良かったと思おう。それより、今日は襲撃も無いし安心してゆっくり眠れるんだから、ゆっくりしろよ。オレも明日からの事があるし、頑張るから。」

卓哉は、雅也を見た。雅也は、入学した時から卓哉が苦手な分野を引き受けてくれていた。確かに卓哉も、このままじゃ就職にも影響するだろうと思ってはいたのに、つい雅也に甘えて他人とのコミュニケーションはまかせっきりだったのだ。雅也の言う通り、ここは踏ん張って頑張らねばならない、試練なのだ。

「…うん、そうだな。頑張るよ。雅也も、その…頑張ってくれ。」

占い頑張ってくれなどと言って、聞いていた人が居たらせっかく潜伏しているのに意味が無くなってしまう。

雅也は、それを気取って苦笑した。

「おう。頑張るよ。絶対、賞金手にして帰ろうな。」

そうして、雅也は自分の8番の部屋へと入って行った。

卓哉も、明日からの追放と襲撃とは、いったいどんな風になるんだろうと、不安に思いながらも自分も部屋へと入ったのだった。

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