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玲との話し合いは、それからすぐに終わった。

だが、そのままそこから出るにも部屋の前ではまだ、何やら話をしながら立っている奴らが居る、と玲が言うので、卓哉だけがそこから出ることにした。

卓哉がそこから出て行くと、部屋から少し離れた階段の前の廊下では、剛、信吾、真里、太一、幸太郎、そして杏沙が立ち話をしていて、こちらを振り返った。

卓哉が何食わぬ顔をして階段へと向かうと、太一が話しかけて来たが、部屋じゃ考えがまとまらないし居間ででも考えようかなと思って、と言うと、皆が皆一緒について来ると言い、そのまま階下へと下る羽目になった。

とはいえ、その間に玲は卓哉の部屋から出て、自分の部屋へと帰っただろうから、それはそれで良かった。

まだ誰も占っていないので、今日の村目線のグレーは杏沙、剛、信吾、太一、真里、雅也、幸太郎、和也ということになる。

役職に出て居るのは、占い師に莉子、修一、洋文。霊能者に、有栖、真紀、玲。

そして共有者が卓哉。

これが、村目線の配置だった。

占い師は共有者目線四人。だが、村目線では三人だ。グレーには8人居るので、二人ずつ指定したらちょうど綺麗に振り分けられる数で、問題は誰に誰を占わせようかという事だった。

真目が高いのは、今のところ洋文と雅也。時点で修一。

玲と二人でそれは確認していた。

そんなわけで、玲は洋文に杏沙と太一、修一に剛と信吾、莉子に雅也と幸太郎、そして、雅也に真里と和也を振り分けた。

そこに、どんな意図があるのか卓哉は分からなかったが、玲はふふんと笑って言った。

「これで、うまくすると呪殺が出るかもよ?少なくても、黒は絶対に出る。洋くんと修ちゃんの、どっちが真なのか、それとも両方真なのか、それで僕には見えるかなって思うんだよね。」

卓哉は、首を傾げた。

「ええっと、洋文さんには杏沙さんと太一さん?修一さんには剛と信吾、だよね?これで、分かるって?」

玲は、クックと笑った。

「うん、分かるよー。何を出すかでねえ。初日は噛み無しだから占われると分かってても噛めないし、狼には気の毒だけどねえ。」

玲は、何やら楽し気だ。卓哉は、顔をしかめながらも、渋々頷いた。

「まあ…玲さんが言うなら。結果が出たら教えてくれるよね。」

玲は、頷いたが真面目な顔をして、言った。

「ねえ卓哉、僕にばっかり頼ってたら駄目だよ。よおく見て、考えるようにしなきゃ。僕はね、多分人狼だろうなあっていう子達と、多分村だろうなあって子達を分けて、それぞれを二人に振り分けてるんだ。どっちかが出すはずの無い色を出したら、それは偽物だ。人外なら考えて、どうしても黒を出さなきゃならない時があるし、白を出さなきゃならない時だってある。その不自然さをわざと取りに行ったんだよー。共有者なんだから議論をまとめて進めるだけでなくて、そうやって誘導もしてかなきゃ駄目だよ。僕がいつ噛まれるか分からないんだからさ。でもまあ、表面上はそれでいいよ。何もわかってない共有者って思ったら、噛んで来ないだろうからね。でも、僕が居なくなったら絶対それじゃ駄目だよ。唯一の確定村人なんだからさ。」

卓哉は、玲の言葉を思い出して、フッと息をついた。そうは言っても、頭の出来が違うのに。

玲は、こんなものはパズルみたいなもので慣れだという。

でも、卓哉は表面上の感情やら何やらが邪魔をして、真相を見抜ける自信も、誰かを引っ掛けてしまう自信も全く無かったのだ。

それを思い出して、名簿とにらめっこしている卓哉を見て、真里がおずおずと話しかけて来た。

「あの、卓哉くん?」卓哉が顔を上げると、真里は隣りのソファへと座った。「どうしたの?占い先、悩んでる?」

それはもう決まってるんだけど、と思いながらも、卓哉は答えた。

「大体は決まってるんだけどね。相方からは任せるって言われてるから。ちょっと最終調整って感じかな。」

太一は、真里が話しかけたので寄って来て脇に座った。

「グレーからだろ?占い師は三人だから、どうしてもグレーのままになっちまう人が出るよなー。それを誰にするのか迷ってるってことか?」

卓哉は、本当は四人居るんだけどな、と思いながらも、苦笑した。

「ま、そんなとこかな。でも、指定したからって占うとは限らないしね。そこは占い師任せだから。それに、占われなかったら明日吊り位置になるからなあ。もちろん、黒が見つかったらまたみんなで話し合いになるんだけどね。でも、占い師が二人も居る時点で、初日に逃れても二日目にはどっちにしろ色がついて来るだろうしなあ。色が付かなければ吊られるし。占い師の精査も占い結果が出たら進んで来るだろうし、一度占われてもまた占われる可能性もあるし、初日はハッキリ言ってどこでもいいんじゃないかって思い始めてるよ。」

すると、剛が離れた位置から言った。

「でも、だからこそ初日って大事なんじゃないか?後で真占い師が誰なのか分かった時、その占い師の占い先がめっちゃ重要になって来ると思うし。真占い師はどこまで生き残れるのか分からないし。」

しかし、それには隣りに立っている信吾が答えた。

「でも、人狼だって狐は排除したいはずだし、絶対真の一人は残すと思うけどな。人狼が結果を見たら、それが真なのか偽なのか判断できるだろ?とはいえ、人狼が出てたらもう、残りの二人が真なんだって知ってるだろうけど。」

剛が、うーんと腕を組んだ。

「でも、真占い師の一人は噛まれる可能性があるってことじゃないか。二人残ったら、どっちが真なのか呪殺が出るまで村には判断できないもんなあ。」

卓哉は、息をついた。

「だよな。分かってる。吊る吊らないにかかわらず、占い師の精査は常に頭の中でしておくことにするよ。」と、時計を見た。「じゃ、ちょっとまた部屋に戻って来る。パンを持って行ってるし、食べてから19時には降りて来るよ。」

真里は、慌てたように卓哉を見た。

「え、もう決めたの?」

卓哉は、立ち上がりながら頷いた。

「ある程度決めてたんだけど、もう最初に考えたのでいいかと思って。あんまり悩んでも仕方ないよ。何しろ、情報が少ないんだからね。みんなも19時までには何か食べておいた方がいいよ。」

卓哉はそう言うと、居間を出て階段へと向かった。

もう、これだけ時間を稼げば玲は部屋へと帰ったはずだ。

卓哉は、あの中にも必ず人外は居たはずだと、心の中のメモに名前を記していた。


19時前になり、卓哉は部屋から出た。部屋の前では、雅也と修一、洋文が何やら立ち話をしている最中だった。

戸を開く前には、全く気配も分からなかったのだから、玲が言っていた通り、ここの防音はかなりしっかりしているようだ。

いったい、何の薬を治験したのか知らないが、玲の聴覚が半端ないのだけは分かった。

三人は、卓哉が出て来たのを見て、こちらを振り返った。

「ああ、卓哉。雅也がここで、卓哉が出て来るのを待ってるっていうから、じゃあオレ達も一緒に降りようかって話してたところだ。占い先は相方と話したのか?」

卓哉は、三人と共に歩き出しながら頷く。

「ああ、話したよ。でも、任せるって言われてて、本当に適当な感じ。最初はとりあえず、どんな色を出すのか見たいって感じだから。占い師の精査が付いてないから、それを材料にしたいなってことで。」

修一が、頷いた。

「なるべく黒そうなのか、狐っぽいのを振り分けて欲しいんだがな。オレも、白じゃなくて黒を見たいし、呪殺も出したいと思う。」

洋文は、苦笑した。

「それはオレだってそうだ。でも、ここは村に従っておかないと、偽だって言われてしまうぞ?まだ、誰が真占い師なのか、自分たちでも分かってないってのに。」

修一は、眉を寄せた。

「疑われるのを恐れてるのか?さっきの発言をコロコロ変えるところといい、そんな風には見えなかったけどな。真占い師なら、堂々としてていいんじゃないか?そんな言い方すると、オレもお前を疑うぞ?」

洋文は、肩をすくめた。

「最初から村に疑われるのは自分が真なのに村利が無いって思ったから言ったまでだ。オレは自分が真だって知ってるから、やりたいことをはっきり言ったが、自分が分かってるだけじゃ意味がないだろう?村を初日から混乱させたくないからな。」

卓哉は、それに頷いた。

「オレもそう思うよ、洋文さん。共有者しか村人だって証明する術がないんだから、村なら怪しい動きはしない方がいいと思う。でも、占い師の意見は貴重だから、出来たら率直な意見を聞かせて欲しいけどね。」

雅也は、黙ってついて来る。

雅也から見たら、自分が占い師なんだからどっちかが偽物なのだ。不必要に自分の情報を渡したくないと思っているだろう。

それが気になったのか、修一が階段を下りながら雅也を振り返った。

「それで、雅也は?グレーから見た目線ってどう見えたんだ。占い師と霊能者で誰が真とか何となく分かったか?」

雅也は、聞かれて首を傾げた。

「まだ全く分からないんだ。でも、莉子さんがどっちでもいいって感じでしっかり考えてないようだったから、それが印象が悪いなってだけ。性格的におとなしいからかもしれないし、まだはっきりしないしな。霊能者は、玲さんがあまりに村目過ぎて、他が偽に見えるんだけど、有栖さんがめっちゃ考えてるようで…ワンチャン有栖さんが真で玲さんに騙されてるのかなとか考えてるところだな。」

卓哉は、それには頷けた。知らなかったら、あのガンガン村利を取って行くところは、全てが見えている人狼のようにも見えて来るからだ。頭が良いのは先に先にとどんどんと考察しているところで分かるが、確かにあれが敵だと思ったら怖いので、逆に警戒してしまう村感情も理解出来た。

洋文が、苦笑した。

「玲は、普段おっとりしてるんだけど、緊急時とかめちゃくちゃ対応も判断も速いから、さすが医者だなと思ってるよ。頭が良過ぎて研究ばっかりしてるから、外へ出て現場も見て来いと客員教授に出されたみたいだ。本人が言ってた。だから、恐らく玲は他の人より多くが見えてるし、もし村でも人狼でも、怖がられるのは分かるかな。でも、あれで繊細な所があって、音に敏感でさ。普通に考え事が出来ないとか言って、普段から耳栓持ち歩いて考察する時は一人で籠ってる時が多いんだよなー。」

卓哉は、それを聞いてハッとした。もしかして、玲は聴覚が人よりいいことを、誰にも言ってないんじゃないか。

黙って聞きながら歩いていると、修一がそれを聞いて笑った。

「おい、それを人狼陣営に聞かれたらどうする?回りでうるさくしてあいつが考えられないようになんかされたら面倒だぞ?頼りになるんだからな。」

洋文は、修一に笑い返した。

「まだ同陣営とは限らないじゃないか。あいつは要領が良いから要注意だな。」

そんな二人が前を歩くのに、雅也と一緒について歩きながら、どちらかが人外なのだろうに、と、心の中で思って見ていた。

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