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卓哉が番号順にでも発言してもらおうか、と思っていると、洋文が口を開いた。

「占いに出たのが3人だから、この中に一人人外が居て、オレはそれが狐だと思っているから、どう占っても呪殺は起こると思うんだ。狐がグレーに潜伏していたら、遅かれ早かれ占われるのは分かってるだろうし、絶対出て来るはずだと思うんだよね。霊能はローラーされる恐れがあるし、出るとしたら占いしかないと思ってる。」

卓哉は、慎重に頷いた。

「確かにそうだけど、今の一斉出しだと、そんな判断もしてる暇が無かったかも知れないよな。人狼だって黙ってられないだろうし、本人の性格次第でそこは分からないと思う。背徳者が出てくれるのを期待してたかも知れないし…普通は囲いを期待して潜伏しようとするんじゃないかな?」

洋文は、頷いた。

「そうだな。だからこそ、一度占えば十分かなと思ってる。白が出て誰も死ななかったら、狐は居ない。背徳者か狂人だ。だったら放って置いてグレー精査したらいいんじゃないか。」

どうしても、洋文は占い師同士の相互占いをしたいらしい。

卓哉は、頷いて一番の杏沙を見た。

「じゃ、洋文さんの意見は占い師の相互占いだってことで、杏沙さんから意見を聞かせて欲しい。」

杏沙は、びくっと体を跳ねさせたが、おずおずと言った。

「まだ…本当に分からないのよ。みんな迷いもなく手を上げていたし、怪しい動きも無かったと思うわ。役職はどうしてもボロが出やすいから放って置いて、グレーから見た方がいいのかも…とはいっても、確かに狐が潜伏なんて危ないと思うし、ここは人外が多い霊能から占ったらどうかな?ちょうど3人ずつだから占いやすいんじゃない?」

卓哉は、フンフンと頷いてメモを取った。

「杏沙さんは霊能から占いたい、だね。じゃあ、次、剛。」

剛は、戸惑うような顔をした。

「霊能からはおかしいんじゃないか。占い先だろ?ていうか、オレ霊能は吊るもんだと思ってるから、占うならグレーだろうなって思ってたんだよ。洋文さんが言うように、確かに狐は占いが怖いけど、多分相互占いの可能性も考えて、背徳者が出て囲わせるんじゃないかって思う。人狼陣営だって、出来るだけ目立ちたくないだろうから、狂人が出てる可能性の方が高いだろ?それと同じで、妖狐陣営だってボスは潜って背徳者に出させるんじゃないかって思うんだよなあ。」

隣りの信吾も、それには頷いた。

「オレもそう思う。役職にこれだけ出てるんだから、後で決め打つ事にしてまずはグレーだと思うよなあ。真占い師が二人も居る村だから、本当の色が一晩に二つも出るだろ?結構有利だと思うんだ。」

すると、二人の隣りの太一がうーんと腕を組んで言った。

「って事は、占い師にグレーから指定して占ってもらう方が良いってことか?でも、それじゃあ明日の吊り先もまた悩む事になりそうだけどな。誰かが黒を出したらいいが、一人も黒に当たらず呪殺も無しだったらどうなるんだ?」

次々に隣りへ隣りへと話しが進んで行く。卓哉は、急いでメモを取りながらそれを黙って聞いていた。

すると、今度は太一の隣りの真里が、自分の番かとハキハキと言った。

「そうよね、太一くんが言うのもその通りだと思う。占い師の決め打ちって言っても、誰が偽物なのかこっちからは分からないんだもの、それを間違えられるのはきっと初めの方だけだと思うの。だから、さっさと相互占いしてもし黒とか紛れてたら分かるようにしないと、三つも陣営があるんだから村は混乱すると思うのよね。だから、私は占い師の洋文さんが言うように、相互占いがいいって思うわ。」

莉子が、おずおずと言った。

「私はそれでもいいんだけど…でも、村の決定に従うわ。不利になるようなことはしたくないし、私はそんなにこのゲームのことを知らないから。お互いに占えと言うならそうするし、別の所を占えというならそうする。」

卓哉は、ふんふんと頷きながらも、主体性が無いな、とは思っていた。これまで、意見は三つに分かれている。占い師の相互占い、グレー占い、霊能占い。

雅也が、言った。

「じゃ、オレの番だと思うから話すけど、オレも相互占いよりグレー占いがいいと思う。明日からの吊り先を考えるのに、明日は占い師を吊る予定も無いんだったら、今夜はとりあえずグレーから占って、黒が出たところ、もしくは白ばかりならグレーの中から吊る事が出来るし、残った所をまた明日の夜占えるから詰めて行けるだろう。多分だが、役職が今これだけ出ているとはいえ、絶対何人かは襲撃とかで減るんだ。狼はグレーを噛んでは来ないからな。役職の精査は、襲撃が始まって残った所からでいい。オレはとにかく、グレーを詰めるべきだと思う。」

それには、卓哉も何度も頷いた。本当にその通りだと思ったからだ。一応みんなの意見を聞いてはいるが、出来たら相互占いよりグレー詰めを進めたいと思っていた。

雅也の向こうの、幸太郎がムッとしたように言う。

「偉そうに言うけど、お前もそのグレーじゃないか。オレは別に占われても構わないが、疑われてると思ったら面白くないとは思う。」

雅也は、眉を上げた。

「じゃ、君はどこを占うべきだと思うんだ?」

幸太郎は、良くぞ聞いてくれたというように、頷いて胸を張った。

「それは、グレーだ。君も言ったように、占い師や霊能者は放って置いても噛まれるだろうから、残った所から吊って行けば人外に当たるって考えだ。」

つまり雅也と同じだよな。

卓哉は、少しむっとした。これが性格なのだろうが、自分が思っていることと同じことを相手に言われたら、恐らく幸太郎は腹が立つのだろう。自分が村に意見を落としたいのに、先に言われたことがムカつくので反論はしたいのだ。

これは面倒な性格だなあと卓哉は思ったが、雅也も何も言わないし何も言わずに渋い顔をしているその隣りの有栖を見た。

「有栖さんは?」

有栖は、その整った顔で冷たく幸太郎を一瞥してから、卓哉を見て言った。

「私も、雅也さんと同じ考えよ。グレーを精査している間に、きっと占い師は結果とかで怪しい人が出て来るだろうから、そこだけを占うとか、吊るとかの対応が出来ると思うから。別に呪殺にこだわらなくても、居なくなれば背徳者が消えるし二人消えるんだから分かるしね。人外を全部消すのが目的で、占いが目的じゃないと思っているわ。」

有栖は、きびきびと話すキリリとした女性だった。霊能者には有栖と真紀と玲が出ているが、玲は共有者だし比べたらどうしても有栖が真に見えてしまう。真紀の意見も、先入観無しで聞いておかなければ、と卓哉は思った。

すると、隣りの和也が真剣な顔で言った。

「オレもグレーから占って欲しいな。今15人の内、役職に6人出て卓哉を除いて8人、共有者がその中にもう一人居て、7人。で、そこに少なくても人狼は三人のうち二人は居るわけだろう。真占い師の二人が黒を引き当てる可能性は凄く高いし、グレーを吊ってまた次の日に占ったら村のグレーはかなり狭まると思うんだ。それから役職の精査をしても間に合うだろうし、初日は絶対グレーから占うべきだと思う。」

黙って皆の話を聞いているだけだった和也だったが、その間に結構考えていたようだった。卓哉は、頷いた。

「すごくよく考えてるなと思う。オレもそう思うな。」と、真紀を見た。「それで、真紀さんは?」

真紀は、少し困ったような顔をして、皆を見回したが、息をついた。

「正直、みんなよく考えてるなって。確かにグレーから精査した方がいいなって聞いていると思うんだけど、でも狐って厄介でしょう?呪殺にこだわらなくて良いって有栖は言ってたけど、呪殺のメリットは確かに呪殺を出した占い師を信じられるところだと思うんだ。だから、占い師に任せた方がいいのかなって思ってる。」

うーん、どっちか分からないな。

卓哉は、思った。自分と考え方が同じなので、有栖が真霊能のような気がするが、しかし真紀も真で違う考え方をしているだけかもしれないし…。

そう思いながら黙々とメモっていると、隣りの玲が言った。

「ふーん、みんな注意して自分の意見は言った方がいいよぉ?自分の陣営を暴露してるようなものだからさあ。同陣営で同じ考え落としたら、私達仲良しですーって言ってるようなものなんだよー?誰か一人ぐらい、別の考え方言わないとさあ、透けちゃうし、後から卓哉のメモ見たらこの時こんなこと言ってるーって分かるしー。僕、今ので結構見えたものがあったけどなあ。で、修ちゃんはどう思うの?」

卓哉は、玲の言葉で驚いた。今ので見えたっ?どれぐらいっ?

顔を上げると、修一が隣りの玲を見て顔をしかめているところだった。

「お前こそどうなんだ?霊能者の中じゃ、確かに玲がかなり村目だが占い先の事に関して何か意見があるんじゃないのか。」

玲は、涼しい顔をした。

「霊能者の内訳は今日は関係ないでしょー?でも、僕も意見は言うよ。それより、君はどう考えてるのか聞きたいなあ。占い師の精査って霊能より大切だと思うんだよね。君はどう?洋くんと同じで占い師同士の相互占いしたいと思うのー?」

修一は、憮然として頷く。

「そりゃ、自分の真を証明したいし、狐が混じってるなら呪殺を出したいと思うからな。」

しかし、隣りの洋文は、じっと考えていたようだったが、修一に首を振った。

「いや。今みんなの考えを聞いて思ったんだが、確かにそうだなと思ったんだ。狐だって相互占いのリスクがあるのを知ってるし、背徳者が居るんだからそっちが出るんじゃないかって。見てたら、お前も莉子ちゃんもどっちも別に相互占いでもいいって考えで動揺もないし、緊迫感もない。だから、恐らく狐は占い師に出てないとオレは考えを今、変えた。あくまでも呪殺を出したいし、今日はグレーに行きたい。」

修一は、睨むような目で洋文を見た。

「…お前、3人しか居ないのにオレを疑ってたのか。」

洋文は、少しばつが悪そうにしながらも、ハッキリ言った。

「…当然だろ?どっちが何を引いてるかなんて、個人の性格もあって分からないしな。それはお前から見てもそうだろう?」

修一はまだ険しい顔をしていたが、それには答えず玲へと視線を移した。

「…で?3人居る霊能者の内の一人もお前はどう思ったんだ?玲。これで満足か?」

玲は、そんな皮肉にも平気な顔をして応じた。

「そうだねえ。僕はやっぱり、グレーから占ったらどうかなって思ったよ。占い師は今フラットに見てる、と言っておくよ。」

卓哉は、洋文の真目が高い、と思っていた。村利のある考え方をしているし、考えが柔軟だ。真っ先に相互占いを推奨しておいて、あっさり考えを変えたと言えるところに村のヘイトを買わないでいようとする人外の臭いがしない。初日からハッキリ自分の意見を言えるのが、探り探りでなければならない人外の計算が感じられないのだ。

その考え方から言うと、莉子のハッキリしないところは怪しいのだが、それも性格があるのでよく分からなかった。

しかし、雅也を信じている卓哉からすると、洋文以外は人外なのではと思わせた。

卓哉がこうなのだから、玲もある程度は目星は付けているだろう。だが、狼からしたら玲の真偽が付かないので、狂人かもしれないと思うと噛めないだろうと考えて、玲はフラットと言ったのだろうと卓哉は思った。

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