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異世界人
体が上手く動かせない。
目も開けないが音は聞こえる。
草が揺れる音が聞こえる。
それ以外の音は聞こえない。
俺は一体どこにいるんだ。
『ヒール―』
試しに唱えてみるが特に自分の体に異変はない。
あれ、どうしてゲームの呪文なんて唱えたんだろう。
突然、風によって揺れて聞こえていた草の音が異常に遠くから聞こえるようになった。
何が起きたんだ。
目が薄っすら開けれるようになったので開けるとそこには五メートル近い草が生えている。
「なんじゃこりゃ~」
目の見える範囲は全てこのような草が生えている。
「とにかく進むしかないか」
草を掛け分けながら進むが特に何もない。
どうなってんだこれ。
十分ほど歩くと遂に草の中から抜け出せた。
「あっち~、これは一体何なんだよ」
「それはこっちが聞きたいがね」
「うん、そうだね。そうだよ」
巨大草を抜けた先には白い髪の少女と黒い髪の少女が立っている。
ここがどこかすぐに理解出来た。
完全にここは異世界だ。
だって俺のいた世界にネコミミを生やした人間なんていなかった。