マッチョ
「おい、その大量の石とか何に使うんだ」
「こうやるんだよ『ヒール』『ヒール』『マナヒール』『マナヒール』」
「何してるんだ」
「まぁまぁいいから。後三秒経ったら塔を開けてくれ」
「おう」
「開けろ」
「挑戦者だ」
ガンドの声により芋けんぴが開いた。
「突っ込め!」
「おう」
「今日こそは諦めさせてやるよ」
「マチ キケン」
「気づくの速いな」
「食らいな」
俺は『ヒール』がかけられた石や木の枝を投げつけた。
時間ぴったりだ。
まず第一弾。
〔バン〕
自分たちがいる一体が真っピンクになる。
ガンドにも知らせてない。
チョにより悟られないように。
でも、俺が何かをしようとしていたのは分かっていたはずだ。
「マチ ウシロ」
「遅い」
「っく」
「一撃食らわせたぞ」
「いいぞ。その調子だ」
次はこれだ。
俺は「マナヒール」をかけた水や木の枝を投げた。
「マチ マタ キタ」
「っふ、こんなもの」
マチは上に向かって跳んだ。
そうすると思ったぜ。
でもな、今回のは・・・
「ガンド、木の枝とかに『ストレイン』をかけろ」
「おう『ストレイン』」
「あたしに魔法は効かないよ」
「知ってるよ」
でもな今回お前を倒すのは化学物質だ。
俺は『マナヒール』をかけたら重曹が出来ると思っていた。
でも、違った。
ランダムに適当な薬品が出てくる。
実験中に一回だけ王水が出てきてビビったが一瞬で消えた。
危険度に応じて出現時間が変わるらしい。
だけど言えることがある。
一つの薬品なら安全かもしれないが、世の中には化学反応ってもんがあんだよ。
俺が待っているのは水素化ホウ素ナトリウムと塩化アルミニウムだ。
この二つが合わされば爆発が起きる。
これでマチを少しでも弱らせる。
それくらいすれば準備万端で待ってるガンドがやっつけてくれるだろう。
そして、仕上げに。
「くらえ、チョ」
手元にある残りものを投げつける。
きっとこれで動かなかったチョも動くだろう。
まさか、味方が受けている謎の液体やピンクの煙幕が出てくるかもしれないものを避けないなんてことは
ないだろ。
「コレ イラナイ」
チョは残りものを投げ返してきた。
やっぱりそうするよな。
俺が投げた残りものには何も効果はない。
きっとその事は分かっていたから触ったのだろう。
俺はチョが読める思考を半分くらい理解していた。
この読める能力は直前の事しか分からない。
後、自らが動いた時には発動しない。
つまり俺が投げた瞬間に発動した魔法を理解できなかった。
俺は『ヒール』をチョの足元に撃った。
回数で言うとざっと二十回ほど。
人間に撃ってたら本当に死んだかもしれない。
そして、起こったことと言えば芋けんぴの地面に刺さっていた部分が上空に打ち上げられた。
そう、つまりチョは今地面から二百メートルほどにいる。
「ガンドどうだ」
「はぁはぁはぁ、なっなんとか倒せたぞ」
「ナイスだ」
ガンドは血みどろになりながらもマチの頭を地面につけさせていた。
これで後は。
「『マナヒール』『マナヒール』『マナヒール』」『マナヒール』『マナヒール』『マナヒール』『マナヒール』」
物理ダメージが全く効かなかったとしてもこれでチョはぶっ倒れるはずだ。
数秒後チョは頭から地面に突き刺さった。
そして、俺たちの予想をはるかに超えたスピードで立ち上がった。
「オマエ カチ」
「勝ちって言ったよな」
「あぁ言ってたな」
「よっしゃ~」
「これでやっと二つ目の国に入れる」
「かなり時間を食ったがこれでも早い方だろ」
俺たちは雄叫びをあげながらその場で暴れまわった。
まぁ、すぐに力尽きて俺たちはぶっ倒れる事になったが。
はぁ~。
勝ててよかった。
疲れた~。
寝るしかねぇ~な。
少しくらないなら別に――――――――――。




