芋けんぴ
俺たちは管理塔に向かった。
入るために並んでいる人がいると思いきや誰もいなかった。
大体の人は何かパスポートみたいなものと掲げて何か叫んでいた。
きっとそれで入れるんだろう。
羨ましい。
誰かのパクって入りたいな。
もしくは一緒に入らせてほしいな。
「ガンド」
「なんだ」
「他の人に頼んで許可書で一緒に入らせてもらえないのか」
「無理だな」
「どうして」
「最初に入れる人数を設定してるんだ」
「なるほどな」
「塔で力を示せばいいんだから別にいいだろ」
「でもさ、それにデメリットとかないのかよ」
「そこまでは聞いたことがないな」
「でもさ、一ヵ月だぜ。裏があるって」
「そうか」
「そうだって」
ガンドはこれだから危機感が薄いんだよ。
こういうのは少しでも才能を見出されたら訓練させられるパターンじゃん。
だから一ヵ月掛かるんだろ。
まぁ、才能なかったら訓練すらされないからいいか。
でも、ガンドが訓練される可能性はあるな。
まずは俺が戦ってから決めるか。
ガンドが戦うかどうか。
どうしたもんかなぁ~。
はぁ~。
この世界に来てから何かと面倒ごとばっかりだな。
疲れるぜ。
まぁこれこそラノベ主人公って感じだな。
おっ、あれが管理塔か。
なんか、細長いな。
形、芋けんぴみたいだな。
地面に刺さった芋けんぴが傾いたって感じ。
ダサい。
どこかで見た少女漫画で男が主人公の女の子の髪の毛から抜き取りそう。
「どこから入るんだ」
「挑戦者と叫べば扉が開く」
「どこが」
「あの建物がだ」
「どうやって」
「花のように開くと聞いたぞ」
「マジで」
「俺も生で見たことないからな。それは分からん」
「適当だな」
「すまなかったな」
「まぁ、試せば分かることか」
パカって開いたらおもろいな。
「よし、俺が先に試していいか」
「いいぞ」
「俺が挑戦者だ」
〔バァァァァァン〕
四方向に芋けんぴが開いた。
てか、絶対に二階建てだろこれ。
二階にいたであろう人落ちて行ったぞ。
大丈夫か。
頭から行ったように見えたけど。
「シュースケ行くぞ」
「お、おう」
俺たちは芋けんぴの中心に頭が刺さっている人と仁王立ちで寝ている人がいる元管理塔に俺たちは歩き出した。




