再出発
翌朝目を覚ますと飯のにおいがした。
日も昇ったばかりなのかまだ薄暗い。
「ガンド早いな」
「そうか、こんなもんだろ」
「お前マジでいいやつだな」
「そうか?」
「だってまた釣りしただろ」
「いいや、してないぞ」
「じゃあどうして魚焼いてるんだ」
「昨日飲み水を冷やすために水につけておいたんだ。箱と一緒に」
「そうしたら中に魚が入ってたと」
「その通りだ」
「マジ」
「事実だ」
ここの魚頭悪いんじゃないか。
なんか哀れに思えてきた。
もう少し脳みそ発達させた方がいいと思うぞ。
そこの川で流れてる魚たちよ。
俺が脳に刺激与えてやつか。
「『マナヒール』」
っふ。
これで頭に刺激が来てましになるといいな。
ん?
なんか川の色変わってきてないか。
透明に近い色から青に近くなったような。
まぁ、俺し~らね。
「速く飯食おうぜ」
「どうして、焦りだしたんだ」
「別に何でもねぇ~よ」
「まぁ、それならいいが」
「そうだよ」
こいつ頭がキレない奴でよかった。
これで隠し通せるだろ。
もし、体に悪い感じになってたらどうしよう。
完全に川で流れてる水の色じゃないし。
どうか、疑問に思いませんように。
俺は黙々と飯を食らった。
特に疑われてる様子もなかったので俺は安心していた。
その瞬間までは。
「俺手洗ってくる」
「おう、行ってら」
はぁ~。
食った、食った。
でも、手を洗いに行くのか。
まあ清潔感のある子。
ん?
何か見落としてるような。
・・・・・
あっ。
ヤベ。
「ガンド待て」
っていねぇ~。
もう川にいるのか。
あぁ~。
川の目の前にいる。
終わった~。
色違うのバレる~。
絶対問い詰めてくる。
最悪だぁ~。
言い訳するしかない。
「おい、ガンドこれは違うんだ」
「えっ、何が」
「えっ、この川の色」
「何か異変あるか」
「いや、前より青くなってないか」
「そう言われればそうかもな」
「えっ、なんかサバサバしすぎじゃね」
「そうか」
まぁ、別に怒られないならいいか。
俺もせっかくだから手洗っとくか。
なんか躊躇するな。
ふぅ~。
よし。
うぁ。
なんかピリピリする。
炭酸水触ってる感じがする。
こんなの頭に直接入ったら死ぬぞ。
まさかな。
そんな分けないと思うけど。
『ヒール』の時も人間と食べ物とか無機物では効果が違ったしそう言う事だろ。
そういうことにさせてくれ。
頼む。
てか、このじゃ魚死ぬくね。
ふぅ~。
俺は考えるのを止めた。
・・・・
諦めるか。
だって仕方がないし。
いつかこの水に慣れて生きていける体に進化するんだぞ。
魚たち頑張れ。
「よし、出発するか」
「そうだな」
水に関してマジで何も言って来なかったガンドの神経を疑うがまぁ放っておこう。
そして、俺たちの不眠不休の旅が再開されたのだった。




