今後の選択
「てください、鈴谷さん。起きて下さい、鈴谷さん」
「あ゛っ、なんだよ。今日は日曜だろうが」
「いえ、そんな事はもう考えなくていいんですよ。起きて下さい」
「あ゛」
「いいから、起きて下さっい」
イッて、一体なんだよ
目を開けると俺の目の前には白いワンピースを着た大きな羽が生えたお姉さんが立っている。
「えっ、誰」
「私はリエル・セラ、あなたの担当になった女神です」
「担当ってなんだよ?」
「あなたは数時間前地震によって命を失いました。そして、あなたは先ほどの地震の犠牲者の中から選ばれた一人です」
「選ばれたって何に選ばれたんだよ」
「何って決まっているじゃないですか。今後の選択ですよ」
目の前の女神が何を言っているのか意味が分からない。
今後ってなんだ、俺はもう死んだんだぞ。
「どういうことか説明してくれ」
「先ほどの大地震によって一万人近くの死者が出ました。その中でも数人とある能力に優れた方々がいました。それがあなたです」
「とある能力ってなんだよ」
「それは言えません。こちらの禁忌に触れることになってしまうのです。しかし、鈴谷さんはもしかしたら気づいてしまうかもしれませんね」
もしかしてと、思っていたがこの展開的に俺は異世界に転生できるのかもしれない。
ラノベの読みすぎかもしれないが。
「じゃあ、選択ってのを教えてくれ」
「はい、選択は三つあります。まず、一つ目、新たな生を受け、違う人間として生まれ変わることです。先ほどの災害で亡くなった方は大体生まれ変わります。これは理ですので」
「もし、俺が生まれ変わることを選択したら何か特典はあるのか」
「ありません。あの世界になんかを入れることは出来ないのです」
こんなところに呼ばれるのだから何かあってもおかしくないのに。
なにか隠してるのか。
「どうして、何も無いんだ」
「お答えすることは出来ますが、一つ目と二つ目の選択肢を選ぶことはなくなると思いますよ」
「別にいい。教えてくれ」
「では、お答えしましょう。あの世界はゼウス神の実験施設です。そのため何か異常が起きた時にはゼウス神が影響しています」
「えっ」
俺が死んだのも多くの人間が死んでしまったのもこれからも未来も過去もゼウスが何かの実験の為にしているのか。
そんな完全に支配された世界に行きたくない。
実験のモルモットなんかになりたくない。
「そして、二つ目天界人になることです。私のように天界で働くことも出来ます。」
「つまり、ゼウスの下に付けって事か」
「まぁ、そう言う事になりますね。」
「どっちも選ばない」
「でしょうね。大半の方がそうお答えします。」
だろうな。あんな神の勝手で簡単に命を失う可能性がある世界なんて絶対嫌だ。
「そして、三つ目新たなる世界での生活です。この世界は出来て間もなく何かと異常が多くあるため、未だ神の手を入れることは出来ていません」
「いいじゃないか。神が関与していないなんて。でも、どうして関与出来ていないんだ」
「世界は神が創っているものじゃないんです。世界は勝手に出来て勝手になくなるか、一定の安定が生まれると神が実験などに使います。まぁ大半は鑑賞ようになってますけどね」
「つまり、俺は世界を安定させるために行くって事か」
「いいえ、違いますよ。あなたのような人が行く世界はもう一生関与することが出来なくなってしまった世界です」
「どうして、もう関与出来ないんだ」
「あなた方から見れば神は万能かもしれませんがそう言うわけでもないんですよ
だから、世界の中で何かが起こってしまっても関与出来ない世界が数多くあるんですよ。なのでそんな世界であなたは遊ぶことが出来るってことですよ」
遊ぶって怪しすぎる。きっと何が起こっているか調べるためだろう。
しかし、もしかしたら中で魔法とか使えるかもしれない。
決めるならココしかない。
「じゃあ違う世界に行く」
「そうですか。では違う世界ではあなたがモロすぎるのでこれで自分のステータスを決めて下さい」
「なるほど、つまりチート能力を得れるって事か」
いいじゃないか、こんな複雑な心情のまま行くのもなんだが、楽しく生活出来そうだ。
それに、俺ならきっとだれからもあがめられるヒーラーになれるに違いない。
にやけが止まらないぜ。
「いいえ、そんな事をしたら世界が崩壊しかけないのでそんな事は出来ません」
「マジかよ」
「そう、気を落とさないでください。中の上くらいにはなれますから」
「そうですか」
「では、どうぞ」
女神から、完全に見覚えのあるデバイスを渡された。
スマホだ。
これはスマホ太郎なのか。
なんだか嫌だな。
「どうして、嫌な顔するのですか」
「いやっ、ちょっと思う事があって。何か替えないのか」
「では、これを」
今度はファミコンのコントローラーを手渡して来る。
さらに、女神は目の前にテレビを置き画面とファミコンを接続させていく。
「これでどうですか」
「これでいいです」
「そうですか、では一時間後にまたきますので好きなようにステータスをいじっておいてください」
「はい」
「では、のちほど」
女神は上空のどこかへ飛んで行った。