人影
三十本近くの木を拾い俺は元居た場所に戻ろうとした時、人影が見えた。
「おい、誰だ」
返事が返ってこない。
てか、俺の方向いてんのか。
いや、逆を向いてるな。
全く反応がないぞ。
大丈夫か。
ここらに木を置いて話しかけるか。
いやでも、ここにいるなんて変だ。
草も折れてなかった。
いや、俺らより後に来たのかもしれない。
だけど・・・
クソ。
どっちだ。
近づいても安全か。
少し試すか。
持っている木を一本だけ手に残し地面に置く。
「くらえ~」
我ながら素晴らしい軌道だ。
完全に頭に当たる軌道。
これで少しくらい反応するだろ。
〔ドン〕
頭に当たり鈍い音がした。
その瞬間人影はぶっ倒れた。
「やべ、やっちまった」
殺しちまったか。
『リバイブ』を使えば何とか生き帰るか。
でも、『ヒール』と『マナヒール』はおかしくなってるのに、『リバイブ』はおかしくなっていないのはなんでだ。
今はそんな事考えてる暇はない。
生きてるか死んでるか、確かめないと。
「大丈夫ですか」
俺が人影があった場所に行く。
だが、そこには何もなかった。
唯一投げた木の枝があった。
どういう事だ。
一体何が。
あれ、ここ水とは違うぬめりがある。
なんだこれ。
「シャー」
「えっ」
俺の目の前に緑色の小人が立っていた。
いや、何でそんな言い方したのか分からんが。
目の前にいたのはゲームとかで見たゴブリンそのままだった。
マジか。
どうやって倒せばいいんだ。
モンスターに『ヒール』とか『マナヒール』って聞くのか。
でも、試すしかないか。
「『ヒール』」
「ぐぁ゛・・・シャー」
あぁ、効いてないな。
どうしてたらいいんだ。
一応他も試しとくか。
「『マナヒール』」
「ぐぁ゛あ゛あ゛・・・シャー」
あぁ、『ヒール』よりは効いてるな。
でも、倒せないな。
どうしたもんかなぁ~。
『リバイブ』はさすがに無理だろうけどなぁ~。
でも、最後の一手だからやるしかないか。
もし、無理だったら爺の所に全力疾走するしかないな。
「『リバイブ』」
「っぐ」
ゴブリンは突然倒れた。
「死んだのか。おーい」
俺が手に持っていた木の枝でつつく。
一切反応がない。
これは死んでる。
でもどうして人には効く『ヒール』と『マナヒール』が効かずに蘇生魔法『リバイブ』で殺すことが出来たんだ。
回復魔法と蘇生魔法絶対的に違う何かがあるんだ。
体に及ぼす効果か。
『ヒール』ってどういった効果なんだ。
傷を治すのはどう治っていってるんだ。
細胞の急速な再生か。
新たな細胞の生成か。
じゃあ食べ物には何が起きてるんだ。
くそ。
ここは調べるしかねぇ~。
てか、そろそろ爺の所に戻るか。
まぁ、ゴブリンの死体なんてここに置いとけばいいか。
血も何も出てないし、大丈夫だろう。
さぁ、夜飯食うか。
どんなのが出来てるか、楽しみだなぁ~。
流石に大量の知恵を持ってるんだから美味しい料理が待ってるはずだ。
どんな料理なのか楽しみだなぁ~。
俺は木の枝を拾い爺の元に戻ることにした。




