表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒールのやりすぎは体に毒です!!  作者: 隠月
初めてのクエスト
21/49

食料調達

俺たちは崖を登ったあと坂をさらに登った。


「道ないんだが」


「当たり前じゃろ。こんなところに人が来ないんじゃから」


「ならもっと歩きやすいとこ歩こうぜ」


「どこもこんなもんじゃよ」


「ほんとかよ」


てか、草が膝より高いっておかしいだろ。


ほんとに養分吸われんのかよ。


上がこんなに吸われてないんだったら、あの植物をもっと下にすればいいじゃん。


まぁ、無理なんだからやってないんだろうけど。


ネトゲばっかせずにもっとアウトドアな事しとけば木から木に飛び移れたりしたのかな。


流石に、あんなにアクティビティーな陽キャでも無理か。


次元がアスリートだもんなぁ~。


はぁ~、この草の場所から抜けたいなぁ~。


「よし、ここらでいいじゃろ」


「なにがいいんだよ」


「野宿するのにじゃよ」


「はぁ~まだめっちゃ草あるんだが」


「当たり前じゃろ、もしモンスターが現れても草で見つかりづらい」


「でも、火焚けないじゃんか」


「あぁ、ここは寝る場所じゃ。ちょっと移動するからついて来るんじゃ」


「どこに行くんだよ。もう疲れたんだが」


「辛抱せい」


「はぁ~」


爺は野宿慣れてるっぽいけど頼りになんのかねぇ~。


食料もねぇ~しよ。


あぁ、腹減ったなぁ~。


なんか、異世界に来たの後悔するわぁ~。


死なずにネトゲしときたかったな~。


「おぉ、やっぱりじゃ」


「何がやっぱりだ」


「川じゃ」


「何で分かったんだよ」


「『長寿の勘』じゃよ」


「いい勘してんだな」


「いや、勘じゃない。『長寿の勘』じゃ」


「ん、スキルか。どんな効果なんだよ」


「年齢70以上の人間からの知恵を全て引き継ぐことが出来るんじゃ」


「へ~70か。それくらいならそれなりにいる?・・・だろ」


いや、そう言えば年長の人なかなか見ないな。


じゃあどうやって知恵を貰うんだ。


日本みたいに化学が発達してるわけでもないし病気にかかったら危ないのか。


『ヒール』とかも怪我とかにしか効果ない場合だけど。


一回『ヒール』の仕組みを研究するのもありだな。


面白そうだ。


「人間に70の奴なんてほとんど奇跡じゃろ」


「でも、村長70超えてそうな見た目してんじゃ」


「わしは人間とエルフのハーフじゃからな」


「見た目完全に人間じゃん」


「髪の毛だけ、母様に似たんじゃ」


「そうなんだ~」


「さらに、『長寿の勘』はエルフなどの長生きの者しか覚えないんじゃ」


「まぁ、そうだろうな。違う種族に隠してることもあるだろうし、知恵全部パクられたんじゃシェレにならんしな」


「そうじゃ。まぁ、そんな事はどうでもいい。さっさと食料を取るぞ」


「えっ」


「よし、頑張るんじゃぞ」


爺が俺に釣竿を渡してきた。


これで魚釣れと。


釣りの経験もほとんどないのに浮きも見えないこの暗さで釣んのか。


ほぼ無理ゲーなんだが。


「無理なんだけど」


「お主はお主が出来る分だけでいいんじゃ。そこまで期待しとらんからな」


「じゃなんで渡すんだよ」


「わしは食えそうな生き物を狩ってくる」


なるほど。


釣りか狩りか。


答えは簡単だな。


「俺釣りしとくわ」


「そう言うと思っとたぞ」


「じゃ、夜飯よろしく」


「他力本願じゃな」


「アハハハ、じゃ、マジでよろしく」


よし、これで夕食は確保出来たな。


良かった。


適当に座って思いっきり釣り糸が引いたら引っ張り上げればいいか。


はぁ~、疲れたなぁ~。


寝たいなぁ~。


どっかに座りやすい岩ないか探すか。


爺、早く獲物狩って帰ってこないかなぁ~






俺は三十分近く釣り糸を垂らし、魚が掛かるのを待ち続けた。


魚が掛かることより一番俺が苦労したのはもちろん・・・


睡魔だ。


物音も特になくただただ釣竿を持ち続ける作業は本当につらかった。


一番の危険は寝て川に落ちることだった。


今思えば自分に『マナヒール』をかけて脳みそを強制的に動かせばよかったのだが、脳が完全に停止していたため思いつかなかった。


そして、最後には体が九十度のお辞儀をしている時に爺が帰って来て俺に叫んだ。


そのおかげで川に落ちなかった。


この事だけは感謝してる。


なぜなら、その勢いで釣竿を引いて魚が釣れたからだ。


俺の成果は魚一匹、爺の成果は熊らしきものと鹿らしきものを一匹づつ狩ってきた。


「よし調理するぞ。火を起こすからそこら辺の木を拾ってくるんじゃ」


「はいはい」


「おっと、その前にこの生き物たちに『ヒール』をかけてくれ」


「あぁ、別にいいけど『ヒール』」


もちろん魚はつやがよくまるでスーパーで一匹三千円くらいの魚に見える。


二匹の野生動物もどきは黒毛和牛のような肉質になった。


上手そう。


早く食いて~。


「さっさと木集めてこんか」


「はいよ」


まぁ、あそこから解体作業があるからまだ食うのに時間が掛かるからいっか。


でも、少しだけ見えた肉。


マジで上手そうだったぁ~。


てか、このあたりに落ちてる木全部湿ってんだけど。


とある、美少女がキャンプする話だと松ぼっくりでもいいらしいが・・・


ここにはないしなぁ~。


まぁ、乾いてるのが無いか探すか。


めんどくさ。


でも、解体作業を見るのももっといやだなぁ~。


かなりグロそう。


適当に時間つぶしながら探せばいいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ