植物を目指して
一時間近く俺は壁にしがみつきやっと上にたどり着いた。
マジで死にそうだ。
命綱もないし、崖の角度もほぼ九十度だし。
なのに、爺はひぃひょいっと登って行くのだ。
さらに、俺の事を煽っていく。
その身体能力俺に回復されたもののくせに。
何が若者のくせにだ。
「よし、休憩しただろ行くぞ」
「まっ、マジで。もう、もう少し、きゅ、休憩させて」
「お主運動不足じゃ」
「ほっとけ」
「無駄口叩けるくらいならいけるな、ついて来るんじゃ」
「あ゛ふざけんなよ」
「アハハハ、ちゃっちゃとついて来い」
「何だと、あ゛」
「そうじゃそうじゃ、歩け歩け」
「『ヒール』意地でも負けね~」
「ほれほれ」
クソ。
あの爺速すぎ。
体の感覚が若返っただけじゃねぇ。
ここの土地歩きなれてるだけだろ。
あぁ、マジで疲れた。
『ヒール』したのにあんまり回復した気がしない。
でも、ぶっ倒れたくないし・・・
自分の限界も調べないとダメだな・・・
歩くしかない。
頑張れ俺。
あの爺に食らいつけ。
俺なら出来るぞ。
「速く来い」
「これでも全速力だ」
「っふ」
あ゛
キレた。
マジで痛い目見せてやる。
『ヒール』『ヒール』『マナヒール』『マナヒール』
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・」
「おう、やる気出てきたか。ほれ頑張るんじゃ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・」
「お主大丈夫か」
こっちとら、必死なんだよ。
マジで理性吹っ飛びそう。
俺まさか、弱いんじゃ。
いや、異世界転生してるんだ。
弱いわけがない。
「だ、大丈夫だ」
「そうか、あと三十分ほど行ったら植物だぞ」
「マジか」
山道だぞ。
角度四十度くらいあんぞ。
足持つわけないだろ。
あぁ、終わった。
なんか、頭が・・・・
「よし、頑張るんじゃぞ」
「あ゛あ゛」
「おい、よだれ垂れてるぞ。大丈夫なんじゃよな」
「あ゛あ゛」
「理性飛ばしたんかのう。ほどほどにしとくんじゃぞ」
「あ゛あ゛」
「ダメじゃ。まぁついて来るから良しとするかのう」
理性を失った俺は三十分近く時爺について行ったらしい。
爺が何度か水をぶつけたり、水分補給はさせてくれたらしい。
俺が意識を戻したのが植物の前だった。
個人的はいきなり超巨大な植物があってマジでビビった。
でかさで言うとそうだなぁ~。
屋久杉くらいはあった。
一本のツタで。
総合的に見たらあべのハ〇カスくらいはあった。
なぜ過去形かって。
俺が『ヒール』撃ったからさ。