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第7話 「ついに奴隷が出来た」

「よし、テレアも目が覚めたことだし……改めて“おっぱいを語り合う会”を再開するぞ」


「え?お、おっぱい……?」


セミナと同じ反応を示すテレア。


「はぁ……」


もうどうにもなれ、と半ば諦めた様子の

セミナに、テレアが耳打ちでこう言った。


「“おっぱいを語り合う会”ってなんです? まさか……え、え、えっちなことでもするんですか?」


顔を赤らめてもじもじするテレア。

そんな彼女にセミナは……


「直接何かされるわけではないけど……色々聞かれるわよ。現に質問攻めにされたしね」


直接何かされるわけではない。それを聞いて

安堵した表情をするテレア。

しかしそれもつかの間で、疑問を抱いた表情に

変わる。


「質問攻めって、それは具体的にどういうの……?」


そこでセミナは俺の方に目を向けて睨む。


「何カップ? とかどうやって大きくしたの? とか。まったくデリカシーのかけらもない……!」


それにつられて、テレアもこちらに目を向ける。


「そ、そうなんですか~要するに、この人はおっぱい魔人なんですね……」


「あ、それ私も同じく思ってた」


「……」


二人は小声で耳打ちし合って、

何故か意気投合していた。

しかし、こちらには全て筒抜けだ。

一応、仲間を瞬殺したとんでもない奴を

目の前にして“おっぱい魔人”と言える辺り、

肝が据わってんなぁ……なんて思ってたりした。いや、そう言われるのは仕方がないんだけども。

まあ、いつでも話せるわけだし……

満足いくまで話させておくか。

……テレアのおっぱいを眺めながら声をかける。


「おい、テレアとやら」


「は、はい? なんでしょうか?」


俺は今思っていることを素直に彼女に伝える。


「お前のおっぱいは、一級品だ。自信持て」


そう言うと、テレアは何故か顔を真っ赤に染めて

両手でそれぞれ自分の頬を触る。


「あ、ありがとう……ございます」


その一級品のおっぱいは、俺のものだがな。


何を嬉しそうにしてんのよっ、テレア。と彼女に聞くセミナだったが、それは気にしないでおく。


そう思い、ステータス画面を開いて

新たに追加されたスキルを確認しておく。


「うーん」


スキル一覧の中にある、この“奴隷契約”というものを眺めて、俺は唸る。

名前からして……

奴隷ハーレムを作れそうではあるが。


[奴隷契約] LV.1


消費MP:706


スキル使用者が主人、対象者が奴隷といった

関係を強制的に築くことができる。

ただし一度かけた契約は永遠的に継続され

解除することは出来ない。

詳しいことは下記のとおり。


1.主人の全ステータス10分の1の値が、

奴隷の全ステータスに加算される。

(ただし主人のステータスに変化はない)


2.主人と奴隷は、互いにダメージを与えることが出来なくなる。奴隷と奴隷もまたしかり。


3.主人は奴隷のいる位置を常時把握出来る。


4.契約する奴隷の数に制限はない。


5.このスキルのレベルを上げると

新たな効果が追加される。



……となっている。


もちろん今すぐセミナ達と“奴隷契約”することは簡単だろう。

しかし、二度と解除出来ないとなると

流石に慎重になる。


いやでも、互いにダメージを与えないとなれば……束縛を解くことも出来るわけだ。


ああ、でも……くそ、どうするかな。


女二人の方を目を向けてみると、

まだ話していた。


「へえ~毎朝ミルク飲んでるんだ」


「ええ。小さい頃から毎日飲んでて、気づいたらこんなになっちゃったんです」


えっへん、と大きいおっぱいを揺らすテレア。

それを目の前にしたセミナは自分の胸に

目を落とす。


「私も……飲もうかな」


「もしミルクを飲むのでしたら、温めて飲むのを勧めますわ。お腹にも優しいのですし。」


テレアはふふっ……と可愛らしい微笑みを

見せる。


「なるほどねぇ……早速明日から飲んでみる!ありがとうね、テレア」


「いえいえ~」


あの……一応、束縛されてるんですよ、

あなたたち。

まるで、“明日は普通に生活できる”みたいな

発言されても。


女二人は普通にガールズトークをしていた。

仲間を瞬殺した時のように恐怖心が宿っていた表情は……今そこにはなかった。

もはや、これは図太いという以前に

俺を舐めてるとしか思えない。


「はぁ……」


俺はため息を吐き、イスに座り直して

部屋の中を見渡す。


冷蔵庫はないな。

まあ現実世界とは違う異世界なわけだし……

冷蔵庫という概念がないのかも。

いや、しかしミルクがある自体

冷やす必要があるのではないか?

それに温めるとか聞いたし、それらしいものが

売っていたりするのかも。


……ん?

…………ミルク?


「あっ」


確か、この女二人ともこれから魔王を

倒しに行く所だったよな。

ゲームの中で出てくる魔王はなんと女で、

魔王なのにミルクが大の好きという所が、

印象的だったのを思い出した。


……しかし、この女二人ともここに置いて

出ていくのか?

いくら束縛してるとは言え、

万が一解かれたら後々面倒になる予感がする。

そう思って女二人を眺める。


「何よ」


それが気に入らないのか、セミナは

いっそう睨んできた。


「やっぱりヤる気になった? いいわよヤっても。ただそんなことしたらアンタの末裔まで恨んでやるんだから!」


「わ、私は……その、今日は大丈夫な日ですから……」


「テレアっ、コイツはとんでもないおっぱい魔人だから、“胸だけで許してください”って言えばイチコロよ!!」


畳みかけるように喋り立てるセミナにすっかり圧されたテレアは

心底恥ずかしそうな表情になり、こう言った。


「む、胸だけで許してください……」


「ヤらねえよお前ら」


ってか大丈夫な日ってなに。

というかこの茶番はなんだ。


……よし、“奴隷契約”しよう。

それ以外に手はない。

まだ“おっぱいを語り合う会”やってないしね。

それに、二人のいる場所がいつでも

分かっといた方がいいよね。うん。

そう自分を諭して、スキル一覧を開いて

“奴隷契約”のスキル使用画面まで開いておく。


「おい、お前ら」


女二人に声をかけて、次にこう言う。


「突然だが、俺の奴隷になってもらうぞ」


「はぁ……?」


「ふぇ!?」


何言ってんだコイツと言いたげな表情のセミナ。テレアは……完熟トマトのように顔を赤らめていた。もう完全にマゾヒストだろコイツ。


「悪く思うなよ!!」


そして、二人と“奴隷契約”をした。

いや、契約したと言ってもただ[はい]の枠を

押すだけなんだけどね。


「……ッ!?」


「これは……?」


二人は自分の体をあちこち見渡す。

どうやら、奴隷契約した際の効果1が

発動したようだ。

現に二人の力が強くなってる。

……ような気がする。


さて…もう束縛する必要はないな。


「あ……」


不意に声を漏らすセミナ。

……俺は無言で、二人の束縛を解いた。


……

…………

………………

あれ?

襲ってこないな。


ラロスの見解では、束縛を解いた瞬間

奇襲してくると思っていた。特にセミナが。

だが、セミナは何故か顔を伏せている。

その一方、テレアはやっと解放されましたぁと

腕を上に伸ばしていた。

……テレアはともかく、セミナは意外だった。


なんだか調子狂うなおい。


「どうしたお前」


流石に心配になってきたので、セミナに

声をかけてみる。


「……っ」


すると、彼女はパッと顔を上げて思いっきり

俺を睨みつける。……頬を赤らめながら。


「セミナ?」


なんだか彼女の様子がおかしい。


体をもじもじさせて……もしかして、

トイレか?


……奴隷契約した際の衝撃で尿意が催した?

そうだとしたら相当マヌケな話だ。


ははっ、実に面白い!

あ、今のは別にマネしたわけじゃないぞ。


念の為、俺はトイレの位置を確認しておく。


「ふむ」


この部屋はユニットバスと合わせたタイプ

だった。


そして、バスルームのドアから出て

ベッドの上でもじもじしているセミナに

こう言った。


「トイレならここでしろよ……ぶばッ!!」


そう言った瞬間、

セミナの拳が顔に飛んできた。

“奴隷契約”のおかげで、ダメージはないとは

言え、衝撃は受けるらしい。


そのため俺は地面に背中から倒れた。

何が起きた─────と周りを見渡す。

すると、バスルームのドアが見事に閉められていた。

……やっぱりトイレじゃん。

テレアの方に目を向ける。


「あ……」


彼女と目が合った。


それから数秒間ぐらい見つめ合う。


「……ぷっ」


殴られたのにも関わらず、何故か俺は

自然と頬が緩んだ。


「ふふふ……」


それにつられてテレアも笑う。


「「あははははっ」」


初めこそ小さな笑い声だったが、

次第に声が大きくなっていく。

その声がセミナにも聞こえたのか、

セミナがドアから出てきた時は……

もはや怒っているのか恥ずかしいのか

分からない表情でまたもや俺の頬に拳が

飛んできた。


二度も殴られるのは納得いかないが……

いや、セミナのパンチ……異常なほどに

速いんだって。まだまだレベル上げしないと

避けれそうにない。


まあ……なんだかんだ言って、

二人との距離が少し縮まったのを感じた。


ついでに言うと、ひょっとして夢じゃないのでは、と思い頬をつねってみる。


「……いて」


普通に痛かった。

ということは夢ではないんですネー

ワーイ。

薄々気づいてはいたから

そんなに気にはしなかった。


さて……こいつらの代わりに魔王の所に行くか。そうだ、ついでにミルクでも

買っていこうかな。


つづく


次回予告


ついに魔王の元へ行くラロス。

その途中で……?






面白かったら幸いです。

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