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第3話 「レベルが1上がっただけでこんな」

森の出口から随分と離れた場所で足を止める。


「さてと」


今、何をやるべきか。

ここに来た以上何をするべきか。

改めて考えてみる。

……ついでにステータス画面を開いて、

パラメータをじっくり見てみる。


うーん…

やっぱりこのステータス破格的だよなぁ。


そんな時、名前の横にある「LV.1」という

文字が目に入る。


そうだ、レベルアップしとこう。今のままでも充分強いが…

さらに上を目指す。

それに強いと女にモテるという謎の法則が

異世界にはあるらしいからな。


そんな謎の法則を根拠に、レベルアップに

挑むラロスであった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


なるべく森の出口から離れて、敵を探し回る。

そう簡単に敵なんて見つかるはずもないか、

なんてラロスは思っていた。


「いた」


木の陰に敵がいた。

ぽよぽよとした可愛らしい敵はこちらの様子をうかがっている。

そう、それは青いスライムだった。


っと、武器が無きゃ戦えないな。


ここまで来て武器がなかったことに気づく

ラロスは、周りの地面に視線を向ける。


「これでいいか」


幾つかある木の棒の中から丈夫そうな棒を

手に取って、剣道っぽく

前に棒を出して構えを取る。


「うわっ」


それを待ち構えていたかのように、青いスライムがこちら

目掛けて突撃してきて、攻撃を食らってしまう。


…あれ?


しかし、攻撃を食らってしまったという

質感がない。

相変わらず青いスライムは何回もこちらの体を目掛けて突撃してくるが、そんなことは

気にせずステータス画面を開いておく。


そこに表示されるHPは 771/771 の

ままだった。


もしかして、異常なほどに高い防御力のおかげ

でダメージを受けないのかもしれない。

だとしたら好都合だ。

レベルアップしとけばどんな攻撃にも

物怖じせず立ち向かえるからな。


手にある木の棒を青いスライムに向けて

軽く振り下ろしてみる。


「……アレ?」


木の棒が青いスライムに触れた途端、

スライムは瞬間移動したかのように消滅した。


これって、倒したことに……なるんだろうか。


ステータス画面を見ると、

経験値が 0 から 20へと上がっている。


スライム一体で経験値20……か。

なんだがこのゲームをプレイしていた頃はもっと少なかったような…。ま、後二体倒せばレベルアップ出来るわけか。


いかにも、というタイミングで

青いスライム二体が他の木の陰から出てくる。


「いい所に来た!」


青いスライムは、二体ともこちら目掛けて

突撃してくるが、

今度は不意を取られなかったため

簡易に応戦することが出来た。


「よっ、と!」


木の棒を、二体同時に左から右へと横に

振り回す……いや、斬った。

思った通り、スライム二体はふっ……と

消滅する。


┈ チャララチャチャチャーン ┈


いかにもそれっぽいレベルアップ音が

どこからか鳴った。それと同時に、

自分の体に力がみなぎるような感じがした。

……期待と緊張を持って、ゆっくり自分の胸に

手を重ねて、ステータス画面を開く。


「」


声を失った。

そのステータス画面に書かれていたのは───


ギーゼ=ラロス



LV.2


経験値 10/150


HP 771 → 1071


MP 201 → 336


攻撃力︰ 243 → 393


防御力︰ 247 → 407


腕力︰ 243 → 393


魔力︰ 201 → 336


体力︰ 247 →407


敏捷︰ 120 → 200


大幅なステータスアップだった。


こりゃいい!

レベルを1上げただけなのにこんなに強くなって

気持ちいいものだったとは。


「ははっ!」


思わず声を出して笑ってしまう。

俺はレベルアップに取り憑かれたように、

ひたすらスライムを見つけては倒して

見つけては倒して……経験値稼ぎを繰り返した。

そして、空も完全にオレンジ染みた赤になり

これから暗くなろうとする時間に

さしかかった。


「ふう」


LVも5になったし、もうここら辺で

休むか。


そう思って木にもたれかかって座る。

その時。


┈ 新たなスキルを取得しました ┈


どこからか、そんな声が聞こえる。

ステータス画面を開いて、スキル一覧を押す。


「……“気配察知”と“束縛”か」


簡単に説明すると、

気配察知はその名の通り周りの気配を察知するスキル。束縛もその名の通り敵を束縛して

こちらから解除するまで動けないという

スグレモノだ。


よし、“気配察知”……試しに使ってみよう。


「ん?」


そのスキルを使用してすぐ、近くに人の気配がした。

……どんな感じかは説明しづらいが

なんとなく、そこにいるような感じだ。


どうせ、ラロスとして来たんだ。

悪役は悪役らしく、こちらから出向いてみるか。


そう思って気配がする方に足を運んだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


木の陰から目を覗いて、

気配の正体を知る。

その正体とは、先ほど見かけたこのゲームの

主人公達一行だった。


「これから、魔王を倒しに行くんだよね……」


緊張めいた表情をして、肩まで届く

長い赤髪の女…このゲームのメインヒロインが

そう言う。

体つきはそこそこで、やっぱり顔は良かった。

正直今すぐヤリたいぐらい。


「ああ、これが最後の戦いだ。しっかり気を締めていこう」


このゲームの主人公だからか、

その男は頼もしく思える発言をする。


「はいっ、めいっぱいサポートしますね」


見事なほどの黄色い髪の色をしていて、腰まで届く超ロング髪。女神と同じぐらいの艶かしい顔と体つきをする魔術師の女がそう言う。……胸が揺れる辺り、女神と同類なのではないか

と疑ってしまうほどだった。


「おしっ、雑魚敵はオレに任せろ!」


なんて格闘家の声が聞こえる。

無駄にでかい筋肉。

普通に見れば凄いもんだな……。


この様子からすると、

どうやら魔王を倒しに行く所らしい。

確か、魔王も女だったような……まあ、それよりも

記憶の限りでは、時間軸は最終章のようだ。

故郷に戻って準備を終え、

最後の戦いに出向く所。確か、この時の

パーティ推奨レベルは50だったな。


「……」


……普通に考えればレベル5がレベル50に挑む

なんて無謀だ。わざわざ死に行くようなもの。

しかし、今俺のこのチートスキルがあれば

それも関係なくなる。それにこの“束縛”を使えば、あのメインヒロインもモノに出来るかもしれない。ついでにあの女神みたいな女もモノにする。そう思ったら……


「ふっ」


自然と口の片端がつり上がってしまう。

これから魔王を倒しに行くだのなんだの

どうでもいい。

今はただ俺の欲望のままに突き進むのみ。

そう、今こそ20年の童貞(おっぱい)を卒業する時だ。

そう思って、彼らの前に立ち塞がるのだった──────



つづく



次回予告


主人公一行の前に立ち塞がるラロス。

そして女どもをモノにして───!?



面白かったら幸いです。

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