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第20話 「騎士団長代理からのお願い」

こちらの不手際で、一話飛ばして投稿してしまいました。読書の皆様、すみませんでした……

「わかった、話を聞くよ」


「あ……ありがとうございます!」


そう言うと、少女は無邪気な笑顔で頭を下げてくる。


「あぁ、俺はラロスだ。……お前は?」


「私の名前は、ティニアと申します。一応……騎士団長代理です」


「……は?」


騎士団長代理? つまり、副騎士団長ってことじゃないか。驚愕した表情で、俺はティニアを見つめる。


「あ、いや違いますよ? ただ成り行きでそうなっただけというか……」


「ああ……なるほど」


つまり。コイツの親族か親しい事柄の誰かが騎士長ってわけか。


「私の姉が、騎士団長なんです」


ティニアは騎士団長である姉のことを誇りに思うのか、嬉しそうにそう言った。


……おっぱい大きいのかな、その騎士団長。


とてもこの場に似合わぬ思考を浮かんでしまい、自制する。


「でも……」


「ん?」


しかし、ティニアはすぐに沈んだ表情になる。


「今の……姉は、おかしくなっています」


「おかしくなった?」


「はい、具体的に言うと……」


ティニアの話によると、ここ……“ラノッヒ”のすぐ隣にある大きな街“マクホクス”の陛下が謎の病にて倒れたらしい。

そこで、“マクホクス”の大司教であるタマスが

代わりとして国を支配しているとの事。


「それで……それがお前の姉と何の関係が?」


「姉が率いる騎士団は、陛下直属なんです。陛下が病に倒れてしまって……一つ下の階級にいるタマスが代わりに騎士団を支配している……ということです」


「なるほど」


それにしても、陛下が謎の病で倒れるなんて

ゲームにはなかった展開だが……

どうやら、これは俺の知っているゲームとは別であると認識した方がいいようだ。


「ここまでは良いのですが……陛下が謎の病に倒れたのは、タマスの仕業なんです」


「タマスの仕業ね」


「ええ。タマスは、陛下の食事に毒を入れて陛下を亡き者にしようとしていました」


「……」


なんだか話が大きすぎてイマイチ実感出来なかった。


「ですが、タマスの手違いで亡き者にすることが出来なかった。けど結果的に“国を支配する“という陛下並の権力を手に入れたタマスはさらに野望を広げようとしたのです」


「うん」


「姉は、陛下に恩を感じていて……それを知っているタマスは“陛下”という言葉を利用して騎士団をコントロールしているんです」


「こんとろーるかぁ」


「姉は、陛下が倒れられてから変わりました。以前より我を忘れて国民を守ることに必死になって……私たちや親しい事柄に見向きもしなくなりました。」


「うん」


「タマスのことを、姉に話をしても信じてくれませんでした……」


そう言って悔しそうな表情をするティニア。


「あー……ちょっと待って、ティニア?」


「はい、何でしょうか」


至って真剣な瞳で俺の瞳を捉えてくるティニア。この瞳を見ると、“説明が長い”なんてとても言えなかった。


「あー……んとなぁ」


そのため、俺は言葉をオブラートに包んで彼女に伝えることにした。


「簡単にまとめて言ってくれないかな……なんかこんがらがってさ」


オブラートに包めたかどうかは確かではないが。


「あ……すみませんでした」


申し訳なさそうに頭を下げてくるティニア。


「では、簡単にまとめて言いますね」


ティニアは少し考える素振りを見せて、

改めて俺に向き直す。


「タマスの野望を止めて、姉の目を覚まして下さいっ」


うむ、大いに分かりやすくて結構である。

つまりタマスとやらは国王を病に倒れさせた犯人で。


「……俺はこれからお前に最低の質問をする」


「え? は、はい」


至って真剣な俺の表情に戸惑いを覚えるティニア。


「お前の姉は、胸がでかいのか?」


「ふぇ?」


そんな俺の質問に、呆気を取られるティニア。


「ええと」


視線をあちこちに泳がして落ち着かない様子の彼女。そして……


「お、大きい方ですよ?」


自分の胸に目を落としてしょんぼりする様子のティニア。


「なるほど」


それなら引き受けよう。なんなら俺は

おっぱいを見るために転生したのだから。


まだしょんぼりする様子のティニアに俺はこう言った。


「大丈夫。俺は小さい方もいける口なんだよ」


「そうなんですか!」


ティニアは、顔を上げてぱぁああ……と明るい雰囲気になる。しかし、それもつかの間で。


「って、そ、そういう話をしてるんじゃありませんっ」


恥ずかしそうな表情をするティニア。


そうだなぁ、本題に戻らんとな。


「わかった……引き受けるよ」


「本当ですか!! ありがとうございますぅ……」


「おわっ」


安堵して、気が抜けたのか膝が崩れるティニア。そんな彼女を慌てて全身ごと腕で抱える。

抱えた際に感じた体の柔らかい感触は、やはり女のそれだった。


「あはは……すみません、ラロスさん。嬉しすぎてつい」


そんな彼女に、俺は軽く笑って彼女を支える。


嬉しすぎて、膝が崩れた……か。

それだけ必死だったんだろう。


そう思うと、おっぱいとは別にティニアの手助けをしたい気持ちが強まっていった。


「タマスはともかく……姉の目を覚ますってどうやるんだ?」


「あ、それは……あなたがあの男の人にかけた技が効くと思うんです」


“一本背負投げ”のことか。

騎士団長に“一本背負投げ”をかける……って

なんだか笑えるタイトルだな。


普通に本として出せるんじゃね?


そんな俺の思考を遮るかのようにティニアは言葉を続ける。


「あいにく、姉はマクホクスいちの“最強”と呼ばれるぐらいの実力者でして……ありとあらゆる攻撃も、剣でさばけるんです」


「マクホクスいちの“最強”ね」


最強か。最強という言葉にそそる感覚を覚える俺だった。


「ラロスさんが持つ技ならば……もしかしたら、姉に一矢を報いることが出来るかもしれません」


なるほど。あくまで“一矢を報いる”ね……俺の能力って低く見られているっぽい。だったら……その姉とか言うやつを叩き潰すのみ。


「分かった。期待は……しないでくれよ」


最後まで、謙虚を続ける。


「あ、ありがとうございます!」


二度目の、嬉しそうな表情をして頭を下げた。


弱いと見せかけて実は強かったみたいな展開が大の好物だ。愉快だし。

その姉とかいうやつがどんな強さを秘めているのか……それを確かめたくなった。

さて、寝ている三人はどうするかなぁ。


つづく


次回予告


ついに隣町に越すラロス。

セミナ達はどうするのか?

そして、そこで何が─────────!?



読んでくれた皆様、誠にありがとうございます。

面白かったら幸いです。


感想、レビュー、ブクマ、評価……もし良ければお待ちしております。


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