第1話 「俺は天にお召しになられた」
初めて転生シリーズを書きます…
文法がおかしな所、誤字などがありましたら
ご報告していただけたら幸いです。
「……ふう」
リビングに敷いてあるマットにあぐらをかく。
色々やるべき事を全て終えて、
今この夜……ついに俺── 駒田 康雄は、
大好きなゲームをする。
毎日ゲームしてるもんだから、ついに……なんて言葉はいらないが。
そう思ってゲームを起動する。
このゲームは発売した日からほぼ毎日プレイしている。世界観やストーリーこそ王道だが、登場するキャラが良いのだこれが。おっぱいも良いし!……今、テレビにゲーム画面が映し出される─────────
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……あれ?
ゲームのスタート画面が映し出されるのを
確認した瞬間、どこかから心地良い風が吹いてくる。
気がついたら、見知らぬ空間の中に俺は立っていた。
「え……ここどこ?」
右を見ても、左を見ても、上を見ても、後ろを見ても、どこかしらも白かった。
ただ、白。それしかなかった。
どうすんのこれ────と思った矢先、
どこからか、艶かしい姿の女が上から
降りてくる。
「迷い子羊よ、汝は何を求めるか─────」
いかにもそれっぽい台詞を声に出す女。
よく見てみると、女神……っぽかった。白い服に、おでこに何か
立派な頭飾りをしていた。
「うわぁ……それ言って恥ずかしくないんですか?」
「いや、その」
素直な意見を出したのに、何故か女神は困ったような表情を見せる。
「えーと……そう言うのが決まりと言いますか」
「そうなんですか。それはまた大変ですね……」
「はい……」
「……」
何故か女神は泣きそうな表情になる。
「……とにかく、何を求めますか!?」
開き直ってそう言う女神。
何を求めるか、と言われても困る。
しいて言えば元にいた世界に帰してくれ。
としか言えない。
試しに、できる所まで沈黙を貫いてみる。
「……あれ?」
さっそく女神が疑問を抱いた表情をする。
「な、何をそんなに睨んでるんですかぁ……?」
「おっと、すみません。いいおっぱいしてますね」
沈黙を貫いていたつもりが、いつのまにか睨んでいたようだ。
反省、反省。
「……」
あれ?
なんでこの人、顔赤らめてんの?
「と、とにかく何か聞くことはありませんか……」
しどろもどろな様子でそういう女神。
「……では言いますね。お前誰ですか? ここはどこですか?」
俺の質問に女神は困惑めいた表情を見せる。
よくよく考えてみれば、“お前は誰ですか?”は
敬語なのかタメ口なのか分からなかった。
「ええと……私は名前ないんですけど、あなた方の世界にある言葉を借りますと……“女神”ですね。それと、ここはいわば死んだ人達が通る場所です」
「待て」
女神は顎に手をやる。
「女神に対して取る態度ではないと思うのですが……まあ、新鮮でいっか」
などと自己完結している。
「え? お前ガチで女神?」
「そうですよ!? 逆になんだと思いました!?」
「いや、コスプレか何かと」
そりゃ普通はそう思うだろ。
「……コスプレ、ですか」
なんとも言えない微妙な表情をする女神。
「あなたもゲームオタクのように見えますけどね」
そんな女神の些細な仕返しには反応しないでおく。
「と、いうことは……浮いてるのもマジックか何かじゃないのか」
「……はい、素で浮いてます」
「へえ」
そういうもんだから女神に近づいてみる。
「な、なんです?」
何故か焦る様子の女神の足元にある空間を足払いしてみる。
「おー確かにない」
「で、でしょう? これで信じて貰えました?」
女神は何やら恥ずかしそうな表情をして
体を右へ左へと揺らして、無駄にでかい胸を
ぽよんとする。いいおっぱいしてんなこの女。
「ああ。だが、お前が女神だと言うのは信じない」
「なんで?」
「現実的にありえん」
論理的思考とはいかんでも誰にも分かることである。
「ゲームオタクさん、現実なんてボロっちいものですよ。元となる概念が変わったら現実なんて簡単に変わるんです。そもそも現実なんて言葉私は好きじゃありません。なぜなら、その言葉を口にされるだけでもう────────」
「そんな力説しなくても」
「あ……す、すみません」
……そんな赤面して言われても困る。
この女────女神とやらは
かなり美貌をもっていて、体も魅力的だ。ちなみにおっぱいも
文句ない。それは認める。
だが、性格的にちょっと難が……
「とにかくっ!!」
女神が上げる大きな声に思考が遮られる。
「こちらの不手際であなたを死なせてしまったのです」
「不手際ってなんなの」
そんな俺の質問に答えず、女神は頭を下げる。
「……」
俺と女神の間には沈黙が続いた。
そして遂に女神が口を開く。
「あなたはこう、ポックリと死んでしまったのです」
「質問は? ねえ?」
明らかに話を逸らそうとする魂胆が見え見えだ。
「質問は受け付けませーん。キラッ☆」
女神は何故か俺に向けてウインク笑顔になる。
そのウインクがなんだかおぞましく感じたのは
気のせいだろうか。
いや、気のせいではない。
だって不手際で死なせてしまった……ということは
要するに殺したってことだろ。
コイツは殺人女神だ! 直ちに追放すべし!!
「いや……それよりも「よろしいですか?」
話を遮られた。
彼女は…笑顔のままだったが
妙に迫力があった。それでも俺は引き下がらない。
「聞けよ女神もどき」
「め、女神もどきぃ!?」
表情が180度変わる女神。面白いなコイツ。
「不手際で死なせてしまったんなら、せめてお詫びしてくれよ」
「はぁ。お詫び……とは?」
「ほら、あれだ“願いを一つだけなんでも叶えてしんぜよう”とか」
「あなたこそテンプレもどきじゃありませんか」
「うるせえよ」
ダメだ。埒が明かない。
「まあ、いいです……」
女神はため息を吐いて次の言葉を繋げる。
「汝は何を求めるのですか?」
先ほどの迫力が嘘のように彼女の雰囲気は
真剣なそれに変わっていた。
「うーん……」
彼女のその柔らかな雰囲気を感じて……
「おっp……ゲフンゲフン」
「?」
よかった。女神は俺が何を言おうとしているのか
分からないようだ。
流石におっぱいとは言ってはいけない気がする。
そう本能が言っている。悔しいがそうである。
「……あ」
ここで、
先ほどプレイしていた
ゲームのことを思い出した。
「じゃあ……さっきまで俺がプレイしていたゲームの世界に飛ばしてくれ」
「分かりました」
そう言う否や、女神は即答。
そして手を上げて何かを喋っていた。……本当に飛ばしてくれるのか?
「あ、待て……転生するならしゅじ─」
「えいっ!!」
女神の掛け声とともに目の前が真っ黒になった。…くそっ、“転生するなら主人公にしてくれ”って言いそびれた。
「ふぅ……」
男をゲームの世界に飛ばすことに成功したようです。オマケにチートスキルも付けといたので、私に感謝してくださいよ? ふふん。にしても、女神であるこの私にタメ口を
聞くとは……なんだか立場が対等みたいで
いいな、なんて思っちゃったり。
「ってダメだ私……」
すっかりあの男に毒されている。
……まあ、また近い内に会えるからいいか。
女神はそう思った。
つづく
次回予告
遂にゲームの世界に飛ばされた康雄!
しかし、そこで自分が康雄ではなく……!?
面白かったら幸いです。