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実は俺、宇宙船を育てています《イイエ、育てられているのは、ア・ナ・タ》  作者: 夢見る黄龍
閑話B

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閑話5 キャロライン中里の手記より

4278文字




 これは、現代のワイズマン、生きた聖人と讃えられる日本の天河昴氏を 元BBCキャスター見習いであったキャロライン中里が独占取材に成功した時の手記に基づく記述からの物である。


 2004年の春、前年のクリスマスに太陽系に訪れ月に住み着いた地球外知的生命体バクーンの来訪とその時のインパクトは、世界各地に世情不安を色濃く表していた。

 世論は情報を求め、政治機構は侵略では無く友好的なエイリアンの情報を独占することに血眼となり、世紀末の訪れと闇の歴史の開示を恐れる宗教関係者は、その動向に戦々恐々と月の様子を伺っていた。


 ※ エコ〇ミスト2005年新年号、週刊誌にもかかわらず後にベストセラーとなり何度も再販される事になった英国週刊誌より抜粋




 まず、我々編集部とキャロライン中里女史との馴れ初めから話を始めるとしよう。

 当時の女史は、BBCに入社後下積みを終えやっとの事で第一線のキャスターに成ろうかという矢先に、単独海外への長期取材を任される事となる。

 後に提出されたその時のレポートは、確りした内容のもので、後日BBCでも特集が企画されていたらしい。

 らしい(・・・)と言うのは、この特集企画が女史の理由なき退職と肝心のキャスター不在により立ち消えとなって終わっているからである。

 事態が動いたのはこの後直ぐになる訳だが、我々が注目したのは、何故に彼女に白羽の矢が立ち独占取材の当事者の選ばれたのかと云う処である。


 当時、メガフロートで行われといた宇宙船の公開実験のあと、プレオープンまでの間に天河昴氏や(株)タウルスへ取材を申し込んだメディアやフリーの記者は、世界各国から数え切れないほどに上っていたのは確認が取れている事実である。

 だが、実際に取材を許可されたのは、彼女ただ一人だけだった。

 そこには、タウルス側に何かしらの意図が有ったのではないかと予想される。


 キャロライン中里女史のレポートの中には、唯一エイリアンとの接触に成功した日本の少年(匿名)の話が大きく取り上げられている。

 その人物について詳しく記述されているこの週刊誌から情報を抜粋引用し、この後の分析を進める事としょう。




・我々人類のルーツとは、


 これは既に分かっている事とされているが、まだ不審な点が存在するのも事実である。

 360万年前アウストラロピテクスに始まる原生人類の進化は、200万年前ホモハビリス、180万年前ホモエレクトスなど、ホモ種の生存を示している。

 30万年前に発生した|ネアンデルターレンシス《ネアンデルタール人》は、3万年前まで生存が確認されている。

 その地域では、ホモサピエンス(人類)の同時期に生存した時期が重なっている可能性か高い。

 ホモサピエンスが誕生したのは、およそ10万年前。

 ネアンデルターレンシスが同時期に生存していた時期が7万年と長い事からも、ホモサピエンスの直接の祖先では無い事が既に分かっている。

 では、我らの直接の先祖とはどういった存在だったのだろうか?

 巷ではミッシングリンクなどとされるこの欠けた部分を繋ぐ鍵を握るのが、女史の語る地球外種族であるというのである。

 オカルト、オーパーツ、そして古代宇宙飛行士説という物が昔から取り沙汰されているが、まさにキャロライン中里女史の提唱する創造主とは、この宇宙人を地で征く内容に成るわけである。

 

 ここで抑えておきたいのが、地球外知的生命体バクーンは、その創造主では無いという事だ。

 飽くまでの管理人であり所有者ではない、では所有者となる人類の創造主はどこに行ったのだろうか。

 どうも創造主の一族はその主星を含め既に滅んでおり、その滅びに直面した時に一部が地球に逃げ延びていたらしい、その末裔が兼の天河昴であり一種の先祖帰りで先祖の特質を色濃く発現した……という事のようだ。


 ※ 日本人のルーツに関しては、MIKADOレポートを参照のこと。




 ◇ある学校教員から見た、天才少年とその幼馴染(シモベ)達


 ごく平凡な田舎の山奥の分校、在校生も5人しか居らず近いうちに廃校になるだろうと思われるところ、そんな田舎に珍しい鍵っ子の少年がいた。

 両親は同じ職場で共働き、夜も仕事が多く殆ど家には子供1人が取り残されていた。

 同年代の友達も少なく(田舎で子供そのものが少ない)、都会だったら非行か引きこもりに走ってもおかしくない状況だが、のんびりした田舎が幸いしたのか品行方正に当たり前な小学生をしていた。

 ……この時は、これが当たり前だと思ってたのよね、とはこの教員の本音か……。


 2000年の夏休みを境に、別人の様に様変わりしてしまった彼。

 しかし、それまでの性格などは以前と変わらずに元の大人しい品行方正なままでした。

 見かけのインパクトを他所に変わらない日々がまた始まるのだと周りの者達は喜びましたけどね。

 だけれど、その夏休みに様変わりしてしまったのは少年だけではなく、その両親もまた別人のように若返り、周りの人間を驚かせたていたのでした。

 はじめは別の家族とそっくり入れ替わったのでは、とも疑いましたけどね、親しくしていた奥さんの記憶も性格も昔のまんまでした……でも、これで良かったのかな?

 この若返りも特殊な化粧品の効果だと分かって、村の女達がこぞって群がったのは楽しかったですね。

 私も先頭を切って突っ込んでいった口だし……。


 ※ この方、実年齢は60歳を過ぎていらっしゃいますが、どう見ても30歳ほどにしか見えない事をここに記録しておきます。


 その後、少年は幼馴染達を引き連れて村中で奇行に走るようになります。

 最初の内は、流行りのヒーローごっこぐらいに思っていた私もその動きが特撮さながらとなり始めてハラハラした事を覚えています。

 校庭では、高所からの飛び降りや瞬間移動の如き鬼ごっこが始まるに至って、あのコスプレはもしかして本物なのでは? な~んて……そんな馬鹿なことを思ったりしていたのは良い思い出ですよ。

 まあ、みんな怪我がなくて良かったわ。




 ◇技術系大学の准教授から見た、天才少年


 あれは、通商産業省に務める親友から急に持ち込まれた玩具が始まりだった。

 その玩具は、如何にも夏休みの宿題に毛が生えたような代物だったのを覚えているよ。

 接着剤やハンダの付け方一つを見ても、まだまだ小学生の工作レベルだった。

 だが、所々に当時の俺でも理解できないパーツが使われており、その動作や機能を詳しく検証してゆくと飛んでもない代物だと言う事が分かってきたんだ。

 驚く事に、既にこの時点で現在製品化されている水素発電ユニットとほとんど変わらないスペックをはじき出していたんだ。

 今思い出しても震えが来るほどに興奮したことを覚えているよ。

 商業ベースに乗せる乗せない以前に、日本のエネルギー事情が大きく変わる事が予想出来てしまったんだ。

 通商産業省に務める親友も俺の様子から、これが只事じゃない事を敏感に感じているようだったな。


 ※ 後に通商産業省主体で進められるエネルギー改革が、この時産声を上げる事となります。


 兎に角これを作ったのが、まだ12歳の少年だと言うのだから驚きだった。

 耐久性やコストの事など突っ込みたい処は沢山あったが、まずモックとしての実物があることが重要だった。

 小学生の工作という事は、子供のお小遣いレベルで材料が揃うという事も大きな要因だ。

 ローコストで実用化に向けての基礎固めが出来ることは、研究者や技術者にとっての大きなハードルだからである。

 どんなに良いアイディアがあっても基礎研究に何億円の掛かって居るようでは実用化は難しいと言える。

 ま~その辺の事を平気でスキップする様に、踏み越えてゆくのが天才の天才たる由縁なのだが……この少年は更に数段ジャンプしているように感じた。

 人に直に会ってみたいと思ったのは、何年ぶりだろう。

 自他共認める人嫌いで、だから教授に成れないと言われ続けてきた俺が、この目で直に見たいと思った程だからびっくりだ。


 ※ この方、自虐的な発言をしていますが全て事実である事を補足しておきます。


 そして直に会った時に、それまでの俺の認識が如何に甘かったのかを思い知らされるんだが……彼は、そんな12歳だったという事さ、ワハハハ。




 ◇警備担当者からの聞き取り


 クライアントの事を吹聴することは、重大な職務違反に抵触しますのでご容赦下さい。

 人となりですか……大人びては居ますがごく普通の少年ですよ。

 一緒に釣りをしますがとても良く気遣いの出来る少年です。

 あんな倅が居たら私生活も楽しいでしょうな。


 ※ この方は、職務に忠実な御仁で詳しい事は聞き出せませんでしたが、少年が周囲の人間にとても好かれていた事が良く分かります。


 彼ですか……ウ~ン、一言で言えばびっくり箱ですね。

 我らの装備、ああっ既に一般に公表されていますから話しても大丈夫ですよね。

 彼のアイデイアが盛り込まれて、我々が実験的に使用した物の中から一般の警察官や機動隊の装備として採用されていますよ。

 エッ、知らなかった? こりゃ~話すのはまずかったかな……セーフ! イヤイヤ~、ホッとした~。


 ※ この警護隊は、後に新装備の実装実験をする部署として定着しました。この時に実験装備されていたものが一般警察に普及したことで、そうとうな検挙率アップに繋がったと言われています。何よりも殉職者が激減したことが大きな要因でしょう。




 ◇直接の印象……そして


 まず彼からは、生気に満ちた圧力を感じます。

 一緒に居ると元気になる?

 第一印象としては、簡単に言葉に出来ない驚きの様な物を感じたのです。

 仕事柄、私も色々な有名人と会う機会に恵まれましたが、比べられる人物が思い浮かびません。

 ああっ、この少年は私達のズッと上の存在だ。

 一瞬傅(かしず)きたいとさえ思ったほどですね。


 気を取り直して、直接会話を進めると非常に話しやすい人物だということが分かりました。

 私がインタビューをしているはずなのに、会話を楽しんでいる自分に気がつくのです。

 まだ、13歳の少年とは思えない知性とユーモア、最後には売り込みをしていた自分に笑ってしまいましたよ、アハハハハ。


 ※ この後すぐにキャロライン中里女史はBBCに辞表を提出し、電撃的に(株)タウルスの広報部長としてリクルートすることになります。




 さて、キャロライン中里女史と彼との間にどの様な会話がなされたのか気になるところではありますが、詳しくは語ってくれませんでした。

 なぜ彼女が選ばれ、数奇な運命をたどることになったのかは、まだ明らかにされていません。

 我々編集部は、今後も彼と彼女にスポットライトを当てた記事を掲載したいと考えています。



 ※ 情報提供は、こちらまで……####ー$ー####ー####






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