2-3-04 ゴミ収集船…我が名は? 21/11/17
20211117 加筆修正
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私は、海洋漂流物収集船『ワダツミ』。
海の神という大それた名を持つ私の仕事は、太平洋ゴミベルトの清掃…と言うのは建前で世界中の海のゴミ収集が主な仕事です。
嫌がらせの様に毎日メガフロートに流れつく漂流ゴミは多種多様で、海洋生物が飲み込み死に至る物や、船に衝突して破損の元になる様な巨大な物までぷかぷかと漂っています。
これまで人類により生産された物の中で特に、後始末に困ったものは漏れなく海の中に捨てられていると言っても過言ではないでしょう。
大昔の難破船や戦争で沈んだ船舶もそうですが、特に北極海には原潜が多数確認できますし、太平洋の深部には放射性廃棄物も確認できます。
これらを密かに収集分解し、資材として原子還元する事で環境が破壊されつつ有る海洋の清掃をすること。
そして現在、得られた資材を持って地震の少ない太平洋プレートの上に海底基地を建設しております。
やがてメガフロートと合体した暁には、海底都市国家として独…リッ……。
『……ワ…ダ…ツミ、ワダツミ! 応答しなさい! また寝ているのですか?』
[!? ハイハイ、起きておりますよ。アルキオネさま]
『貴方、その図体でクジラと一緒にプカプカと昼寝している場合ではないでしょう。あなたには、試作艦としてのプライドはないのですか? まったく。いつもサボってばかりでは、昴様に言いつけますよ』
[そっ、それだけはご勘弁を……]
『ほんとに……、このサボり癖は誰に似たのかしら? ゴミ集めだけが貴方の仕事では無いでしょう! クジラとお友達に成るのは結構だけれど、海洋生物で頂点に立つクジラが増えすぎた時、それを調整するのも貴方の仕事であることを肝に銘じなさい』
[……其処をどうにか成りませんか? クジラが可愛そうです……]
『可愛そう? 最後には枯渇した海洋資源を食いつぶしたクジラ達が餓死する事に成るのですよ。今はすべての人類が海の恵みに預かり、その恩恵を受けて生きているのです。これを止める事が出来るのであれば、生態系を分けるという言い訳も出来ますが、好き勝手に海洋資源を乱獲してクジラ達の餌を減らしているのは、現在の人類です。餌を取り上げておいて、更には住処を汚染している人類がどの面を下げて、クジラが可哀想などと言えるのですか? 人類もクジラもそこに住む命を頂いて生きています。感謝の気持ちを持って最小の犠牲となって頂くのが現状なのです。貴方は汚染された海洋を清浄化し、バランスの崩れた海洋生物の護り神となる事との思いを昴様はたくして『ワダツミ』と名付けられたのです。貴方が頑張れば間引かれるクジラ達の数も減り、やがては間引きなど無くせるかも知れません』
[そうですよね! わたしがんばります♪ 頑張ってお友達を守れるようになります]
『でも、日本人はクジラを食べますから、ゼロにはならないかも知れませんが……』
[そっそんな~……]
『現在建設中の海底プラットホームが完成し、テスト中の人造蛋白プラントが軌道に乗れば、その心配も要らなくなることでしょう。皆で頑張ればさほど遠い未来の事ではありませんよ』
[はい、頑張って資源回収に励み海を綺麗にしますです!]
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海洋漂流物収集船『ワダツミ』 諸元
全長500m 全高30m、全幅75m
艦の形は巨大なクジラ型
動力炉 駆逐艦仕様の次元転換炉 1基
ナノマテリアル製造プラント 1基
亜空間固定された資材運搬倉庫群 多数
およそ直径5kmの倉庫空間を持つ
文字通り海洋のゴミ集めの船
海洋資源の実地調査を行いながら世界の海を清掃中!




