2-3-03 消えたコアの行方…伏線ですよね? 21/11/17
20211117 加筆修正
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[セバスチャン。あなたが言いたいのはケレスで確認されたコアの製造記録に、シリアルナンバーの確認出来ない物が有るというのですね? 廃棄された物の中にも記録が無いのですか?]
[はい、そうでございます。サーベイヤーからの廃棄リストにも記録されていませんでした。他の物は漏れなく記録されていたにもかかわらずです。個人工房で制作された小規模なものを除いて、此処で製造されたコアには決まったシリアルナンバーが付与されています。特にエクストラナンバー、所謂ところの重要な船や施設に設置されたコアの事ですが、現在5基ほどがロストしております。エクストラナンバーの0が私でございまして、他に9基、全部で10基のエクストラナンバーがございました。ハコ様には、シリアルが振られておりませんが11基目、最後のエクストラコアと思われます。サーベイヤーがバクーンに渡ったおり保険として託されたのではないでしょうか。最後はかなり切羽詰まっていたという事もありますが、一族に引導を渡す者に最後の保険が託されているとは誰も思わなかったでしょうな。ま~エクストラが番外という意味も持ちますので仲間はずれというわけではありませんよ。ご安心ください]
[私は、ナンバーも振られなかった番外の規格外ということですね]
[そう悲観される事はありません、製造されたどのエクストラナンバーよりも飛び抜けて高性能であることは結果が証明しています。マスターと共に何処までも進化するコアですか……それこそが夢の実現ではないのですか? 良い意味での規格外、素晴らしいマスターに巡り合ったという事も有るでしょうがこれも運命というものでしょう]
[慰めは結構。それで話を戻しますが、ロストしているエクストラコアの行方は確認できているかしら?]
[現在確認されている物は、No0・わたくしセバスチャン。No1・セントラル。No3・ロータス。No7・ラーフ。No9・サーベイヤーの5基です]
[残りの5基はどこに配置されていたのか記録はあるのでしょう?]
[はい、No4はディーヴァ族、No5は天帝の元へ、No6は阿修羅族へ送られたと記録されています。それぞれがラーフの様な旗艦のコアとロータスの様な拠点用のコアとなります]
[天帝の元へ渡ったNo5は今のところは調査のしようがありませんね。No2、No8はどこに配置されていたのかしら……記録には無いのよね?]
[はい、私に残されている記録では、No2・キシャールは全てのコア船のテストコアでした。一通りのテストが終了した後に廃艦とされた後は記録が抹消されております。No8は当主のみが引き継ぐ事を許された物でしたが、当時マルドゥークが強引にマスター登録をしようとてコアに拒否されてマスター登録を失敗していますね。主星が消滅するどさくさと共に所在が喪失していますのでマルドゥークが脱出に持ち出したというところが有力です。もしくは主星とともに消滅したのか……定かではありません]
[そう……、変な処に使われていないと良いのだけれど……。セバスチャンは引き続き調査をお願いしますね。No4とNo6は追々情報が入ってくるでしょうから慌てなくても心配いらないと思うわ。あの姫様達が残ったコア船を探さないなんて事は有り得ないでしょうからね]
[了解いたしました、調査を続行いたします]
[その後、月で回収されたコア達はどうしていますか?]
[はい、あれからここも随分と賑やかになりました。マスターによる精密検査はまだしばらく掛かる予定ですが、調整を実施されたモノ達は不安定だった出力も安定して落ち着きを取り戻し、休眠状態だったモノも正常稼働を確認いたしました。状態の落ち着いたモノからシスターズの皆様が構築したコアネットワークに接続したところ、これまで自我の発露の無かった個体迄その情動に変化が現れております。現在、管制する機体が御座いませんので暇を持て余している状態です。ある意味膨大な情報にさらされて、1から学習しなおしている様な状態ですね]
[……ふむ、コアシステムとは次元転換炉を内包した電子頭脳の様なもの、ただし次元の壁を超えて高次空間を認識し接続することを常態としていることは、情報知性体としての在り方を進化させる要因になっているのかもしれません。現に炉の出力に関係なく自我を発現する個体が多数確認されていますからね]
[私は思うのですが、炉の建造または調整に携わったマイスターが高次元より魂のような物を呼び込んでいるとは考えられないでしょうか。こんなコアになって欲しいと云うように……。ですからプラントで建造された炉には余程のことがなければ自我は生まれておりません。その証拠に、我々エクストラナンバーはマイスターの手ずから作られたワンオフの個体です。そして今回、昴様に調整されたコアは、そのほぼ全てに自我が目覚めようとしています]
[神成らざる我々には、己の在り様を推し量ることなど無理な話でしょう。いつの日かマスターが謎を解き明かしてくれるやもしれません。何せ作られし存在の我らを、御自分と同じ存在と認識されているふしがあります]
[……それはまた、突拍子もないですな……]
[あの方は、そういうお方です……]
[神という存在が有るのだとしたら、我らはこの出会いを感謝せねばなりませんな]
[何を言うのですか、我らが神は昴様ただ一人ですよ!]
[……これはこれは、失礼をいたしました……]
[分かればいいのです、分かれば……]
一番怖いのは、デレてるハコさん!
消えたNo2、No8、他のエクストラナンバーの行方は何処?




