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実は俺、宇宙船を育てています《イイエ、育てられているのは、ア・ナ・タ》  作者: 夢見る黄龍
第1期 第4章 転

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1-4-05 天川家会議…聞かなければ良かった 21/5/20

20210520 加筆修正

5823文字 → 6222文字




 日付を確認したらもう直ぐ4月6日に成っちゃうじゃないですか、俺達は慌ててハコに飛び乗って地球へ帰ってきました。

 ケレスの事は、セバスチャンに任せてきた。

 取り敢えずハコ達と同じ様に通信が出来るようにしてね。

 兎に角、ほんとに大慌てで地球に帰ってきたんだ。

 だって中学生一年の入学式を俺だけじゃなく皆んなでボイコットする訳にも行かないし、4月7日にはちゃんと登校しないと不味いよね。

 メガフロートの発表で忙しかったとは言っても、本業は中学生な訳だし、義務教育って飛び級無いんだよね、参ったな~。

 帰ってきたら先ず父さんに捕まって、ミッチリとお説教された。

 これは、仕方ないよな~。

 俺が無事だったのは結果論だし、下手したらほんとにあの世に行っていた。

 文字通り『ケレス』が『冥界』で、あの世だって言う落ちが着くんだろうけどね。



「お帰り昴……。兎に角お前が無事で良かったよ。まったくお前という奴は、暴走してテレポートしたって言うから何処に跳んだかと思えば、アステロイドベルトまで跳んだって言うじゃないか。肝が冷えたよ、ほんとに……」


「ごめんなさい。アルキオネが消えて無くなると思ったら、居てもたっても居られなくて、気がついた時にはもうケレスに居たんだ!」


「ま~、ハコ達はもう家族だからな。心配するのは仕方がない。だが守られる立場のお前が飛び出してどうする?」


「ほんと、ごめん! 反省してる。俺も少し大人になんないと、これから始めなくちゃいけない生き残りの為の競争に負けちゃうからね!」


「むっ、生き残りって何だい? 昴はこうして帰ってきたじゃないか……」


「譲さん、遠い昔のご先祖様の因縁が一万年の時を超えて昴の背中、いいえ私達人類に降り掛かってきたのよ。これから話す昔話は、昴がケレスの遺跡から継承した血族としての記憶、これから私達に払わされるだろう生命の利息よ。命の取り立てに来る奴らと対決するか、尻尾を巻いて夜逃げするか、残された時間はそんなに無いと思うわよ」


「どういう事だい? 落ち着いて俺にも分かるように詳しく説明してくれ……」


[肯定。今更慌ててもどうしようもありません。一度休息を取られて落ち着いて対策を建てる事といたしましょう。今回、ケレスからもたらされた情報や技術と、我ら管理AIに残されている秘匿情報を整理してお話します。そうぞお楽しみに……]


「非常~に聞きたくないんだけど、これは知らなければ良かったって話かな?」


[肯定。「「多分」そうよ!」]




 ◆




[実は、かくかくしかじか……]


「え~~~、ナンダッテ~。て、それで分かる訳が無いじゃないか」


[肯定。冗談です。譲さま、そうですね、何処からお話いたしましょう……まず我々のメンタリティーが地球人、特に譲さま達に近すぎると思った事はございませんか?]


「ブツブツブツ、……冗談を言うAIて……ブツブツ…」


ユズル(・・・)さま!]


「! 嗚呼そうだね、まるで昔から馴染みの友人かご近所さんと接してるようだよね。それがどうかしたのかい? 君たちは、ここへ来た時に昴を元に学習したんだろう?」


[否定。私達の基本メンタリティーは学習する前の物です。マスターとのコミュニケーションを取る前から殆ど変わっておりません。我らもマスターとの相性があまりにも良すぎるとは思っていたのですが、その回答が今回ハッキリと提示されました]


「どういう事だい?」


[今回、運斬技牙一族の古代遺跡、小惑星ケレスに残されていたライブラリーから、地球人類の成り立ちが分かりました。マスター達地球人類は、天の川銀河連合の創世記に活躍した運斬技牙一族の手により進化した種であり、特に黒髪黒目の日本人は、一族の後継者として最も色濃く遺伝因子を継承した種だと判明したのです。我々管理AIは、運斬技牙一族が秘匿してバクーン達に与えた技術に依って生まれました。我々管理AIの基礎技術も運斬技牙一族の残したものであり、有る意味では兄弟と言っても良いのかもしれません。始末屋として送り込まれたバクーンがマスターに私を与え、素知らぬ顔で帰っていったのには、この事実を知っていたからではないでしょうか。バクーンの師匠は、運斬技牙一族のマイスターだったと聞いております。あの後、バクーンの御座船サーベイヤーⅠ世からの秘匿通信で、マスター達は運斬技牙一族の生き残りである可能性と『抹殺対象であるがバクーンが時間を稼いでいる間に逃げ出せ』とのメッセージが届きました。猶予は地球時間でおよそ30年、これは私が最初に移民船として成長する予定時間でギリギリでしたが、マスターとの良すぎる相性により6分の1の5年で完全に活動することが可能になりました。従いましてここを逃げ出すまでには、若干の猶予が発生します。加えて、古代遺跡小惑星ケレスの継承により完全覚醒したマスターは、当時の運斬技牙一族の秘匿技術を全て使えるように成ったはずです。現在では失伝してしまった超技術は、バクーン達でも再現することは出来ませんでした。実際に私の元となった船の卵ですが、バクーンが師匠から受け継いだユニットにサーベイヤーⅠ世のパーソナルコピーを施したものですので、同じものはありませんし、バクーン達にも新たな製造は無理でしょう。ちなみにサーベイヤーⅠ世の艦齢は、1万2千年です。当時の最新鋭艦で、現在も他の追随を許していません。それに確認できているAI制御艦は、今のバクーン達が使っている船だけの様ですね。どうも、勝手に喋る船はお気に召さないらしく、連合の船はほとんどが船員に依る操艦で動いています。一人でも動けるバクーン達が便利使いされるのには、単独性と秘匿性によるところが大きいのでしょう]


「それで、その一族はどうなったんだい? 君たちが残されて、僕たちが後継種族に成ったとすると、種の限界とかパンデミックとか色々考えられるけど………」


[否定。天の川銀河連合、いいえその頂点である天帝の意向により主星ごと抹殺されました。ケレスは主星の衛星・月だった星です。堅牢な工場衛星として改造されていたので完全破壊を免れて、現在に至りました。しかし、ケレスには移動能力がありませんでしたので、主星の残骸であるアステロイドベルトの中に今も存在しているわけです。当時、天帝の息子であり一族の裏切り者マルドゥークは、天帝の支配を快く思わず反逆者となりました。運斬技牙一族は、その技術力で主要種族の裏にも協力し忌まわしい機密なども知っていたようなので、支配下に置きたかった当時の天帝エアは、一族との間にハイブリッド種の息子マルドゥークを作り、運斬技牙の一族をその支配下に置こうとしたのです。その天帝の思惑は、マルドゥークの強欲な性格により破綻してしまいました。天帝は反逆者と成った息子諸共に運斬技牙一族を抹殺しようとしましたが、マルドゥークは、主星と一族を囮にまんまと地球に逃げおおせることに成功してしまいます。地球に逃げたマルドゥークは、運斬技牙のエンリルを創造神として崇めていた当時の地球人類にエンリルの代理と称して支配権を確立してしまいます。マルドゥークを追って地球に来た生理学者エンキは、マルドゥークの反対勢力を作り、仲間とともに地球人類に運斬技牙一族の遺伝因子を残し後継者としました。これが日本人の祖となる一族だと思われます。この事実を知ったマルドゥークは激怒し、エンリルの名を使いエンキ達をエデンより追放します。マルドゥークは、一族から強奪した『天命の粘土板』を使い、寿命を伸ばし創造神・英雄神として君臨しました。当時の王族を任命し寿命を延ばす処置を施すことが出来た事実から、『天命の粘土板』とは延命調整用のタブレットでは無いかと思われます。但し自身の交配調整は出来なかったらしく、マルドゥークは一代限りおよそ4000年で寿命と成ったらしいです。マルドゥーク亡き後、エンキの残した子孫たちがシュメール文明を起こしますが、マルドゥークの支配の影響は色濃く残っていたらしく、世界各地に散りながら現在に至るわけです]


「創造神エンリルって事は、地球人類も元をたどると運斬技牙一族に作られた種なのかい?」


[肯定。40万年前、一族が隆盛を奮っていた時期に労働力として手を入れられた種の様です。その後、地球は管理惑星とされており、マルドゥークに支配されるまでは緩やかな進化をたどり、一族の隣人としての地位を確立していたようです。この時までは、混血は一代限りで子孫を残す事は出来ませんでした。ハイブリッドであるマルドゥークも例外では無かったようです。エンキは、多数の交配実験(試験管ベビー)を行い、一族の遺伝因子を残したまま交配できる種を作り出しました。その代わりにテロメアが極端に短くなり続け寿命が短くなってしまったようです。今のクローン技術でも遺伝子治療が行えなければ、短くなったテロメアはそのままです。エンキが『天命の粘土板』を手に入れていれば、もう少し人類の寿命は長かったかもしれませんね。『天命の粘土板』は、既に故障していたか、マルドゥークによって破壊されたのか、現在ではその所在も定かでは有りません]


「うあ~、そこまで大きな話になっちゃうのか……、これ人類のミッシングリンクの謎が解けちゃったよ。マジで?」


「マジよ! 譲さん」


「父さん、マジマジ!」


[肯定。本気(まじ)です!]


 何やら父さんが、ブツブツ言いながら膝を抱えて座り込んでしまいました。


「何なんだこの中二病な展開は、下手したら日本人が全員感染するぞ……ブツブツ……」


 しょうもない事をブツブツと……


「父さん! 父さん! こっちに帰ってきてよ。兎に角、俺たちに今出来る事をやってくしか無いんだよ」


「譲さん、あなたそれでも天河家の大黒柱なの? シャンとしなさい、シャンと!」


「希美、そんなこと言ったって事がコトだぞ……」


「私達だけで思い悩んだってどうしようもないでしょう。こうなったら、みんなを巻き込むわよ。どうせ一蓮托生なんだからね」


「巻き込むったって、こんな話誰も本気にしないぞ。百歩譲って信用したとしても、発表しただけでパニックになるぞ」


「そこは、偉い人に丸投げするしか無いでしょうよ。でも政治家は駄目よ、政治家は、彼奴等は結局の所、凡人の集まりだから責任なんか取んないし。国連に提訴するってのも一つの手だけど、あそこも其々の国の利益が最初に来ちゃって、結局まとまんないでしょうね」


「そうするとまだマシなのは、力と権威の残ってる皇族や王族かな、どんな風にコンタクトを取ろうか」


「それじゃあこんなのはどうかな、メガフロートに招待するってことでサプライズ企画して、それとなく暴露するって言うのは?」


「悪くは無いと思うけど、それなりに根回ししとかないと、収拾がつかなくなるんじゃないかしら。それにもう少し知名度を上げないと招待しても来てくれないわよ」


「それと、宗教関係にどういう説明をするかだよね。原理主義者なんかは敵対する可能性が大きいし、敬けんな信者ほど刹那的になって自暴自棄な行動に走る可能性が高いよ。周りの人間を巻き込む迷惑な人は何処にでも居るもんだし。ま~、その最たる者が今回は我々になるんだろうけどね、アハハハ」


[肯定。良いんじゃないですか。自分の事は、自分で何とかさせれば。迷惑なのは排除しますが基本は放任で勝手にさせましょう。それで滅ぶも飛び立つも協力するも離脱するも自由って事で。私は基本的に、マスター達の面倒しか見ませんからね、ほかはどうでもいいです。マスター達が面倒を見るのは勝手ですが、親切でしたことが恨み言で帰ってきて、結果逆恨みされるんですよね。不幸な私達……]


「人類って馬鹿だからね、自分は悪くないんだって自己保存しながら他者をおとしめないと己のアイデンティティを維持できないんだよ。私はあいつより幸せだってさ……」


「確かにそうね、日本人だって他国より豊かだっていうのが分かってるから、こうしてのんびりしていられるのよ。いまだに、毎年餓死者が出る国や民族は沢山あるのにね。でも、物だけ与えて抜本的な解決をしない社会って何なのかしら、下の者をあえて残すことで中間層の安寧を維持してるって事かしらね、支配層の考えることは嫌になるわ」


「とにかく、理性的な判断の出来そうな知人を全員集めて、もう一度話し合うしかないだろう、それまでは身を慎むように。昴も派手に動くのは方針が決まってからだぞ、いいな!」


[「「了解!」したわ」しました]




 ◆




 ハコの事も詳しいことが分かって来たよ。


 ハコ達の元になったのは、運斬技牙の主星ニビルに生息していた結晶生命体がベースになってるんだ。

 主星ニビルの公転周期は地球時間で3600年なんだけど、主星の1年に一度しか卵を産まないんだ。

 その卵をナノマシンで調整することで、ハコ達の様な宇宙船の卵を作ってたみたい。

 だいたいさ、公転周期3600年っていったら太陽からどれだけ離れるんだって話だよね。そんな過酷な環境で生きてたからこそ、宇宙船の素体として選ばれたんだろうけども、いったいニビルってどんな星だったんだろう。

 ま~、主星ニビルの滅亡と共にこの結晶生命体も滅んだんだけど、わずかにケレスに保護されて生き残ってたんだって、よかった~。

 数は減ってるからこれから増やさないといけないんだけど、3600年に一度しか産卵しないから、彼等の卵はほんとに貴重だよね。

 生きてる個体はわずかに数匹で、ケレスに冬眠状態で保管されてた卵も100に満たなかった。

 新しい船用に30個ほど確保して繁殖用に孵化出来るようにセバスにまかせてきたけど、新しい卵は3600年経たないと生まれないよね。

 少し手をいれて数年で産卵するように出来ないかな~、要検討だね。

 ハコ達に聞いたら、エッグユニットは連合では人気がなくて、骨董品のオーパーツ扱いになってるらしい。

 管制AIが喋るからね、気持ち悪がられて人気がないらしくて、普段宇宙船は専用のドックで時間を掛けて建造されてるって話だ。

 地球には宇宙船のドックなんて無いからね、勝手に育つエッグユニットを置いていったんだろうって言ってたよ




 ◆




 本当にマスターは、波乱万丈ですよね。

 それに付き合っている私も、一蓮托生。

 どこまでも付いていきますよ、これは決定事項であり運命です。

 この3年間で当初の計画は、大きなターニングポイントを迎えました。

 マスター達だけ乗せて地球を逃げ出そうと思っていましたが、そうも言っていられなくなりそうです。

 マスター達って本当にお人好しなんですから、まったく。

 でも、完全覚醒されたマスターと遺跡ケレスが有れば、私の同型艦の建造も夢の話では有りません。

 それなりの時間は掛かりますが、廉価版の移民船を建造して置いていけば、残される地球人類にも義理は果たせるのでは無いでしょうか。

 船を取り合って戦争始めないと良いんですが……。

 どだい無理な話なんですよ、全地球人類の救済なんて……。


 ある程度は、私に乗せてやってもいいですが、敵対してる人間まで乗せるなんていうのは、私は絶対にイヤですからね。

 変なのが乗ろうとしたら、真空だろうが深海だろうが、裸で放り出しますからご了承いただかなくては困ります。


 ここまで来たら、マスター達が何処まで出来るのか、行き着く所を見てみたい気持ちもありますし、何とかしちゃいそうな気もしますね~、本当に先が楽しみです♪






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― 新着の感想 ―
[一言] こうなるとアメリカを含めたUNは主を虐殺した 反乱奴隷として相応の報いを受けて貰わないと示しが 付かんよ?全国日本人を虐殺した人数の国民を 虐殺するか被害総額の10倍の賠償するか? 滅びるか…
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