5-2-06 遭難15日目
1324文字 短いです。
昴達が失踪してから早くも2週間が過ぎた。
一般的にハネムーンの詳しい行き先などは伏せられており『国家機密に該当するので』としている。
しかし、これは地球向けの公式の情報であり、銀河連合上層部では昴達のその後の動向に注目が集まっているようだった。
そんな事は、我関せずとのんびりお茶をしているエンリル様とDr.アンだった。
[留守を任されている建前上、現在のウンサンギガ帝国最上位は、顧問の私とあなたなのよね]
「どうせ管制AIのセントラルや予備AIが上手くやるだけの話じゃろ。儂らは、承認のサインしてれば良いだけの簡単なお仕事じゃな。片手間で済むんだから楽な話じゃろうよ」
[みんな優秀だからね~、結果的にはそうなんだけど、これでほんとに良いのかしら?]
「取り敢えず、新規の案件は全部昴達が帰ってきてからじゃ。帝国の運営に関しては、儂等がとやかく言うことでもあるまいよ」
給仕をしていたメイドが会話に入ってきた。このメイドは、セントラルの義体である。
[Dr.の仰言る通りかと……五月蝿いのは地球の有象無象だけで連合内は至って穏やかですね。邪神案件は今まで通りガブリエール達に任せておけば問題は有りません。強いて言えば地球側に無茶な要求してきてるところが無い訳では有りませんが、基本は無視していれば問題ないですね。逆ギレして怒り出した処で何も出来ませんから相手にするだけ無駄ですから……]
「地球人類は、何か勘違いしとりゃせんか? どうして独立した星間国家が何の見返りもなく自分達に奉仕してくれる何て安易な妄想を考えつくんじゃ? 頭のネジが緩んでるどころか何本か抜け落ちておるんじゃ無いかのう……一度、検査した方が良さそうじゃ」
[いえいえ、何度も何度も検査していますから……残念ながらあれでデフォルトな状態なんですよ]
「マジか? 随分と脳天気な人種じゃのう……まぁ、一部に優秀な者が居るのも認めるが……」
[そうなのよね~、一体誰に似たのかしら……。昴達日本人は遺伝子的にエンキの子孫になるんでしょうけれど、あとの連中は色々と混ざり過ぎていて良く分かんないのよね。アーリア系神人とかの他にも勝手に住み着いて子孫残してるのが多数に上るでしょ、困った話だわ]
「使える奴だけ採用すればよかろう。こっちから声をかければ二つ返事で飛んでくる」
[でも、あんまり変なの入れたくないでしょ?]
「その辺は、希美殿に相談する案件じゃな。最初は国民としてではなく、社員として働かせて経過観察すればいいじゃろう。真面目に勤めれば帝国臣民に成れるかもしれないと仄めかしておけばOKじゃ」
[それ、悪質な勧誘にも聞こえるんだけど……]
「儂は一言も間違ったことは言っておらんぞ。成れるかもと言って居るのだ。トウベエやシゲの様に前例も有る事じゃしな」
[そうですね~タウルスも帝国国営企業として規模も大きく変わりましたからそちらの面で増やすのは良い案かもしれません。ちなみにシャシ様やラクシュ様リリアナ様を頼って帝国に帰化申請をしている者達もおりますのでこちらの順次決済もお願いしますね]
セントラルからの新しい案件に苦虫を噛み潰すDr.アンだった。
「……エンリル、パス!」
母さんの出産予定日まで、残り後34日。




