5-1-05 遭難4日目
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アオオオさん、正くんさん、ヒロ1959さん、244さん、のぶーさん、Natatahiさん、ネモ2019さん、てっけんさん、TAKAさん、しゃあっさん、dekesanさん、いつも感想を頂きありがとうございます。
都度返事を返せておりませんが毎回ハッとする書き込みに勉強させてもらっております。
相変わらずの不定期更新ですが、もう暫らくはネタが続く限り頑張りますのでお付き合いください。
昨日の方針に沿って、まずは船体の改造に取り掛かった。
現在周囲に脅威となる存在は確認していないので標準型移民船(15km)に乗り換え、機動工作艦(1km)をデス・ストリーム用に補強し改造している。
アザトースの亜空間流をデス・ストリームと名付けた理由は、亜空間の潮流であることから、DIMENSIONを縮めてデスとしDeath(死)とも掛けている。
その名が示す通り、触れたら消滅を覚悟しなければならない物、文字通りの死の潮流だからでもあるのだ。
(生のライフでは無く、死のデスとさせて頂きました。ご意見ありがとうございました)
標準型移民船(15km)は、長期の移民生活はもとより大規模な工房とドックが活用できるからである。
現在、機動工作艦(1km)をベースにしてデス・ストリーム航行に必要なだけの頑強さと高感度の亜空間ソナーを多数装備する為の改修に入っている。
そして、俺はあの空間にベストな探査ポッドの開発に全力を傾けている。
今日は、ここに放り出されて4日目だが、あれだけ(億に届く数)放出した探査ポッドは、その全てが消化されてしまった様だ。
空間圧力による圧潰時の超空間通信波は、微弱ながら時差をもって全て観測された。
この結果から、リアルタイムに観測と通信を行うためのシステムが必要不可欠だと言うことを確信したのだった。
まずは、量子通信装置。
これが実現しなければ始まらない。
試作を重ねた結果、糸の無い糸電話のようなシステムが出来上がった。
通信そのものは、距離や次元に関係なくリアルタイムにする事が実現出来た。
装置間の量子ねじれを観測するための物として量子3個対量子3個を一組とする物が出来上がっている。
ちなみに結構大きい……一つ直径50cmの球体で構成されており、チャンネル1つに付きこれを1組乗せる必要がある。
信号のデジタル化で3チャンネルも確保出来れば、一般的な実用には耐えられるだろうと予測される。
探査ポッド1基に量子通信ユニット3基。
対になる量子通信ユニット3基を母船となるハコに設置することになるのだが、探査ポッドを1000基用意するとなると量子通信ユニット6,000基必要となり、その半分はそのままの大きさでハコに設置する必要が出てきた。
今回、探査ポッド用の量子通信施設だけでチョットした街レベルの施設が完成する。
これが分かった段階で標準型移民船(15km)のおよそ3分の1のスペースを量子通信ステーションとすることが決定した。
管制と情報処理には、マイアとエレクトラがあたる。
今後、小型化・小スペース化を進める予定だが、今回は取り合えず使えれば良しとする。
ちなみにこの標準型移民船(15km)は、現在改修中のハコ本体(60m)のドック用亜空間内において情報収集と通信の中枢として使用される。
不要な部分はバラされて、新たに新バージョンで標準型移民船(15km)を組み直すと今から鼻息荒くしているのは……アルキオネだ。
さらに高性能な亜空間ソナーとシールド発生装置。
そして、ほぼ半永久的にエネルギーを放出する小型の次元転換炉。
これらを制御する為の簡易AI、ここでは自我の無いものを敢えて使用する事にした。
そして、イザという時のための自壊用オーバーロード・スイッチ。
簡易AIは、通常の管制AIと比べるとその性能は格段に落ちるが、デス・ストリームに長期間接触した場合に、AIとはいえ精神面にどんな影響が出るか予測できない。
簡易型のAIでさえも発狂してしまう恐れがある事を否定できないのである。
相手は、最上位の時空間・宇宙の創造主である。
自我が無いとは聞いているが、それが本当なのか、またどんな影響があるか分かっていないのだから……。
「この量子通信ユニットだけど、ホットラインとしてそれぞれの船には必ず設置すること。帰還プロジェクト分の数が揃うのに1週間くらい掛かりそうだけど大丈夫だよね」
[肯定。お任せください。順次量産に入っております。小型集積型の開発には1月ほどお時間を頂きますが、こちらも完成させてみせますよ]
「おねがい。出来るだけ多めに作っといてよ。しかし、今回はセバスが居ないのが足引っ張ってるよね~。彼に任せられれば3倍効率が上がるのに不味ったな~」
[肯定。事、量産においては私も彼には敵いませんから……ちょっと悔しいですね]
「良いの良いの、ハコは万能なんだろ。それで良いじゃないかな」
[……肯定。年寄りには花を持たせておくとしましょう]
母さんの出産予定日まで、残り後45日。




