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4-4-24 地球での後始末・おまけ

5887文字




 さあ、これで次はやっと結婚式だ!  と、思わせておいて此処で少し周囲の細々としたことを語ろうとおもう。


 えっ、前回があまりに短いから書き足したんだろうって?

 ……マァ~その辺は、みなさんのご想像に御任せしますよ……ワハハハハ。


 では、キャロルさん、あとは宜しくお願いします。




 ハァ~イ、キャロライン中里です。

 皆さん、お久しぶり! ご無沙汰しておりま~す。

 ウンサンギガ所属のスポークスマンとして私が現在の周辺情勢とウンサンギガの地球での立ち位置について語ってゆきたいと思います。


 さて、地球の情勢はまだまだ落ち着いたとは言えませんが、これまで頻繁に起きていた地域紛争や小規模な戦争などは鳴りを潜め、その人的経済的方向性を生産や生活の向上や活性化に向けて大きく舵が切られています。

 上辺だけを見ると今まで反発しあっていた国や民族も落ち着きを見せ、経済復興と発展に明るい兆しが見えてきています。

 実は、神々の洗脳から逃げ(おお)せている者達も僅かに居るようで、そういった組織や個人は地下に潜り今は大人しくなっています。

 これまで狭い惑星の中、飽和した社会で生み出されていた負のマッチポンプは、既に意味を成さなくなったのだと理解してくれていれば良いのですが、ほとぼりが冷めた頃にまたぞろ蠢き出すのではないかと予想されます。

 けれどその頃には、社会全体が今迄のようには行かなくなっているだろうことも予想されますので、これ以上は放置されることになりました。

 チョットぐらい毒が残っているくらいでないと自浄作用も働かなくなってしまうだろうとの事からのようです。

 後は、自分達でどうにかしてもらうとしましょう。


 国連は求心力を失い、独自にそれぞれの国が結束を固めてユニオンを形成しました。

 国家が無くなったわけではありませんが、独自の自由経済圏が形成されつつあるといったところです。


 これまでの予想に反して、今の地球にはかつてのように余裕を持って人類を養えるだけの力は無くなっていると予想されます。

 人類の発展が地球に及ぼした影響は、冗談ではなくわりと深刻であると云うことです。

 ある程度文明が進むと生存率と寿命が安定して伸びることになり、これに反比例して出生率が低下してゆきます。

 すでに人類がその段階に入っているのだと仮定すると、地球の許容範囲をオーバーして人類がこの星を食いつぶす前に、少子化へ進みやがては衰退にむかうのではないでしょうか。

 そうすると先に予想されていた人口爆発の山が、いったいどの時点で来るかによって未来は大きく変わってくる事になります。


 現在の地球は、まだ氷期の後半を過ぎたばかりで、これからの周期から見ても温暖化が進んでゆく事は間違いないでしょう。

 人類がこの100年で大気中に排出した温暖化物質による気候変動の加速も間違いなく有るでしょうが、地球が今後温暖化へ進むのはもう決まっている未来です。

 ただ、その過程が急速に進み予想より大分早くなるだろうという事でしかありません。


 当然、このまま手をこまねいているようならば環境破壊と急激な気候変動はとどまる事を知らずに進んでゆくでしょう。

 極地の氷や氷河は溶け、永久凍土も溶け出し海面上昇は起きるべくして起きます。

 さらにこれらは地球全体の大気の流れに影響を与え、異常気象もこれまで以上に増えることになると思います。

 幸いなことに、シスターズの尽力による温室ガスや廃棄物の除去が進んだ事で、僅かながらそのサイクルに余裕が生まれました。

 今後、ここで出来た余裕を今までの様にただ食いつぶすのか、やがてくる未来のために活かす事が出来るのかは、地球に残る人類の頑張り次第でしょう。


 宇宙(そら)への門戸は、すでに開かれました。


 まだ多少の余裕があるとはいえ、惑星外に拡散する準備を始めるのは早いほうがいいでしょう。

 花の種が弾けて大地に広がるように、これからは人類が星の外に意識を向け、地球から宇宙に広がってゆかなければ成らないはずです。


 道は、出来たのです。

 昴くん達ウンサンギガが確かな実績を残し、少し先に地球から旅立つ事になります。

 宇宙では色々と問題が持ち上がっているようですが、詳しい情報はまだ私達のところまで降りて来ていません。

 それに直面した面々は、その対策に頭を痛めているようですが、これは前哨戦と考えたほうが良いでしょう。

 これから先色々な障害が立ちはだかるだろうことは、予想に固くありません。

 それでも先ず露払いとしてウンサンギガが地球から旅立つことで、後に続く地球人類は貴重な情報と準備する時間を手に入れることになるでしょう。

 そこでこれから知ることになる現実と困難に臆することなく、前に進んで貰いたいと切に願います。




 さて少し長かった前置きはこの辺にして、異星種族やウンサンギガの立ち位置を地球側から見てみましょう。


 まず、ウンサンギガに対する人類の認識ですが一部公開された創世記の昔話は、それをそのまま信じる者と信じない者とで半々といったところでしょうか。

 これら過去の創世記の記録は、段階をおってミュージカル映画として映像作品が公開されました。

 3部作として大変に人気をはくしています。


 大衆は、『へ~大昔にそんな事が有ったんだ~……ふ~ん……』と、言ったところです。

 真に受ける者も居れば、逆に『これ、フィクションなんでしょ?』と娯楽作品として割り切って楽しむ者とマチマチです。

 実際にこの情報公開で大騒ぎしたのは、歴史や人類学といった学者と宗教団体ぐらいですね。

 大衆には、わりとアッサリと受け入れられてしまいました。

 これも、最近異星種族や神々が頻繁に大衆の前に姿を表すようになった事に起因するのではないでしょうか。

 少なからず神々の洗脳も一役買っているのかもしれません。


 蓋を開けてみたら自分達も宇宙人だった……それがどうした? って事でしょうかね。


 そう、我々はこれまでと何も変わるところはないんです。

 過去がどうであれ、多少余計な知識が増えて認識が変わった程度です。

 これまで通り我々の社会は存在していきますし、変わらずに人々は生活してゆくしかないんです。

 別に、明日急に滅亡するわけでもなく死が訪れるわけでもなし……逆に我々の種としての寿命が伸びるかもしれないと聞くとメリットのほうが多いような気がします。

 実際にデメリットよりメリットのほうが多いんですが、それもこれも昴君達がデメリットを尽く潰してくれたからに他なりません。

 人類誕生の謎を暴いたウンサンギガ? いえ、元がウンサンギガと言う異星種族と天の川銀河連合のトップ種族とのお家騒動に端を発した種族滅亡のストーリーですよ。

 そして、滅亡の運命から結果生き残った者達の攻防の歴史ですね。

 

 蓋を開けてみれば、些か傍迷惑な話ですが地球人類の根幹にある闘争の因子とは、こうして(はぐく)まれたんだって事が面白おかしく明らかになってくると、『それがどうした? 俺達には関係ないさ!』と笑い飛ばせればよかったんです。

 ですが、そう言うわけにもいかずモヤモヤが残ったような状態で、今は小康状態ってところでしょうか……。

 かたや、ウンサンギガの謎を解いて力をつけた昴君達にどうやって近づこうかと画策している個人や団体、国家なども有るようですが全て無視されている現状です。

 中には『お前らだけ、ズルい!』って主張している者達も出てきていますね。

 この主張もあながち的外れでもなく至極当然とも取れるのですが、ほんとにたまたま運良く生き残っただけなんですよね、昴君て……。


 僅か10歳の昴くんが異星種族(バクーン)と最初に遭遇した時、パニックにならずに今が存在する訳で、他の国や人種、はたまた別の個人がこの状況で幸運な運命を引き当てるなんて事は、神に誓っても先ず無理な事でしょう。

 それこそが奇跡以外の何物でもない訳ですよ。

 目の前に宇宙人が降りてきて『お腹が減った。食い物をよこせ!』なんて面と向かって言われたら、真っ先に自分が食べられちゃうんじゃないかと思うのが普通の子供だと思いませんか?

 何処の世界に、代わりにカップラーメンを大量に食べさせて友達になろうなんてこどもが居ると思いますか?

 普通なら逃げ出すか目を回すのが関の山でしょう……百歩譲って会話が成立したとして、どうしてそこでカップラーメンに行き着くんですか?

 たまたま、タイミングの良いことに鍵っ子の昴君家のパントリーには、子供でも直ぐに消費できる沢山の備蓄が用意されていたっていう落ちではあるんですが……運命の神様は、働き過ぎだと思うのは私の気の所為でしょうか?

 彼は、ほんとに運が良いんです!

 私は、それこそが彼をウンサンギガの後継者に選ばせた最大の理由のような気がして仕方がありません。

 創生記3部作の3作目で、若干オブラートに包まれた形でこれらの情報は拡散されました。

 そしてこの数奇な運命を人類に対し良い形のままで、ウンサンギガは地球を旅立つ事になります。

 後に続く地球人類は、今後どう動く事になるのでしょうか……それは、残された者達の気持ち一つでしょう。

 綺麗に管理された地球にこのまま引き籠もって生きるか、敢えて過酷な宇宙に出てゆく事を決断するのか……。




 日本は、原子力発電所の廃炉をほぼ完了する目処が立っています。

 これまで大量に溜め込んできた放射性廃棄物は、その全ての処理が完了し、残されているのは現在稼働中かまたは休止した原子炉本体の廃炉処理を残すのみとなっています。

 これらの処理を直接実行するのは、この5年間で稼働実績を溜め込んだ専用のオートワーカーやリモートワーカーによるところでの処理作業となります。

 それに携わる技術者に健康被害等を一切出さないで処理を進めることが可能となりました。

 そしてこれらの機材は、全て(株)タウルス謹製のシステムになります。

 今では、24時間の監視体制もその殆どを機械がこなせるようになりました。

 メンテナンスの基本業務は専任のオートワーカーが努め、管理ログを人がチェックして最終安全確認をするのみです。

 その殆どの作業手順や技術の蓄積を済ませたオートワーカー達が現役の技術者に変わって管理メンテナンス作業を行えるまでに成長したのでした。

 これらの技術やシステムは、日本と同盟を結んでいる友好国への技術支援として予定されているとの事ですが、日本での廃炉処理が完了した後に順次レンタル化される運びのようです。

 これらは、荒垣元事務次官が水素発電ユニットの普及とともに計画してきたプロジェクトです。

 彼は現在、経済産業省を退官して水素発電協会の2代目会長をされております。

 同協会で水素発電ユニットの管理運営を行なっており、ユニット普及の結果として職を失う関連技術者の受け入れもおこなっています。

 そして、同時に原子力発電所の廃炉処理も同協会が進めているのです。



 アメリカは、日本に続いて水素発電ユニットの供給を受けることが決定しました。

 ただし水質が日本の基準を下回る物だったことから追加での浄水コストが掛かることは当初から予想された通りでした。

 しかしその反面、日本と同じように多少高い水道料で安全な飲用水が豊富に利用できるようになりました。

 水は、年齢に平均して人体の60%以上を占めている物質です。

 新生児は、なんと75%以上が水なのです。


 アメリカでは今後、安全な飲用水の活用が可能となり住民に多大な恩恵を与えることでしょう。


 そんな訳で初期導入には多少コストは掛かってしまいますが、アメリカも水素発電ユニットの普及が進んでゆけば(じき)に導入コストの元は取り返せることでしょう。

 同時に日本で進められている原子力発電所の廃炉についても、導入の計画があるそうです。

 核兵器の縮小廃止へと軍も動いており、廃棄される核兵器関連の汚染物の処理依頼が厚木基地近くを通りかかったゴミ処理メイドさんに来ているそうです。

 アメリカまで出張するかは現在検討中とのことです。

 最悪、日本に輸送して処理してもらう方針らしいですが、『日本への核兵器の持ち込みを許すな!』と一部の国会議員が騒いでいるようです。

 反面、国民感情はどうかと言ううと、安全に処理が出来てこの世界から核兵器を減らせるのならば受け入れるべきだろうと云うのが世論の大きな流れのようですね。

 多分この流れは、今後世界中に広がる事になるでしょう。



 

 そしてこの2年ほどで大きく変わったのが世界経済を良いように引っ掻き回していた中国資本と韓国企業の衰退です。


 資本が投下されていたアフリカや中東で起きた異星生物災害による自国の負債は、甚大な物となってその後それぞれの経済に大きく影響したのでした。

 自国軍や国境とは言え核兵器が使用された損害も目に見えて大きく、これまで後進国へ投下した資本の回収にも動きましたが、思うようにはゆかずにこれまでのツケがここに来て響いたともいえるでしょう。

 

 そして致命的だったのは軌道エレベーター事業への参入も後発となった事です。

 その結果、実質的に韓国という独立国は消えることになり日本の統治下に収まることになりました。

 彼の国は、今まで好き勝手してきた事が原因で、手を差し伸べてくれる国家などは皆無でした。

 当てにしていた中国も他国の面倒を見る余裕などありませんでしたから、韓国でクーデターが発生した時の対応も後手に回ることになりました。

 もし下手な介入を許していたら今の日本統治下の自治区どころか、影も形も無くなって居たことでしょう。

 元々、韓国の近代化を押し進めたのは日本ですし、その恩に後ろ足で砂を掛けられ続けていた事からは予想も出来ない様な形に収まったのも、ウンサンギガの無人政府体制が有ったからです。

 人が直接介入しないこのシステムは、政治家や官僚が存在しませんから、政治経済の運営に不公平や搾取体制が存在しません。

 情報は正確に公開され一切の不正がありませんから、国民は難しいことを考えなくても良くなりました。

 しかし、不正や不公平が無いかわりに今までのように怠惰に過ごすこともまた出来なくなったのでした。

 公平な社会サービスを受けるかわりに、これまで怠惰だった民は、機械に働かされる事になるのです。

 かたやこれまで真面目で真っ当に生きてきた者には、それに見合った待遇が与えられる様になりました。


 このシステムは、両刃の剣です……非常に楽が出来るように見えるので我も我もと支援を申し込んでくる大小の国家が後を絶ちませんが、一度使ったが最後国家が無くなってしまうかもしれないのですから……。

 だからでしょうね、日本も自国への採用には、二の足を踏んでいます。

 こういうところ、日本の官僚や政治()は敏感ですから……。






次回からほんとに 結婚式に突入します。

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