4-4-19 明かされた秘密
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年内に終わりそうに無いですな、ワハハハ ^^;
およそこの未開の地で最初に済ませて置く事、拠点設営と生活の見通しはたった。
ここまで来てしまえば、私達にはあとはヌルゲーでしか無い……。
その思いが私の心からの言葉を虚空に叫ばせていた。
「そろそろ種明かしをしてもよいのではありませんか? どこかでこの茶番を見ているのでしょう、ハコさん……それにお義母さま……」
『ア~ララァ~、銀河ちゃんが少しプンプンしちゃってるわよ、ハコちゃん……』
[……ハァ~、流石…マスターに一番近いところにいる彼女には全てお見通しの様ですね。仕方がありませんお義母様、お巫山戯もこの辺にして、チャンとした花嫁修業にシフトするといたしましょう]
『エ~、もうおしまいなの? これから楽しくなると思っていたのに~……』
「お義母さま、ストレスが溜まっているのは分かりますが私達で遊ばないでください!」
『う~ん、もう少しくらい眺めて居ても良いじゃない? 妊婦ってと~っても退屈なのよ~♪ みんな船の方に掛かり切りで私の相手を全然してくれないし~……昴も最近は私から逃げるのが上手くなっちゃってさ……チッ……』
「「「「「「「「あぁ~……」」」」」」」」
[肯定。最近では、私の監視網でさえも度々掻い潜るだけのテクニックをお付けになられて来られましたからね……何でも『閨での記録は止めてくれないか』とか小賢しくほざいておられましたので、『ハハハッ、逃げられるものなら逃げてご覧なさい』などと煽ってしまいまして……それでもオツトメは欠かしていなかった様子ですが……ねえ、みなさん……](甘い! 甘すぎます。私から隠れられると思ってる時点でまだまだ考えが甘ちゃんなのですよ。チャ~ンと全記録は取ってありますからね……ウフフフ……)
『元凶は、お前か~……』
「「「「「「「「アウッ」」」」」」」ポッ」(…全員赤面…)
[肯定。では、茶番はこのくらいにして本題に移りましょうか。皆さんご存じの通り、この空間は私の内部空間に作成された人工惑星です。限りなく地球の自然環境に近づけて作成された所謂セカンドアースと定義した天体です。当然人類が生存するに最適な自然環境を再現していますが文明の一欠片も存在しません。ここはこれから先、ウンサンギガ皇族のみの禁足地となります。家族以外の何人たりとも立ち入りを許されない聖域として整備するのですが、最初にあなた達にその権利をお譲りした次第です。そして、新たなる命の誕生する地としての聖地となるのです]
「早い話が此処を安全に子を産み育てて鍛える地としてゆくのに先駆けて、その中心になるみんなに先鞭を振るって貰いたかったって訳。分かったかな?」
[肯定。此処を新たな一族生誕の地、そして終焉の聖地とする事は既にマスターより御了解を頂いております。無粋な墓荒らしやトレジャーハンターなどには荒らされたく有りませんし、正当な資格を持った者以外への情報の開示も私が許しません]
『お墓を先に用意するって辺りは日本人らしいと思わない?……エジプトの王様もやってたけどアレは公共事業の一環だしね~』
[肯定。でも、ここをみなさんのお墓にする気持ちは一欠片も有りませんよ。墓所が無いと後々不便な事もあるだろうと用意している程度の事です。ここを今後どの様な位置付けとして存在価値を持たせられるかはみなさんの努力次第と言えるでしょう。当然ここは私の中でもありますので、色々と口も手も出させて頂きますのでご了承ください。ではこれから、今この銀河がどの様な状態にあってマスターがどう関わっているのかをお見せいたします。心を平常に保ってしばしのお付き合いください]
この後、各種映像と共に説明された数々の秘匿事項に一部を除いて全員が絶句することになる。
天の川銀河外苑では、銀河内に侵食してきている邪神の尖兵との激しい戦闘が繰り広げられており、『射手座矮小楕円銀河』ではまだ残存している生命体の救出と邪神の殲滅をかけた攻防が繰り広げられていた。
そして、ライブラリースターとメイズスターを前線基地として、これら全ての戦力のトップに君臨するのが昴であった。
既に太陽系にまで邪神の魔の手は伸びている。
先の緑色のクリーチャーとの攻防戦は、その前哨戦にもならない余波程度の事であることが見て取れた。
希美お義母さんも初耳の事が目白押しだったらしく、目を白黒させていたが……。
太陽系周辺は取り敢えず安全を確保されたが、天の川銀河全体で見れば現在も『おおいぬ座矮小銀河』の邪神から侵略を受けている真っ最中である。
さらには、その他の周辺銀河からも侵略のターゲットにさらされている事が予想されているというのだから困ったものである。
2年前、時空神ソトの全権を持って昴がこれらの対応を迫られ、対処に追われていた事が知らされた訳である。
経緯を知っていたシャシとラクシュとリリアナの3人は自分の事のように胸を張り、詳しい事情を知らなかった面々は百面相を披露していた。
「龍が来て、昴くんがメイズスター作ったりしてたよね? 何か凄いことしてるんだろうな~とは思ってたけど……ここまでとは……」
聖が『仕方ないな~』といった風情で納得し……。
「待って待って、情報が多すぎるよ」
裕美が悲鳴を上げた。
「チョッと規模が巨大すぎて想像できないんですけど~、だからどうしたって話~?」
そして、双葉が混ぜっ返した。
「旦那様は、天の川銀河を代表して一人で戦っていらしたのですね……♪」
ジェシーさんは、とっても嬉しそうだ。
[肯定。既に一個人が抱え込める様な段階をとうに超えていると言わずにはおれません。我がマスターながら、いったいどんな神経をしているのか疑わしい処ではありますが少しでもその負担を減らそうと考えた場合、物理的な負担は我々がこれまで以上にフォローする事は出来ます。ですが一番は、マスターの精神的負担を一緒に担保してくれる家族の存在が必要ではないかと考えた訳です。阿修羅王をはじめ主要王族の心配するところでは、マスター一人にばかり負担を掛けている現状を可及的速やかに解決し、政治的な外部圧力にも対処できる堅牢な組織を確立する必要性に迫られたと言う訳です]
「それで白羽の矢が立っているのが私達なわけね……」
[肯定。ここで私が挙げる伴侶という存在は、その生涯をマスターと共に過ごす存在としてだけでなく、親や子よりも固い絆で結ばれる半身と言えるものです。地位や名誉はもとより経済力等のために政略結婚をする者も居りますがマスターにはそんな者達は必要ありません。精神的な拠り所となる家族が必要とされるのです。これは、ウンサンギガ復活当初から懸念されていた事柄ではありました。よってマスターの伴侶となる候補者には、長年にわたってお付き合い頂いて来た訳です。残念ながら私たち機械知性体では、まだみなさんと同じ立場にはなれておりません。やがては同列の立場に立つ所存ではありますが、今回ばかりはマスターの隣をお譲りいたしましょう。まさかここまで来て逃げ出したいなどと仰っしゃる方は、ここにはいらっしゃらないと思いますが、いかがですか?]
「まぁ~逃げ出したい気持ちが無いと言ったら嘘になるけど、みんなと一緒に行きたいという気持ちの方が大きいかな……」
「「そだね~」うんうん」
「私は、家族になれるなら後のことはどうでもいいよ……昴ちゃんなら何とかするだろうし、少しお手伝いが出来れば嬉しいかな」
「流石古女房、言うことが違う」
「兎に角、脱落者は無しという事で良いね? みんな……」
「「「「異議なし」」」」
「そちらの意見は、纏まったようじゃのぅ。なに、心配は要らん、妾たちもおるし後は力で捻じ伏せれば大概のことはどうにでもなる」
「シャシ様駄目ですよ、何事も力で解決しようとなさっては……」
「しかし、力が伴わない弱腰では生き残れないのが宇宙の真理です。ラクシュ様」
「その気持は分かるよ、リリアナ達は故郷を追い出された口だからね」
「ええ、今は旦那様が単独戦力で故郷の銀河から邪神を追い出しに掛かってくれていますが、やがては民達が戻れる日が来ることを祈って共に歩みたいのです」
『まぁ、あんなどう仕様もない倅だけど、みんなで助けてやってよ』
[肯定。ご心配には及びません。私の目が蒼いうちは、マスターには何者をも危害を加えさせません]
『うんうん、よろしくね。それでこの後なんだけど……みんなには私達とおんなじレベルまでの生体強化処置を受けてもらいます』
[肯定。長年に渡るみなさんのデータ収集とドクターアンの研究データを基に、現在我々が出来うる最強レベルの強化を施します。大丈夫、何も心配はいりません。既にマスターで試してありますので大船に乗った気持ちで5日ほど寝ていてくれればOKです]
「5日って、ずいぶんと短いのね」
[肯定。みなさんは気がついていませんが既に基礎となる生体強化がなされています。シャシ様達3名も調整は済んでいます。最近、体の調子が良くなっているのを感じておいででしょう]
「うむ、お肌がツルツルなのじゃ……先程も全力を出したつもりじゃったがまだまだ余力があったのぅ」
「そうですね。最近非常に体の調子が良いのはそう言う訳ですか……」
「私は、すぐグロッキーしてしまいました……シクシク……」
[否定。リリアナ様は、強大な精神的圧力によるものの影響です。ご確認頂ければ分かると思いますが体は既に回復していると思います。通常であれば3月ほどは昏睡してもおかしくないだけの圧力を受けていた筈です。常人ではとても耐えられずに今頃は廃人ですよ]
「……」
「ほう、それを耐え切ったとみえる。大したものじゃ♪」
「良かったですね、肥料にされなくて♪」
「……シクシク……」
この後は、訳が分からないほどのスピードで全員の調整槽入りが実行された。
7日目に目を覚まし同じ場所に立った8人は、そこが驚くほど綺麗に整備された高級別荘地になっていることに驚いた。
みんなで建てたロッジはそのままに、綺麗に仕上げを施され高級感が数段増している。
周囲のインフラや温泉施設も完成しており、至れり尽くせりの状況に唖然としたのだった。
[みなさんお疲れ様でした。今日一日、ここをゆっくりと御堪能ください。明日からは又忙しくなりますよ]
そう一言残してハコさんは、消えていくのだった。




