4-4-01 婚活スタート
1682文字
新章スタートしましたが、中身が固まっていないので大幅に書き直すかも知れません。
ご容赦ください。
此処は日本の田舎……とは、今ではもう決して言えなくなってしまったある限界集落である。
奇跡のような一つの出逢いが導いた激動から、わずか数年で此処を別世界にしてしまったのである。
今では見るからに閑静な高級別荘地の佇まいだが、その見掛けからでは予想もつかない様なハイテクな住環境が完備され、さらには最新の軍事基地も真っ青なセキュリティー設備が整っていた。
現在、日本で……イヤッ世界でも一番安全な場所と言っても過言ではないだろう。
これらが、山頂の天体観測所周辺を除いてこの土地を所有する株式会社タウルスによるところだと世に認識されてはいるが、実はその殆どが一人の少年の個人の力で成し遂げられた事だと知っているのは関係者のみである。
更に公にはされていないが、この村の地下深くには何を隠そうウンサンギガ一族最新の秘密工廠が存在するのだ。
今、この秘密工廠に勢揃いする面々は、ある目的の為に日々想像も出来ないほどの高度な知識と鍛錬にさらされている。
その理由は単純だ。
此処を作った幼馴染の側に立ち、支え共に歩む為である。
そして、如何にして自分に振り向かせるか競うためでもあった。
中には、退屈しない為だなどと嘯いている野郎も一人居るのはご愛嬌だろう。
すでに手の届かない所にまで成長してしまった幼馴染をどうやって籠絡しようかと、日々画策している少女達が屯する魔窟と化しているのだった。
周りは、みんなライバルだけど親友でもあるのだった。
この数年で、彼女達も驚くほど成長し綺麗になった。
ターゲットの男女交際が解禁されて早2年、それなりに機会を作ってはお付き合いも進んだが、忙し過ぎて地球に居ないのでは手の出しようもない彼女達だった。
あと一歩が踏み出せずにみんなで牽制しあっている……と言うよりは、遠慮しあっている間に大人なジェニーに掻っ攫われるという失態を犯す始末であった。
逸早く昴を篭絡し、恋人の座に収まったジェニーは、今では全員の教官役に収まっている。
実はここだけの話、どこまでも奥手なジェニーを体よく洗脳し凶行に走らせたのはマギーさんだったりするのだが、これは当事者だけの秘密である。
マギーさんはこれで旦那以外の有力なパイプ、昴の恋のキューピッドと言うカードを手に入れたのだった。
昴からするとマギーさんも既にファミリーの一員と認識されているのだが、 マギーさん本人はその辺の認識が薄いようだが……。
本日は、此処に常駐しているセバスチャンコピーからのレクチャーは無いようで、どっから引っ張りだしてきたのか多目的ブラスターライフルを磨きながらジェニーさんが話しだした。
「忙しい所皆んなに集まって貰ったのには訳が有るの。マイハニーからの伝言を伝える為よ」
『この所忙しくて帰れなくてごめん。やっと一段落着いたから太陽系に帰って皆んなと色々話しがしたいんだ……」
「……との事だったわ。ここで気になるのは、色々と話したいってところだけど、実はハコさん情報で私達にだけその内容を話して良いって言われた情報があるの……」
昴が帰ってくると聞いてそれまでキャーキャー騒いでいたその場は、シーンと静まり返ったのだった。
「天の川銀河防衛の準備と根回しが一段落して首脳陣からハニーに圧力が掛かったらしいわ。今回の一件で銀河系一の有名人になっちゃったハニーだけど、余りにもその身辺が宙ぶらりん過ぎるって注意されちゃったらしいのよ。そんな訳で、主星シン・ニビルが完成したら新国家ウンサンギガ帝国の樹立を宣言する運びになったらしいわ。そして、それまでの間、ハニーは太陽系でお后の選出をすることが決定したとの裏情報よ、対象は、……当然私達よね♪ 皆んな、一緒に嫁に行くわよ!」
天高くライフルを突き上げるジェニーさん……この為に持ち出したんだな。
その瞬間、歓喜の悲鳴が爆発したのは当然の成り行きだろう。
泣き出す者も居る。
その想像を絶するボリュームに耳を抑えて蹲るのは、健太ただ一人だった。
尊は、ちゃっかりとセバスチャンから耳栓を貰い部屋の隅に避難していた。
何故か愛子まで一緒に騒いでいるのだが……健太、お前はそれでいいのか?




