番外編・ツインテのツンデレちゃん
これは、リルカちゃんが高校2年の夏のお話です。
夏まっさかりのソライユ学園。
ノースリーブセーラー服姿のあたしはクラスメイトの、同じくノースリーブセーラー服姿の陽奈子ちゃんとのんびりする。
「陽奈子ちゃん、あたし、あのツインテの女の子が気になるんだ」
あたしが指差した先には、赤いツインテールの、小柄でツリ目の少女が。
「あらあら、声をかけてみませんか?」
「うん!」
あたしはツインテ少女に近づき、声をかけてみる。
「やほ!」
「きゃあ!…馴れ馴れしいわね…」
少女は驚き、ツンツンした反応をする。
「ねえねえ、名前教えて♡」
「何よもう!あんたから言いなさいよ!」
「あたし?篠町リルカだよ♡」
「ふうん、リルカね…」
「ねえねえ!」
「…宮森チセ…」
「チセちゃん!かわいいよぉ〜♡」
あたしは思わずチセちゃんに抱きつく。
「きゃあ!何よもう!バカじゃないの!?」
チセちゃんはますますツンツンした。
「離れなさいよ!もう!バーカ!」
チセちゃんはあたしを引き離し、逃げていく。
陽奈子ちゃんは心配そうに声をかける。
「リルカちゃん…」
「これ…もしや…もしかするとぉ!」
あたしは目を輝かせる。
それから昼休み。
「陽奈子ちゃん!志穂ちゃん!お昼にしよ♪」
「はい♪行きましょうか♪」
「雪乃ちゃんたちとお昼ですね♪」
いつものように、陽奈子ちゃんと志穂ちゃんを誘って2年A組教室に向かう。
「…あ…あたしも行ってあげてもいいわよ…」
「あ!チセちゃん!」
「…な、何も言ってないわよ!」
そんなこといいつつも付いてくるチセちゃん。
2年A組教室。
「雪乃〜!琴子〜!見て見て!新しい友達だよ!」
「べ、別に、あんたの友達になんかなってないわよ!」
(やっぱりツインテのツンデレだ!)
「あら、リルカは友達作るのが早いわね」
「リルカちゃんは友達作りのベテランだね」
雪乃はあたしにあまり笑顔を見せないが、珍しく微笑んでる。
「改めて、あたしは篠町リルカだよ!リルカちゃんって呼んでくれると嬉しいよぉ〜♡」
「ふふ、私は天野原雪乃、リルカたちの親友よ、よろしくね」
「花咲琴子です!毎日運動をしてます!」
「桜木陽奈子です、星を見ることが大好きです♪」
「野桜志穂です…あの…よろしくです!」
あたしたち仲良しガールズの自己紹介が終わる。
「あたしは宮森チセ…言いにくいけど…よろしく…」
チセちゃんの自己紹介が終わって、お弁当を食べながらのガールズトークが始まった。
そして、放課後。
「ねえ、リルカ…」
「あ、チセちゃん、どしたの?」
「あ、明日…一緒にデートしても…いいわよ…」
「はい決まりだね!あたしとデート!」
「何よもう!即決決めるなんてバカじゃやいの!?」
「あたし、キミともっと仲良くするためにデートしたいの!」
「もう…どうしてもというのなら…条件付きよ…」
「なに?」
チセちゃんは恥ずかしそうに言う。
「あんたとさっき一緒だった眼鏡の子…陽奈子と一緒に来なさい…」
「はーい!誘ってくるね!」
あたしはすぐ陽奈子ちゃんを誘いにいく。部活の時間なので多分天文部にいるはずだ。
「陽奈子ちゃん!」
「あらリルカちゃん、どうされましたか?」
陽奈子ちゃんはにこにこ、と笑みを浮かべてあたしを見つめる。
「明日、チセちゃんとデートなんだけど、キミも来てほしくて…」
「あらあら、素敵です〜♡私も喜んで行きますよ♪」
「わーい!ありがとう陽奈子ちゃん!!」
あたしは陽奈子ちゃんを抱きしめた。
「あらあら、うふふ、リルカちゃんは甘えんぼさんですね♪」
それから部活の後、3人でデートの待ち合わせ場所について話した。
翌日。
あたしはデートの待ち合わせ場所、港町駅の広場に向かう。
水色のキャミソールに、おしりがはみ出るほどのホットパンツ、フリル付きの白ハイソックスと、夏の女の子らしい服装だ。
「やほ!チセちゃん♪」
「遅いわよ!」
「私もちょうど来たところです♪」
ハート模様の白いタンクトップにミニスカート姿のチセちゃんと桃色ノースリーブワンピ姿の陽奈子ちゃんは既に来ていた。
「うん、3人そろったね!あたし、スイーツが食べたいからスイーツショップに直行だよ!」
あたしたちは行きつけのスイーツショップに向かう。
「ねえねえ、ここのスイーツショップはかわいい女の子が店番をしてるんだよ!」
あたしはスイーツショップの扉を開け、入店する。
「いらっしゃいませ〜♪あ!リルカちゃんだ!」
アイドルっぽい制服を着た外見年齢14歳の店番の女の子が満面の笑みを浮かべる。
「あら、素敵な女の子ですこと」
陽奈子ちゃんは店番の少女のかわいさに笑みを浮かべる。
あたしは店番の少女にこんなことを聞いてみる。
「ねえねえ、キミはどこの学校出身なの?」
「月野川中学出身の2年生です♪」
「そうなんだね〜!あたしはソライユ学園高校の2年生だよ!」
あたしは思わず少女とのおしゃべりが長引く。
「リルカ!スイーツ食べに来たんじゃないの!?」
「あ、つい話し込んじゃった、てへぺろっ☆ショコラケーキください!」
「チーズケーキがいいわ」
「いちごショートくださいな」
あたしたちはスイーツを少女に注文する。
「810円になります!」
「みんなの分、あたしが奢るね!」
この中で、あたしが(多分)唯一バイトしてるので、お金にかなり余裕はある。
あたしたちは3人揃って一緒の席を取ろうとすると…
「あ!錬磨くんだ!」
偶然、錬磨くんがいたので声をかけちゃう。
「あ!リルカちゃん!陽奈子ちゃん!奇遇だね!」
錬磨くんも笑顔で答える。
「ねえねえ練磨くん!新しい友達ができたんだよ!」
「別に友達じゃないわよ!」
錬磨くんの前でもやっぱりツンデレだ。
あたしたちは練磨くんを加えて4人でスイーツタイム。
「はむっ…美味ぃ〜♡」
あたしはスイーツの美味さにほっぺたを最大限桜色に染めた笑みを浮かべる。
「うふふ、スイーツを食べる時のリルカちゃん、とてもかわいいですね♪」
陽奈子ちゃんもあたしに笑みを返す。
チセちゃんはあたしにこんなことを聞く。
「リルカ、あの店番の子、なんであんたのこと知ってるのよ」
「ふふ、よく聞いてくれたね。あたし、ここの常連なんだ♪」
「あらあら、リルカちゃんはこの店の常連さんなんですか。素敵です♡」
あたしの答えに、陽奈子ちゃんはにこにこ、と笑みを浮かべた。
それからスイーツを食べ終えて。
「ねえねえ錬磨くん、これからミオンモールに行くんだけど、一緒に行く?両手に花だよ♪」
「行きたいです!!」
あたしたちはミオンモールに行き、いろんな店を回ったり、ゲーセンで音ゲーをやったりした。
辺りは暗くなり、空は綺麗な星が瞬いている。
「リルカちゃん、見てください!あれがはくちょう座ですよ!」
陽奈子ちゃんは指を差す。
そこにははくちょう座の星が。
「綺麗だね」
「なかなか素敵じゃない…」
チセちゃんもうっとりしている。
「ね、錬磨くんもそう思うよね?」
「リルカちゃんのほうが、もっと綺麗だよ」
きゃーっ!!これがギャルゲの定番のセリフってやつ!?錬磨くん、言うねえ!
「あたしが星空より綺麗なんて…うふ、てれちゃいますわ♡」
あたしはキュンとして、思わずお嬢様口調になっちゃう。
そして、錬磨くんに寄り添って、しがみついちゃうあたしだった。
…今宵だけの素敵な夜♡
「錬磨くん、素敵ですわ♡」
「ちょ、リルカ!戻ってきなさい!」
To be continued...
チセ「もう!バカバカバカ!!」
リルカ「なんでああいう子は素直になれないのかな…これだからツインテの少女って奴は…」
雪乃「あなたも確かツインテの少女だったはずよ」




