藤の花に魅せられて~解決編~
じつはこの登場人物2名の名前、合わせてちょっと変換していくとひとつのメッセージとなります。
須藤黄子、彼女は自室で封筒を眺めていた。
差出人は書いていなかった。とりあえず開けないことにはお返事の必要のあるものなのかどうかもわからないし、内容もわからないまま。
おもいきって中を開けると、中には便箋が一枚と更に小さな封筒が入っていた。
しかもこの封筒、何やら動いているような気がする。
便箋にはただ一文だけ。
『ダークG、参上!』
…意味がわからない。
ダークGといえばオークションでのよく商品を買ってくれる常連さんだ。
最近ではメールでのやり取りもしているが、そんな変なことをする印象ではなかった。
名前からして、袋のなかの動いてるのはゴキブリだろうとおもったわたしは外で開けることにした。
玄関の扉を開け、すぐ戻るからいいかと鍵は開けたままにして、そのまま少し歩いて近所の公園に来た。
わたしはさっそく小さな封筒の開封を試みた。
事前にゴキブリに対する心構えはできているし、何よりここは野外。怖がる要因がなかった。
室内だと滑空してきたり、家具の隙間に忍び込んだりとするゴキブリだが、野外でだとそんなに怖くない。たまに駅のトイレの通風孔から落ちてきたりするとびっくりしてしまうが、それ以外ならアリとおんなじだ。
そう覚悟を決め開封すると、中から出てきたのはただのビー玉だった。
ポストに投函された封筒、謎の手紙、きちっと閉じた封筒に入れられたビー玉。
何かの暗号かと思ったがよくわからなかった黄子。
自宅に帰るまでずっと頭を悩ませ続けていた彼女は、知恵熱がでたのか急に頭痛がしてきたのを感じた。
しばらく安静にしていたが、いつの間にか眠ってしまっていたらしく、目覚めるとすでに夜中で、そばにはお粥が置いてあった。
ありがたい。
お粥を食べて入浴後、封筒をまた確認していると、消印がないことに気づいた。
なんとこの手紙はダイレクト投函されていたのだ!
そう気づくと急に黄子は怖くなってきた。昼間、彼女は封筒の中身を見るため、1度扉を開けたままに外出しているし、それについさっき、目覚めたときすぐそばにはお粥が置いてあった。
(家の中に誰かいる!!)
「すいません! 警察ですか?! 確認はとれてないんですけど、うちに誰かが入ってきているみたいなんです! はやく来てください!」
すぐさま110番通報をして、家中を探し回っていると、なにやらおかしな音が聞こえた。
ピコンッ!
それはまるでスマホで動画を撮影するときのような音。
音のした方を見ると、自室の押し入れだった。
百葉箱のような感じの鎧戸になっている扉は、観音開きになっている。
怖い。
扉を開けようとするも震える手を押さえ、扉を開けた。
その時!
少し開いた扉の内側より誰かが黄子の手首をガシッ!とつかんだ。
きゃああぁぁぁ!!!!!
叫び声とともにまだ手が出てきている扉を戻そうと強く押し付ける。
「いたいいたいいたい!!!」
なにやら声が聞こえるがそんなこと気にしている余裕はない。
そんな格闘をしていると、騒ぎを聞き付けた警察の職員が部屋に飛び込んできて、中の人を取り抑えてくれた。
出てきたのはやはりというか男性であった。
事情聴衆によると、彼の名前は猪井賀 原子朗さんというらしい。
電車でわたしの事を気に入ってくれたのだが、ダイヤ変更に伴って会えなくなったことで暴走。ネットオークションで黄子の私物を買い漁って、その際知ったアドレスで本人に成り済ましてSNSへ入りこみ、住所を知って犯行に及んだらしい。
そして次はわたしが聞かれる番。
「えー、須藤黄子さん、男性…? えっ? 男性のかたなんですか?」
「はい、趣味で女装しています。」
そう、わたしの周りへの目のためにおおやけにできなかった趣味。
それが女装なのであった。
つまり、犯人の猪井賀さんは、女性だと思い込んで、男性をストーキングし、男性の家へと不法侵入したのであった。
女性にしか見えないとの言葉をもらえて照れる黄子を眺める男性陣なのであった…。
世の中には男性、女性に問わず、魅力的なかたがたくさんいらっしゃいます。
あなたの身の回りにいる異性のかたは、本当に異性なのでしょうか??
猪井賀原子朗、いいかげん(に)しろう。
須藤黄子→須藤王子で王子をキングジュニアとすると、ストーキングジュニア
ストーキング(ジュニア)いいかげん(に)しろう!
なんちて♪
そんな名前の由来でした♪
ちなみに須藤黄子ちゃんはうちの違う作品にも出てくるので見かけたら声かけてあげてくださいね☆