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本当にありそうでなかった怖い話  作者: 久悠ふみ
さぁお立合いお立合い、真夜中の訪問者の続編があらわれたよ♪

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ある日、本間(もとあいま) (くさぎ)という男と、真地出(まちいで) 美安(みやす)という女がトイレにいくと、そこには長蛇の列ができていました。

芸は美安に並んでもらい、その間、列に並んでいる皆さんに、いまどんな気持ちかとインタビューしてみることにしました。


「すいませーーん!」


「なんやアンタ! 割り込もうとしてもあかんよ!」


「す、すいませんでしたー!」


先頭列の人はイライラが隠せないようです。


「すいませーーん!」


「ん?」


「いまのお気持ちを一言よろしいですか?」


「ながい。」 


「ありがとうございましたー!」


回答者1人目ゲットです!

よこで呆れた様子でこちらをみていた最後尾の人の目は、謎な生き物を見ているかのようになりました。

そのまま順に聞いていき、先頭まで来ました。


「いよいよ次が出番ですね! ここまで待たれて感慨深いかと思いますが今のお気持ちをお聞かせ……あれ? あちらのトイレは使用中止かなにかなんですか??」


ふと見ると、列とは無関係に、施錠されていない青色マークの個室トイレがあった。

なぜか誰も使わない理由。それは、数ヵ月前にその個室で自殺した人がいて、それ以来その子の霊が個室のなかにいるという噂。

そして、その噂を聞いた男性二人が個室の中へ一緒に入った所、なんとその二人はカップルとなって、いちゃつきながら個室から出てきたのだそうな…。

これまででわかっているのは、男二人だとカップルになる。

男女で入ると仲違いする。

1人で入ると霊に魅入られる。

…というお話でした。しかし、そのルールが「表面上の性別」ではなく、「心の奥底に隠された真の性(真理)」によって引き起こされるものだとは、彼らは知る由もありません。

そこで芸は、列に並んでいた美安と顔を見合わせ、ニヤリと笑った。


「よし、男2人の女1人……3人で入ったらどうなるか検証しようぜ!」


「賛成! でも男がもう1人足りないわよ?」


「任せろ。ちょうどその辺うろついてるヒマ人がいるから」

(くさぎ)はスマホを取り出し、友人の能家(のうけ)直球(すぐま)に電話をかけた。


『……ん? なんだよ芸』


「直球! お前今どこ? ちょっと今すぐ公園のトイレまで来て!」


『は? トイレ? なんで俺がそんなとこ……』


「いわくつきの個室で3人同時に入る検証するから、男の頭数が足りないんだよ! 早く来い!」


『言葉のチョイス!! ……ってか、俺はイヤだぞ、そういうオカルトっぽいの!』


「いいから来い! 5分以内な!」


『ちょっ、わん――』


ブチッ。ツー、ツー……。


数分後。


「……はぁ。で、なんで俺が便所の前なんかに立たされてるわけ?」

文句を言いながらも、きっちり5分以内に呼び出しに応じた直球がそこにいた。


なんだかんだ言いながら強引な誘いに逆らえないこの性格こそが、彼の隠された『M』の素質であることに、本人はまだ気づいていない。

まさに直球(ちょっきゅう)ストレート!

直球(すぐま)の『ま』はドMの『ま』に相違ない。

こうして男女3人で、ひとつの個室にはいることになった。

その異常性、そして霊と遭遇してしまう可能性へのドキドキわくわくぶり、略してドキブリに心を踊らせていたのだった。


ガチャリ。

個室の鍵が閉められた瞬間、空間の空気がぐにゃりと歪んだ。


「な、なんだこれ……!?」


直球(すぐま)が息を呑む。

その直後だった。

「あ、あれ……身体が……熱いッ!」

「わたしも……!」


美安(みやす)(くさぎ)

交わるはずのない二人の身体が、突如として眩い光に包まれたのだ。

光はやがて凝縮されていき、鳥居のような形になった。


『あたしは【安芸(あき)】、姓は長州。毛利の血筋を継ぎし、長州安芸よ。』

声が響いた。

鳥居の中から一人の女が出てくる。


「えっ……ほんま…? ま、まじで……? 嘘だろ、合体して、一人になるとかもう1人分の質量はどこに…はっ!な、なんだこの圧倒的ドS感!俺のドMが呼応している!」


直球(すぐま)はなぜか、その女性を目にした途端にゾクゾクとしておもわずその場にお腹を見せて服従のポーズをとってしまうのであった。

光が収まったとき、そこに本間と真地出の姿はなかった。

名前の文字が合体し、あろうことか戦国時代から幕末にかけての歴史ロマンまでをも巻き込んで、新たなる女王が爆誕したのである。

歴史の授業のような超展開と、自らの友人たちの名前がそのまま自分のツッコミになってしまうというカオスに、直球の脳は完全にショートしかけていた。

しかし――「真理の個室」の力は、合体事故だけでは終わらなかったのだ。


長州安芸はおもむろに個室に置いてあった消臭力を手に取り、服従のポーズをとる直球の身体に直接、容赦なく擦り付けた。

「くっさ! あんたなにその獣臭! くっさ!」

「あぁっ! 安芸様、もっと! もっとそのフローラルな香りで俺の獣性を浄化してぇっ!」

「キモッ!!」

自分の中の『M』が完全に覚醒してしまった直球(すぐま)は、消臭力(ラベンダーの香り)を塗りたくられながら、歓喜の涙を流して安芸の足元に這いつくばった。


トイレの外。長蛇の列の先頭で待っている人達は、息を呑んで個室の扉を見つめていた。

男2人と女1人、計3人で入った個室。

男女だから仲違いするのか、男同士でBLになるのか、それとも……。

ガチャリ。

ゆっくりと扉が開き、中から出てきたのは――。

消臭力を杓子のように胸元に携えた、絶世の美女。

そして、その美女に付き従い、強烈なトイレの芳香剤の匂いを漂わせながら四つん這いで「ワン!」と吠える、能家直球の姿だった。


(な、なんだこれ……!?)


列に並ぶ全員が、あまりの光景に言葉を失い、謎な生き物を見る目を向ける。

だが、直球の顔は、かつてないほど清々しく、真理に到達した者の喜びに満ち溢れていた。

これまででわかっていたルール。

男二人はカップルに。男女で入ると仲違い。1人で入ると魅入られる。

そして今回、新たに刻まれた最恐のルール。

『ふたりの場合はセクマイで、それ以上の場合はまず性癖で統合されふたりきりになってしまう。』

みなさんは、長蛇の列を前にしたとき、どのようなアクションをされますか??

個室空いてるのになんで使わないの!

そんなこと言って利用しようとすると幽霊のおもちゃになります。

今回、無知は鞭になって女王様を生み出してしまいましたが、そこのさじ加減は幽霊の幽子にしかわかりません。

列の先にあるのが「真理の個室」だったとしたら、あなたは飛び込みますか?

本当の性が、格安で手にはいる個室。

いかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございます!

さて、もしあなたが今、あの個室に入ったら……隠されたどんな『性(真理)』が暴かれると思いますか?

LGBTがスポットライトを浴びている今、この個室はきっといまでは知る人ぞ知るジェンダーを知るためのスポットとなっていることでしょう。

『しゅごキャラ!』感をだせてるといいなぁ…。

自分の隠された属性を知るのが怖い方は、幽子ちゃんに目をつけられないように、下の【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】をポチッと押して厄除けしておいてくださいね♪

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地震からめざめると男性だけの異世界でした!

田舎の怪盗夫婦。消えた財布はどこへいった!

上記連載の2作品も、どうぞよろしくお願いいたします♪

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