サンタの真実
あのモクモクヒゲって食べるとき絶対邪魔だよね‥むしろ口おおってるし食べれなくない??
ボクはサンタさんを見るたびにそう思う。
髪の長い人は髪が垂れてくるのを抑えながらでもまだ食べられる。
しかしヒゲはそうもいかない。
ヒゲは彼にとってはファッションであり象徴なのである。
『サンタさんプレゼントくださいっ!』
とある聖夜、役目を終え帰ろうとしていた赤い男の前にその子は駆け寄ってきた。
『ごめんよ‥。さっきの子でなくなったんじゃ』
『そ、そんな‥!ことしのクリスマスこそはサンタさんからプレゼントをもらえるとおもってたのに‥。』
男の名前はサンタ=サン。
どこにでもいる普通のサラリーマンだ。ただ周りの人と違うこと、それは彼がこよなく赤い色を好んでいたことで、それゆえに彼は子どもたちからこう呼ばれていました。
【サンタさん】と。
『坊主はなにがほしかったのかな?』
『お父さんとお母さんを返してください。』
少年の言葉に、男は自分の耳を疑った。
『きっとなにか深い事情でもあるんじゃろう‥。でもな坊主。それもまた哀しい運命だったんじゃ。赤い糸は坊主にも繋がっておる。』
『やだよ!お母さんとお父さんがいいんだ!他の人なんていらない!』
『そうか‥。お!そうじゃ!ならこの赤いヒゲをやろう。』
男は少年の眼の前で突然もっさりと生い茂っていた真っ赤なひげをパチっという音と共に外した。
『サンタさん‥?!ヒゲが血で真っ赤になってるよ!』
『‥。ノーコメントじゃ。それでな坊主、年が変わるごとにこのヒゲの赤い糸を解いてゆくと良い。このヒゲがバラバラになる頃にはきっと、少年にも赤い糸が結ばれておるじゃろう。』
『それが‥。お父さんとお母さん‥?』
『家族じゃ。ではの坊主!そのひげ、大事にするんじゃぞ!』
男はそういって、少年に背を向けて歩きだした。
その瞳に涙をこらえながら。
後に少年はこう語る。
ボクのお父さんは昔、赤いものを好みすぎてやっちゃいけない事をやっちゃったんだ。それで遠いところに行っちゃって、お母さんも近所からの目に耐えきれずに‥。
お父さんがいなくなってからのクリスマス。
プレゼントのなくなったクリスマスに僕は気づいた。
あぁ、あのプレゼントをボクにくれていたサンタさん。あれはお父さんだったんだなって‥。
だからその数年後にあったそのサンタさんも、ボクにとってはお父さんだったんだよ。




