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1:晴海ー5

前回のあらすじ:


凶暴猿と名づけられた私。


廊下を歩くだけで、視線を感じていたところに一人の男子が近付いてくる。

その男子はこの前校門で私を押し倒した男、加賀先輩だった。


加賀先輩が私をサッカー部に勧誘しているところに、同じサッカー部の但馬が通りかかり、


放課後、勝負の約束をする事になる。

放課後になり、私は鞄を持って自分の席を立ち、下駄箱で上穿きから下穿きに履き替え


いざ、グラウンドに!



行かずに校門のほうに向かう。


だって私のやる気は、最下層まで落ちていたので・・・。

朝燃えていても、そりゃあ~、お昼ごはん食べたら落ち着いて、

さらにそっから時間立てば、燃え尽きちゃうでしょ。


「晴美ちゃん~。」

「!?」


私は声をかけられ、但馬だと思って振り向くと飛鳥が走ってきた。


良かったぁ~。

まあアイツだったら、私の事を晴海ちゃんと呼ばないだろうけど。


「一緒に帰ろう。」

「うん♪」


私は飛鳥と共に校門に向かう。


「ちょっと待ちなさい!!」


私の前に一人の女子が現れる。

身長は私より少し大きいくらい・・・たぶん150cmくらいかな。

ポリーテールで長い髪をくくって、私と同じ制服を着ている。(当たり前か。)

目は尖っていて、その目つきで私を睨んでいた。


「な、なにぃ?」

「あなた、敦と今から勝負するのでしょ!」

「はい?」

「そうなの、晴美ちゃん?」


・・・ち、こいつ一体何者だ。


「そ、そんなの貴方には関係ないでしょ。というか私も関係ないし。」

「おったあああああああああああああああああ!!」

「げぇ!?」


私がこの女子と言い合ってる間に、どうやら私の事を捜していた但馬に見つかる。

物凄い勢いと形相で私の元に走ってくる。


「凶暴猿!!遅いと思ったら帰ろうとしてたなぁ!!」

「ちぃ。こいつさえ、邪魔しなければ。」


私は邪魔をしたこの女子を睨みつける。向こうも両手を組みながら私を睨んでいた。


「っと、由比。お前、こんなとこで何してんだよ。」

「敦がこいつと勝負するという噂を聞いて、グラウンドに向かう途中で、こいつが帰っているのが見えたんで、問い詰めてたのよ。」


やはり知り合いだったか。


「晴美ちゃん・・・うるうる。」


飛鳥は私が2人から睨まれているので、涙目で状況を見ている。


「まあ、取り合えず加賀先輩も待ってるから、こっちに来いよ。」

「あっ。」


そういうと私は但馬に左手を無理やり引っ張られる。

ちょ、ちょっと。


その時、由比と呼ばれていた女の視線がよりきついものになったような気がした。



そして、グラウンドに着くと、そこには加賀先輩と他のサッカー部員とその他大勢の女子達がいた。


「待ってたよ、三重さん。」

「ぶーぶー。」


「こいつ、あんなにタンカ切ってたのに帰ろうとしてたんですよ、先輩。どう思います?」

「アハハハハ、三重さんらしいね。」


ち、私らしいって、私と面会するの3回目のくせに、何知ったかぶってるのよ。

飛鳥も由比と呼ばれた女も、他の女子達と同様にフェンスの後ろからこっちを見ていた。

他の男子部員は、アイツが凶暴猿か~、ちいちゃいねぇ~とか声がチラホラ聞こえる。


「晴美ちゃん、それじゃあ着替えて・・・。」

「このままで十分よ。」

「え、、でも・・それじゃあこの前みたいに・・・見えちゃうよ。」

「私は前の私とは違うわ。」


そういうと私はグラウンドにあったサッカーボールに右足を乗せ、但馬に向かって右手を指差す。


「さあ、どっからでもかかってらっしゃい!」

「お前ぇ、痛い目を見るぜ。」


そういうと但馬は、私にゆっくりと近寄ってくる。

私も右足のボールを引き寄せ、軽く右足の上に乗せ、足の甲でトラップをする。


「ほぉ~。中々の安定性。」


加賀先輩が私のトラップを見て、褒めていた。


但馬はある程度の距離まで来ると、フェイントを混ぜながら少しずつ迫ってきた。

私は軽いステップで、ボールを取られないように、但馬の足がギリギリ届かないところにボールをキープする。


「こ、この野郎。」

「ふふ~ん♪そんな動きで・・・」


そんなことを言ってる間に、但馬は私がコントロールしているボールに軽く触れ、弾く。

私は慌ててそのボールを追おうとするが、その前に但馬が入り込もうとする。


力で押され負けそうになる。

さ、さすが男子というところかぁ。


「もらったぁ!」


但馬がボールを掴もうと足を伸ばす。


「まだよ!」


私はスライディングをして、低空周り蹴りのようにして、但馬より先にボールをキープする。


「!?こ、これはこれは。」

「凄いよー三重さん。」

「晴美ちゃん~かっこいい!!」


「敦かっこ悪いぞー。」



「く、糞ー!!そろそろ本気で行くからなぁ!!」

「あっ・・・」


但馬が少し強く当たってきて、軽い私はバランスを崩し、ボールの上に倒れていく。


「あぶねー!」


私を覆うように抱きしめながら、但馬は腕から地面に倒れこむ。


私は但馬というクッションでノーダメージだったんだけど・・・。


「敦!!」

「きゃあああ~敦くーん!!」


但馬は、右手を切ったみたいで大量の血が流れていた。


「すまねえな。強くあたりすぎたみたいだ。」

「・・・・。

 ごめん。私のせいで。」


「これの事か?気にするな。これは俺がお前を押した事が原因なだけだ。」


「そ、そろそろ離してほしいんだけど・・・。」


私は但馬の心臓の音を聞きながら、そっと呟く。

すまねえと言って、但馬は私を解放する。



「さあ、こっから二回戦といくか。」

「但馬、保健室にいけー。」


但馬は私に二回戦を勧めてきたが、加賀先輩が中止を宣言し、但馬は由比と呼ばれていた女の肩を借りて

保健室に向かっていった。


私はその光景を後ろから無言で眺めていた。





今日も寒いですねぇ・・・。


布団が恋しくて恋しくてw

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