1:晴海ー1
4月に入り、小学生から中学生になった証拠のセーラー服を着用する。
3年間着用する事を前提にしていた為、少し大きめの制服を買っており、ブカブカである。
私、三重晴海は、本日から新たな学校、新たな友達を作る為、気を高らかに家を出る。
川沿いの狭い道に桜の木達が満開に咲き、私を歓迎するかのようにピンクに染まっている。
私は桜に目をやりながら、この先にある中学校を目指す。
私の他にも同じ新しいセーラー服を見につけた女子学生や、自転車を漕いでいる男子学生、ジョギングをしているおじいちゃんなど、さまざまな人達とすれ違う。
川に目をやると、桜の花びらが流れて、魚達の影も追える。
朝日が川を綺麗に光り輝かせる。
「がんばるぞー!」
私は小学生の頃、身長が低く(140cm前半)、いつも背の順番では一番前で腰に手を当てていた。
中学になったら急成長して、みんなをびっくりさせるのだー。
「おはよう~、晴海ちゃん。」
「あ、飛鳥おはようー。」
私の後ろから、声をかけてきたのは、相川飛鳥。
同じ学年で、私と家が近く、小学生1年の頃からの友達。
私的には親友と思っている。
飛鳥は、身長が160cmもあり、お胸も大きい・・・。
わ、私もすぐに発達するんだからね。
後、身長の割にはちょっと内気な子。
小学校の頃は、いつも私の後ろに隠れていて(隠れてないけど)、おどおどしていたと思う。
小学校の頃は『でこぼこコンビ』と言われていたw
飛鳥は、私と並んで笑顔を向けてきた。
私の目線には、飛鳥のお胸があり、少し見上げないと顔が拝見できない。
「大きい・・・。」
「は、晴美ちゃん~、ど、何処見てるのよ。」
飛鳥は、慌てたように胸を両手で隠す。
「胸もそうだけど・・・身長があるっていいなぁ~。セーラー服も一段と綺麗に見えるんだもん。」
「そ、そうかなぁ~。晴海ちゃんにそう言われると嬉しいな。
で、でも、は、晴美ちゃんは小さくて可愛いよ。あっ、小さいんじゃなくて・・・。」
飛鳥は、小さいという私のNGワードに触れてしまい、慌てて取り繕うとするが言葉がでてこない。
小学校の頃の私は、反感してたかもしれないけど。
今の私は中学に入ったお姉さんですから。
お、大人のように対応を・・・。
「き、気にしてないよ。」
「晴海ちゃん、顔が怖いよぉ~。」
どうも、私は口元をピクピクしながら笑顔を返してしまっていたみたいで、飛鳥に怖がられる。
「よぉ!でこぼこコンビ!」
「「!?」」
私達二人は、自転車をゆっくりこいで来た一人の男子中学生に抜かされながら声をかけられる。
「祐。」
「祐ちゃん。」
「あははははは、馬子にも衣装って言うかあれだなぁ~。」
「前。」
「はい?
あ・・・・やべえええええ。」
早川祐は、私の隣に住んでおり、幼馴染でもある。
でこぼこコンビと名づけたのも、この祐である。
私達二人の方に視線を向けていた為、祐は桜の木に正面から自転車をぶつけていた。
ばかぁ・・・。
「いててて、お前、もっと早く教えてくれても良かっただろぉ。」
「自転車でわき見してるお前が悪い。」
尻餅を着きながら頭を撫でている祐を見ないで言葉だけ返し、そのまま歩き出す。
「ねえ、晴海ちゃん。祐ちゃん、痛がってたよ。」
「そんなに心配なら、飛鳥が手を貸してあげたら。」
「う~ん。」
「ラッキースケベ狙われるかもよ。」
「・・・やめとく。」
私は少し意地悪に言うと、飛鳥は顔を引きつりながら、助けるのをやめたみたいだ。
飛鳥は少し男が苦手みたいな所もある。
「おい、お前等ー。幼馴染が倒れてるんだぞ~。」
「はいはい。もう少し大人になったら相手してあげるから。」
「あー。自転車の前輪ゆがんでるー!!」
「じゃあ、先学校いってるから。」
「つ、つめてー。」
それから十分くらい進んだところで、ついに中学校の正門に辿り着く。
私の心はすでに高ぶっており、落ち着かせる為に深呼吸する。
「よし、行く・」
「あっ、悪い。」
私は、左手を挙げて、中学校の敷地内に入ろうとした時、後ろから押され、そのまま顔から敷地内のグラウンドの土に顔から突っ込む。
「は、晴海ちゃん・・・パンツ。」
「くまさんだなぁ。」
「!?」
私は、お尻を挙げた状態で土とkissしたみたいで、パンツが丸見えの状態に・・・。
そして・・・私を突き飛ばした男を、私は睨みつける。
「ごめんごめん。そんなとこに人がいたなんて気づかなくってさ。」
「そんなのいいわけになるかぁ!!」
「ふごぉっ!」
私はスカートを抑えながら立ち上がり、誤ってきた背の高い(180cmくらい)男子学生の大事なところを蹴り飛ばす。
「は、晴美ちゃん・・・。」
「いこー。」
プンプンと蟹股になりながら、先に進む私。
遅れながらも後ろをチラチラと振り返る飛鳥。
股間を押さえながらうずくまる男子学生。
それが彼と関わる事になるなんて、その当時の私にはわかるわけもなく・・・。