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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第1章 始まり
3/83

ここから編集中まだ読めません

 目を覚ましたら俺は布団の上に寝かされていた。


 服装はボロボロになった制服ではなく、少し変わった服に変わっている。

 民族衣装というものだろうか。


「なんでこんなとこにいるんだ?」


 今、俺のいる場所は洞窟中の中ではない。

 誰かの家の中のようだ。

 洞窟で倒れていた俺を誰かが見つけてここまで運んできてくれたのだろう。

 身体を起こすと、布団の横には、神殿で見つけた剣が置いてあった。


「これ、俺のじゃないんだけど……まぁ、いっか」


 俺は立ち上がった。

 まだ少し身体が重く、ふらふらするが、どうしてか身体中の痛みや傷はなくなっている。

 誰かの家のようだがこの部屋には、俺以外誰もいないようだ。

 取り敢えず俺は家の住人を探すことにした。


 家の中を歩いていると、キッチンらしきところで立っている金髪の女性を見つけた。


(がっ!? 外国の人!?)


 正直に言うが俺は英語が苦手だ。 全くわからないと言っていいだろう。

 俺の英語力で会話ができるだろうか?

 でも、多分俺はこの人に助けてもらったのだ。

 それなら、ちゃんとお礼を言わなければならない。

 俺は勇気を振り絞って声をかけることを決意した。


「こっ、こんにちは?」


 俺は金髪の女性に近づき声をかける。

 緊張していたからか、日本語で、しかも何故か疑問形で挨拶をしてしまった。


「なっ! ナイス……」


 俺が英語で言い直そうとした時、金髪の女性がこちらを振りかえる。

 その瞬間、俺の時は止まった。

 目の前の女性と言うより、俺と同い年くらいの少女の可愛さに見惚れて。


「まだ完全に魔力が回復してないんだから、動いちゃダメ!」


 少女はそう言うと、俺をくるっと回転させ、背中を押す。


(にっ……日本語喋れるんだ!? ……あと、魔力ってなんだよ……)


 もしかしたらこの少女は、中二病ってやつなのかもしれない。



 結局、俺は無理やり元いた部屋に戻され、布団に寝かされた。


「魔法で傷は完全に治せても、魔力は戻らないんだよ。知ってるでしょそれくらい? ちょっとまっててね。今、飲みものを持ってくるから」


 と、言って少女は部屋から出て行ってしまった。



 漫画やアニメを読んだり、見ていたりしたから、魔法や魔力のイメージはできるが、詳しいことは俺にはわからない。

 でも、あの子は言っていた。傷は完全に治せても魔力は戻らないと……

 怪我が完全に治っているのは事実だ。

 上半身を起こし服の中を見るが、傷跡すら残っていない。


(魔法か……)


 教室から洞窟に移動したのは魔法の力だったのかもしれない。

 それに、俺の身体が輝いたりしたんだ。

 信じて見る価値はある。

 金髪の少女は本当に魔法使いだと。

 そんなことを考えていると少女が戻って来た。


「はいこれお水。一気に飲まずにゆっくり飲んでね」


 俺は少女から水を受け取り、一口飲んだ。

 冷たい水が俺ののどをうるおす。


「そう言えば……貴方のお名前は?」


 少女は首をかしげて、俺の名前を聞いてきた。


「ソラ。俺の名前は、ソラ・カナタって言うんだ」


 苗字をに後に言ってみたが、これであっているんだろうかと思いながら、俺は少女を見る。


「ソラ……いい名前だね」


 少女は俺の名前を呟き笑った。

 どうやら、苗字を後に言ったのはあっていたようだ。


「君の名前は?」

「私? 私はリーラ・レイシャン。リラって呼んで」


(リラ……よし覚えた)


 リラの名前は一生忘れることはないだろう。


「俺を助けてくれたのはリラなんだよな?」

「私は怪我をして倒れていた、ソラを連れだしただけだよ。傷を治したのは私じゃないし」

「ありがとう。俺を洞窟の中から連れてきてくれて。リラのおかげで助かった」


 あのまま洞窟で気を失っている間に、あの化け物がもう一体でも現れたりしたら、俺は死んでいただろう。


「本当にありがとう」


 何度お礼を言っても感謝しきれない。


「でも、ビックリしたよ! オズタートの奥に行ってみれば、聖剣の横に倒れているソラと死んでいるエートスがいたんだもん」


 ちょっと待て、いきなりファンタジー要素出てきすぎだろ!?


「えっと……俺が倒れてた洞窟がオズタートで、この剣が聖剣。そしてあの化け物がエートスってことでいいのか?」

「そうだよ。エートスは化け物じゃなくて魔物だけどね。そしてここは、私たちエルフの住むロナテーナという小さな村なんだ」


 この剣は聖剣らしい。聖剣と言えば、物語でいう勇者や英雄などが使う剣だ。

 そんな大層なものを持ってきても良かったのだろうか……

 しかも、どうやらリラはエルフらしい。

 そう言えば長いつけ耳をつけている。


「あっ〜! その顔、絶対私がエルフだって信じてないでしょ!」


 リラがプクッと頬を膨らませ俺を指差す。


「そりゃぁ、ここはエルフの国じゃないけど、エルフだって他の国で暮らすんだよ。まぁ、おばば様は私たちくらいって言ってたけどって……あっ! おばば様に報告しなくちゃ!」


 リラは急いでどこかに走って行ってしまった。


    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 10分も掛からずにリラは戻ってきた。


「ソラ! おばば様がよんでるの。あと聖剣も持って私についてきてね」


 俺は起き上がり剣を持ってリラの後ろをついて行く。

 家を出るとそこには、リラと同じような服を着た人たちがたくさんいた。

 みんな、リラのように耳が長い。


(あれ? 本当にみんなエルフなのか? そしてここはエルフの村?)


 村の周りは緑豊かな森に囲まれている。まさに、俺の想像どうりのエルフの里なのだ。


(ここだけ別世界って感じだな)


 地球の中にこんな隠れた場所が存在するとは思わなかった。

 それに、魔法や魔物、世界はまだ未発見なことでいっぱいだ。


「どうしたのソラ? 考えごと?」

「別になんでもないよ。ただ、俺たち物凄い注目されてるなって思って……」


 リラの家を出てからと言うもの、すれ違う人たちからすごい見られている。


「外から来る人は珍しいからね。それにソラは聖剣も持ってるし、注目されるのはあたりまえだよ」


 珍しいってことは、俺以外にもここにきた人がいるってことだ。

 物語のなかのエルフや魔物などはここやエルフの国に行ったことがある人が、そんな存在が地球にもいるってことを広めるために作ったものかもしれない。


「ソラ、ここがおばば様の家だよ」


 目の前にある家は、村の中心部にあり他の家より一回り大きかった。

 俺たちは家の中に入り、奥に進む。

 そこには、20代ぐらいの若い女性が地べたに座っていた。


「おばば様! ソラを連れてきました」


(えっ! ……この人が? おばば様!?)


 俺はおばば様と呼ばれているのだから、もっと歳をとっている人かと想像していたが違ったようだ。


「ソラ、私の隣に座って」


 俺は少し戸惑いながらリラの隣に座った。


「わしが、ロナテーナの村長をしておる、マーシ・サッシエじゃ。お主がリーラの言う、アルダートを持つものか?」


 アルダートと言うのは、この剣の名前なのだろうか……

 俺が持っている剣を見ながら言っているから、この剣のことなんだろう。


「そうです。持つって言っても、この剣は俺のじゃないですけど……」


 この剣は勝手に持ってきてしまったものだ。俺のものではない。


「それでも、お主はこの聖剣の封印を解き、力を使えたのじゃろう? ここにいても分かるくらい凄い魔力じゃったからなお主……名はなんと言う」

「俺はソラ・カナタです」


 俺が名前を言った瞬間、マーシさんが何かを確信したように顔になった。


「お主はこの世界の者ではないな」

「えっ!!?」


 驚いた声を出したのはリラだ。

 俺はと言うと、声を出せないくらいに驚いている。


(この世界ってなんだよ!)


「まだ、気づいておらぬのか? この世界はお主が住んでいた世界ではない。いわゆる異世界ってやつじゃ」

「異世界ですか?」


 ここは地球じゃない? ここが異世界?

 そんなことがあるのか!?

 俺にはマーシさんが嘘を言っているようには思えないが、異世界なんて漫画やアニメのだけの話だ。

 エルフや魔物がいて、魔法があったとしても、異世界なんて簡単に信じることはできない。


「ここはマフカースという世界じゃ。様々な種族や魔が存在し、暮らしておる。ついでに言うとお主の傷を治したのはわしじゃ」


 マーシさんは、何処か懐かしいような顔をして……


「昔の話じゃが、約700年前にお主と似たような雰囲気をもつ黒髪の男は、地球と言うところから来たと言っておったがお主は違うのか?」


(700年前って……マーシさんって一体……何歳なんだ? ってそれより)


「確かに俺は地球の日本に住んでましたけど……本当にここは地球じゃないんですか?」


 マーシさんは俺の顔を見る。


「わしは昔、ツバサ・カナタと一緒に旅をし、魔王を倒したことがある」


 ツバサ・カナタ。その名前に俺は聞き覚えがあった。

 漢字に直すと、奏多(かなた) (つばさ)

 それは俺の祖父の名前だった。

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