第二話 夢
『ここはどこだよ?』
辺りは暗く何も見えない。
『誰かっ・・誰かいないのかー。』
俺の声が響く
だけど返事は無かった。
(輝、彩香、美咲、みんなどこに居るんだ)
そういえば!
俺は制服のポケットに手を入れあるものを取り出した。
携帯電話だ。
電源をつけて機能のライトをつける。
あまり明るくはならなかった。
(無いよりはましか)
一応、電波が来ているか確認したが、案の定圏外だった。
外に出れば誰かに会えると思い
俺は、出口を探すことにした。
道は結構広かった。
暗闇の中俺は、携帯電話のライトを頼りに進む。
洞窟の中は、静かで俺の足音しか聞こえない。
(みんな何処に行ったんだろう)
俺はあの時を思い出す。
突然教室が光に包まれ、みんなが消えた。
考えてもこの現象は何がなんだか全然わからなかった。
何十分歩いただろうか
未だに出口は見当たらない。
ドス! ドス!ドス!
何か後ろゆっくりと近づいてくる音がした。
俺は、後ろを振り返る。
そこには、俺より何十倍も大きい化け物がいた。
俺は、慌ててライトを消してまっすぐ走り出す。
(何だよあの化け物は)
化け物は、俺の後ろをゆっくりと追いかけてくる。遊ばれているのだ。
逃げていると、二つの分かれ道があった。
何故か俺は、迷わずに左の道を選んで進んだ。
道を進んでいくと一筋の光が見えた。
(出口か?)
俺は、光がある方へ全力で走る。
暗闇が終わり、視界が明るくなる。
しかしそこは出口ではなく、上から光が差し込む光だった。
そこは通って来た道より大きく広い空間だった。
『何だよ? これ!』
俺の目の前には、ギリシャにあるような、
白い神殿が建っていた。
(何でこんなところに神殿が?)
ここには何かある。
そう直感で感じた俺は、恐る恐る神殿の中に
入った。
そして俺は、あるものを見つけた。
それは、台座に刺さった一本の黄金の剣だった。
ドン!ドン!ドン!
化け物が勢いよく俺のいる神殿に入ってきた。
さっきは暗くてよく見えなかったが、
今は明るいので化け物の姿がハッキリと見える。
黒く尖った毛を持ち、鋭い爪と牙を持つ生き物。まさに化け物だ。
四足歩行で俺の方にドシドシ近づいてくる。
このままだと化け物に殺され死んでしまう
そう確信していた俺は、
台座に刺さっていた剣を掴み引き抜いた。
やってやる!
化け物に向けて走り、
思いっきり剣を振り下ろすが、
途中で化け物が動き前足を使って、
俺を突き飛ばした。
ドン
俺は思いっきり飛ばされ、壁にぶつかった。
うっ
全身が痛い。
それでも俺は立ちがり落ちた剣を拾う。
剣を構え力強く握った。
熱いものが全身を巡る。
それを、俺の持っていた剣に吸い取られている気がした。
そして、剣が輝き始める。
『えっっ!!』
その輝くは腕から全身に回る。
いつの間にか俺自身が輝いていた。
(力が湧いてくる。体が熱い)
全身の痛みがなくなり、体が軽くなった。
俺は再び、化け物に向かって走りだす。
化け物の攻撃を上手くかわしながら、
少しずつダメージを与えていく。
化け物の正面に戻った俺は、
『これで終わりだー!!』
思いっきり剣を振りかざす。
シュン
化け物は真っ二つになった。
ハァッハァッ
俺は息が上がっていた。
全身の輝きがだんだんと薄くなっていく。
そして、全身の輝が消えた。
急に力が抜けていく、胸が苦しい
(何だこの感覚気持ち悪い)
『あれっ』
意識が遠のく。
バタン
俺は倒れそのまま気を失った。
俺が気を失っても剣は輝いていた。