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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第1章 始まり
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第一話 始まり


キーンコーンカーンコーン


四限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。


『はい、それじゃー今日はここまで』


先生がそう告げると、一人の女性が、


『起立 気を付け 礼』


『『『『ありがとうございました』』』』


『着席』


授業が終わり昼休みに入った。

売店に行く人と食堂で食べる人は、

走って教室から出る。


俺は、弁当なので教室に残る。

机の上を片付け食べる準備をしていると、

三人の男女が集まった。


『そら、机をくっ付けるから荷物をどけてくれ』


そう言って机を動かし始めた。

こいつは、

多里 輝 (たざと あきら)

クラスのリーダー的存在で、頼りになる俺のイケメン親友だ。

輝は机を動かし終えると、俺の隣に座った。


俺の正面に座ったのは、クラスの委員長で、

幼稚園からの幼馴染 、

桜坂 彩香 (さくらざか あやか)

美人で明るく、誰にでも優しい男女問わずに好かれている人気者だ。


彩香の隣に座った少女が、

堀井 美咲 (ほりい みさき)

彩香の親友で、静かでいつも本を読んでいる、成績は学年一位の天才美少女だ。



そして俺は、

奏多 そら (かなた そら)

抽象的な顔立ちで、これと言って特徴のない。いたって普通の高校一年生だ。


『相変わらず、すごいなお前の料理の腕は、

プロ顔負けじゃないか?』


輝は俺の弁当を絶賛する。


『料理・洗濯・掃除が出来るもんね〜

絶対いいお嫁さんになるよそらは』


笑いながら彩香は言った。


うんうん


と、美咲が頷く。


『誰がお嫁さんだ!』


両親が共働きなので家事はいつも、

俺が一人でやっている。

なので、大抵のことは出来るようになった。

決して花嫁修業をしている訳ではない。


『このクラスは人が多すぎないか?』


俺は周りを見渡す。


現在俺たちのクラスには、三十人くらいいる。このクラスは、昼休みによく別のクラスの人が来ているので人口密度は高く、

騒がしい。



『良いじゃん別に、そんなことより早く飯食べようぜ!』


俺たちは、弁当を食べ始めた。



彩香が俺の弁当箱から玉子焼きを取って食べた。


『美味しい〜』



『あっっ!! 俺渾身の玉子焼きが』



俺は彩香を軽く睨む。


『良いじゃん別に一個くらい。ほら私が作ったウィンナーあげるから』


彩香がウィンナーを差し出す。


あれ?

これって恋人同士が良くする、

あのシチュエーションじゃぁ


『ほら早く食べてよ! 私だって少し恥ずかしいんだから』


彩香は少し顔が赤かった。


パク


俺は彩香の差し出したウィンナーを食べた。


『どぉ? おいしい?』


俺はそれどころではなかった。

よく考えたら今、彩香と間接キスをしたのだ。


『おっ・・美味しかったよ』


彩香は、俺が言葉につまずいたのに疑問を持ったのか、左手を頬に被せて考え始めた。


『あっっっ!!』


気づいたのか、彩香の顔が、

さっきよりも赤くなった。耳まで真っ赤だ。


気がつくと周りの視線が全て集まっていた。


美咲だけがつまらなさそうに、そっぽを向いていた。


俺は何か言って、誤魔化そうとした時

それは起こった。




急に教室内が光に包まれる。


次の瞬間、一人の生徒が消えた。


女子の悲鳴が上がる。そしてまた、


一人一人と生徒がその場から消え始める。


教室内はパニック状態になっていた。


『そら! 何だよこれは!?』


『俺にも何が起こっているのか全然わからない!』


いつの間にか、彩香と美咲が俺の袖を掴んでいた。


『大丈夫か? 二人とも!』


『『輝!!』』


彩香と美咲が声を上げる


振り向くと輝が消えていた。


ほとんどの生徒が消えて、

残りは俺と彩香、美咲だけになっていた。


『何よ! 何なのよこれは!!』


彩香は泣いていて、美咲は震えている。

俺はそっと二人の頭に手を置いた。

そして美咲が消え、彩香も消えた。


あとは俺だけだった。


突然光が暗闇に変わった。

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