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愉快すぎる勇者御一行+α  作者: 冬野こたつ
2/2

勇者は可愛い

「えっと、初めまして。リイって言います」


「あっ、ノアです」


「セイです」


「ハナで~す」


「・・・ユウ、です」




えっと、皆さん初めまして。先ほども言いましたがリイと申します。

今の状況はですね。女の子四人に囲まれております。


どうしてこうなったのかと言うと、



「あの、どちら様ですか?」


『え?』



全く知らない女の子たちは私の言葉を聞くなり固まる。あっ、私のことを忘れていた感じですか。

そうですか。まあ、何もせずに突っ立っていた私も悪いのだろうが。



「そういえばまだ一言も話してなかったね」



先ほどまで『ノア』と呼ばれていた子が申し訳なさそうに笑う。

ノアと言う子の職業は|騎士≪ナイト≫らしく、立派な鎧を着ていた。

少し水色がかった鎧に金色の髪が良く似合う。どこぞの貴族のような容姿だが、

髪を一つにまとめているせいか、どことなく幼い印象を受けた。



「とりあえずゆっくり自己紹介でもしましょうか」



そういったのはセイと言うらしい少女だった。

先ほどの戦闘を見る限り職業は|僧侶≪ヒーラー≫といったところだろうか。

ゆったりとした服に横に流した髪も相まって、大人っぽい雰囲気を出しているが、

見たところあまり年は変わらないだろう。少し年上かな?



「あ、あっちに開けた場所があるから行かない?」



ハナという子の提案で私たちは開けた場所へと移動する。

みんながそれぞれの場所に落ち着いたところで、ハナという子が私のほうを見て、

「あなたからどうぞ」と微笑んだ。



「えっと、初めまして。リイって言います」


「あっ、ノアです」


「セイです」


「ハナで~す」


「ユウ、です・・・」




で、今に至ると。要するに女の子四人に囲まれて、自己紹介をしているのです。

特に紹介すべきことが見つからない私は、当然の様に黙りこくってしまう。

とりあえずお礼だけでも言わないと・・・



「あの、本当にありがとうございます。あんなモンスター私には到底・・・」


「全然大丈夫、気にしないで」



ノアが優しく声をかけてくれるので、感謝と申し訳ない気持ちが一層大きくなる。

実はモンスターに襲われていたのだ。私だってそこそこの腕だと自負していたのだが、

不意を突かれた上に、普段めったに出てこない強暴なモンスターが群れとして出て来られては、

さすがに太刀打ちが出来なかった。四人に助けられなければ、私はここに存在さえできなかった

可能性だってある。本当に感謝してもしきれない、命の恩人なのだ。

(元から私は戦闘向きじゃないのにっ)

そんなことを内心叫んでみても、どうにかなるわけではない。

でも、旅に出てそうそうこんな感じでは、先が追いやられるのだ。

一人でこれからのことを悶々と考えていると、セイが不思議そうに声を上げる。



「でもどうしてこんな危険な場所に?見たところ戦闘向きの職業じゃないし・・・旅人にしても護衛なしだ

 なんて無謀過ぎない?」


「うう、ごもっともです」



セイの言い返しようがない正論に私は言葉を詰まらせる。

その様子を見て「よかったら理由、聞かせてくれない?」と優しげにほほ笑む

セイを見ると、教えてしまってもいいか、と思ってしまう。

この子達は信頼できそうだ。理由なんて考えつかないけれど。

いうなれば女の勘と言う奴だろうか。もともと勘は当たる方なのだ。

別に、言ってもいいよねっ。もしかしたらまた助けてくれるかもしれないし。

覚悟を決めた私は旅に出た理由、笑われても仕方がない理由を話し始めた。



「勇者を探しているんです」



言い終えると沈黙が訪れる。予想通りだ。勇者なんて子どもっぽいったらありゃしない。

私でさえ半信半疑なのに・・・もちろん嘘は言っていない。これは紛れもない事実だ。

かといって勇者の存在はおとぎ話のようなもの。そんな話をもうすぐ成人になるような

人がいったら痛い目で見られること間違いなし。

私は恐る恐る四人の反応を確かめる。



「・・・・・・・・・・・・」



四人は少し下を向いて先ほどの私の様に黙りこくっていた。

痛い目では見られてはいないが、これはこれで傷つくものだ。

やっぱり言わなければよかった・・・

いつまでも黙る四人に耐えかねた私は、これまた恐る恐る口を開く。



「あ、あのぉ」



不意に空気が変わるのを感じた。



「ねえ、勇者を探してるって本当?」



ハナがにこやかな笑みで問いかける。その笑顔はなぜか私の体を緊張させるものだった。



「も、もちろんです」



ハナの目が笑っていないように感じられて、少し声が震える。

ハナはそのまま何かを探るように私の目を見つめると、目を閉じ、もう一度、

今度は飛び切りの笑顔でこういった。



「ようこそ!私たちがあなたの捜していた人です!」


「・・・・え、えええ!?」



ある日、可愛い勇者たちに出会いました。









読み返してみると一話と書き方が変わってる気がする。


気のせいでしょうか?

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