プロローグ
拙い作品ですが、読んで頂ければ幸いですm(__)m
──葉月拓也はニートである。
俺の自己紹介なんざこの程度で充分だ。
え? なんか某ハートフルボッコアニメのタイトルみたいな自己紹介? だからどうした。
自己紹介なんぞ人それぞれ。長々と自分のあらましや身の回りの事情まで話すやつもいれば、名前と趣味だけというシンプル極まりないやつもいる。だから俺だって文面にして約1行程度で自己紹介しても構わないだろ? これでいいのだ。
というか、この程度にしないといけないくらいの状況に俺は直面している。
「オラァ!! 金を出せ金を!!」
──そう、コンビニ強盗。
いつも通り普通にゲームをしていたらなんかポテチ食いたくなって、渋々財布片手に近くのコンビニ行ってポテチ(うすしお)を買おうとレジに並んだら、突然サングラスにマスクを着けた怪しい男がご来店。ナイフ片手に店員に拳銃突き付けて今に至る。
店内は半ばパニック状態に陥り、周りの客はただただ慌てふためいて店の奥に逃げ込む。誰も脅されている店員を助けようとしない。
胸元に拳銃を突き付けられた女性店員は涙目になりながらレジを開けようとするが、恐怖で手が震えるせいなのか、上手く開かない。
それによって強盗は苛立ち始め、いつキレて銃を乱射してもおかしくない。俗に言う一触即発の事態だ。
だが、そこでオタク脳の俺は思った。
──ここで強盗を諭して自首させたらかっこよくね?──と。
もしそれが出来たら、一躍近所の人気者じゃね?
警察に表彰されたりしちゃうんじゃね?
新聞にちょっとだけ載っちゃうんじゃね?
そしたら親に見直されて金の羽振りが良くなるんじゃね?
そうなったらハロワに行くこと無くニート生活続けられるんじゃね?
つまり──至上の生活を手に入れられるっ!!
連想ゲーム的にそんなアホのような大義名分を掲げた俺は、ポテチ(うすしお)片手に強盗に歩み寄る。相手はたかが強盗。恋愛ゲーで鍛え上げた俺の焼き付け刃の弁舌でなら説得出来るだろう。
まずは相手を落ち着かせなければ。
「まぁまぁ、そこの強盗さん。ここは平和的にいきましょうや。上手いポテチでも食ってリラックスし」
「るせぇぞ糞が!!」
瞬間、強盗の拳銃の銃口がこちらを向いたかと思うと、一発の銃声。
──あ、俺馬鹿だったわ♪
そこで自分のしようとした事の愚かさを実感し──俺は死んだ。
▼ ▽ ▼ ▽ ▼ ▽
△ ▲ △ ▲ △ ▲
「って死ねるかぁぁぁぁぁぁっ!!」
倒れかかったところで、俺は強引に意識を覚醒させる。
俺はまだ死ねない。家にはまだ未プレイのエロゲーや未読のラノベが山のように積んであるし、ポケ○ンだって全然やりこんでない。アニメだって円盤買ってないやつが無数にあるし、見終わってない今期のアニメだってまだある。こんな未練たらたらで死ねるか!!
もうこの際、なんで拳銃で撃たれて死んでないかは放っておいて、強盗のいる方に向き直る。
「お前も、んないきなり銃を撃つな!! 俺じゃなきゃ死んで────た?」
その時、俺は床に突いたはずの手の感触に違和感を覚えた。
それは、決してコンビニの床ではなく──土。
そんな馬鹿なっ、と上を見上げると、広がるのはコンビニの天井ではなく、見慣れない青い空。
視線を落として周辺から遠くに向かって景色を眺めると、そこは決してコンビニの店内ではなく、どこまでも続く緑の草原。
それらはまるで、誰もが思い描くような、ファンタジーの世界。
そこで、俺は気付いた。
俺は異世界トリップをしてしまったのだと。
ちょっと頬をつねってみる。
ぎゅう。
──痛い。
どうやら夢では無さそうだ。
「え? これ…………マジ?」
──一体何が起こった。
──一体ここは何処なのか。
──撃たれたはずなのに、何故傷が無い?
──何故片手にポテチ(うすしお)を持っている!?
疑問が後から後から涌き出て頭がパンクしそうだ。
特に最後のポテチは由々しき問題だ。
何故かというと、答えは簡単。
──これしか持ち物がないっ!!
ちょっと行って帰ってくるだけだったのでスマホを持って来ておらず、他の物等もっての他だ。
つまりはこれから先、ポテチ(うすしお)だけで生き延びねばならない、ということ。はっきり言うが、ムリゲーにも程がある。
簡単に言うと所持アイテムが体力回復アイテム1個で所持金なし、他の人間に遭遇する確率や補給場所である町の場所は不確定な上にフロアの広さは限りなく広い──というゲームをやらされる感じだ。
もう一度言う、ムリゲーにも程がある。
訳が分からないよ。
「あぁ……神様がいるんなら本気で呪うぞおい……。どうすりゃいいんだよ……おい……」
一頻りブツブツと愚痴ると、右手にポテチの袋を握ったまま、俺は一旦気絶した。
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