表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

詰みました。

村を出てから何日が過ぎただろう。

僕はまだ次の村や町にたどり着いていなかった。

まあ、仕方ないだろう。

新しく何種類かの魔物との戦いに苦戦して中々前に進めていなかった。

新しい魔物と出会ったら、まずは透視を使って魔物のステータス等を確認する。

盗撮では弱点の魔法属性が分からないので一回の戦闘で消費MPを少しでも少なくするために、まずは透視を使っているのだ。

最初は盗撮を使っていたのだが、弱点の属性を調べる為に何度か同じ魔物と一つの魔法を使って戦うより透視を使った方が早く安全だった。

しかし、1点だけ危険な事があった。MPが10を下回ると意識が飛びそうになる事だ。まだ5を下回る事は無かったが10を下回るだけで戦闘に集中出来なかった。


スライムと呼んでいた魔物はスライムボールという名前だった。スライム系の魔物は火の魔法に弱く水の魔法に強いらしい。

魔物は種族によって特性が色々あるみたいで、武器にの耐性を持っている魔物とも出会った。


しかし透視の方が安全なのはいいのだが、新しい魔物と連続で出会う事もあって、逃げるために来た道を逆走したりして、中々道を進む事が出来なかったし、透視を使った場合すぐには移動せずにMPを回復させるため休む事も多かった。


結果道を中々進む事が出来ていなかった。

本当ならLvが上がりスムーズに進める筈なのにLvが上がらないせいで新しい魔物と戦う時は透視を使い相手のステータスを一々確認する必要があった。

まあ、そのお陰で一つ分かった事がある。村から離れていくにつれてどんどん魔物のステータスが上がってきているのだ。


スライムボールのステータスは10台が多く、高いステータスで20台だった。でも一番新しく出会った魔物は40台が多く高い数値は70台まであった。

そろそろ厳しくなって来ていた。


日も落ちてきたので今日は休む事にした。

夜は進まない事にしていた。明かりが無いのもあるが夜になると強い魔物が出てきやすくなっていたからだ。

近くの木の枝を木の剣で切る。

スキルを使用したら枝ぐらいなら同じ素材で出来ている木の剣でも簡単に切ることが出来た。

スライムボールを木の剣で倒したら職業を取得できた。

解析者を消して、見習い剣士を取得した。

スキルの[縦斬り]を取得したので枝を切る事に使っている。

近接戦闘のスキルは目標を決めてスキル名を念じると体が自動で動いた。自分の体が勝手に動くのは少し気味が悪かったが何度も使っていると慣れてくる。

木の(ノコギリ)はとても使いやすかった。


枝を集めて道の端に置いてからファイアの魔法で火を付けた。

火起こしは初日の夜に燃やした。どれだけ使っても一回も火が付かなかった。

魔法のファイア、ウォーター、ウィンドはとても使い勝手が良かった。

ある程度強弱をコントロールすることが出来て、強弱によって消費するMPも増減してくれたからだ。


但し完全にコントロール出来る訳ではなく、スロットの目押しの様な感覚で多少イメージしている強さとはズレるみたいだった。

たまに、大きくズレが生じる事もあった。

また最大値も決まっているみたいで一気にMPをすべて使おうとしてもある一定値で止まってしまった。


汚れた服と下着を袋に入れていた服に着替えて汚れた服と下着はウォーターで洗ってファイアとウィンドを同時に使って乾かした。


スキルは同時に何個も同じスキルを使う事も出来た。

但し、余り増やすとコントロール出来なくて暴発する事もあった。


今のところ5つなら同時に使える。

これもステータスカードのお陰なのだろうか?


僕は乾かした服を袋に入れる。

袋から今日手に入れた肉を取り出して木の剣で先を尖らせた枝で肉を貫いて焚き火で焼く。


動物に近いタイプの魔物は稀にお金以外に肉をドロップしてくれた。1日に一回出てくればいい方だが。


非常に助かる。保存食も無くなってきていたので食料は大歓迎だった。

ただ袋に臭いが付かないか心配ではあった。

袋は中にいくつか仕切りがあり、服とは別のスペースに入れる事が出来るので臭いが付きにくかったがそれでもあまりいい気はしなかった。


(次の町に着いたら、新しく袋と財布用に少し小さい袋が欲しいかな?後は防具関係と新しい服と下着、それから水と食料、他は回復アイテムとかかな?)


袋から木貨を取り出して数える。

274枚あった現在の全財産だ。


焚き火から肉を取ってかぶりつく。そこそこいい肉みたいだ。口の中に肉汁が染み渡り、美味しく食べれた。

水筒から水を飲んで喉を潤す。

水筒を揺らすと半分位しか残っていなかった。


(後これだけか、ウォーターの水が飲めたら良かったんだけど、あれ、くそ不味くて飲めなかったんだよね、水浴びとかに使えるのはありがたいけど、明日位に町を見つけれたらいいな)


僕は袋を枕にして横になる。


(なんで僕は異世界に来てまでサバイバルしながら旅をしてるのかな?まあ、前の世界では絶対に、体験出来ないから面白くはあるけど)


そんな事を考えながら僕は夜空を見上げる。

星がとても綺麗だ。明かりが少ないせいなのか小さな星が見える、前の世界ではまず見ることの出来ない景色だ。


(道で寝るのはいいけど、大体魔物に襲われて起きるんだよな、何とかならないかな?他の人はどうやって旅をしてるのかな?)


そんな事を考えながら僕は意識を手放した。



ガブッ


「痛い!」


案の定、魔物に起こされた。まあ、魔物の攻撃で目を覚ますのは既に慣れた。ステータスカードのHPを確認する。

特に大ダメージを受けた訳ではないみたいだ。

目の前には仔犬みたいな魔物がいた。

ドッグマナーだった。そこまで強くない魔物だったので魔法でさっさと倒した。


空は既に明るくなっていて焚き火も消えていた。

焚き火の後片付けをしてから袋を持って歩き出す。


何度目かの戦闘を終えた。

そこでやっと、遠くに町らしき物が見えた。


(やっと次の町か、早く行って宿のベッドでゆっくりしたいな)


そんな事を思いながら僕は町に向かって歩きだした。



町に付くと僕に視線が集まってきた。

前の村でも感じた視線だが何故か酷くなっているように感じた。


取り敢えず宿を探す事にした。

大きな通りを歩いて行くと、いきなり後ろから手を取られて関節を極められ地面に押し倒された。


「え?何?痛い!」


僕は何一つ反応出来ずに地面に倒されていた。


「暴れるな、盗賊の手先め!」

「は?意味わかんないし!」

「黙れ!」


腕に痛みが走る。


「痛いって!」

「正直に言え!盗賊のアジトはどこだ!」

「だから知らないって!」


どうやら例のスキルのせいで僕は盗賊の一員みたいに思われたらしいが全くの誤解である。

暫く僕は組伏せられながら抗議したが聞いて貰えなかった。


「なんの騒ぎですか!」


そこへ、大きな女性の声が響いた。

僕の目の前に綺麗な服を着た金髪で丸いメガネをかけている、青い瞳のアメリカ人を思わせる女性が走ってきた。



「怪しい奴がいたので捕まえました!きっと盗賊の手先に違いありません!」

「だから違うって言ってるだろ!」

「もう逃げられないんだ!大人しく白状しろ!」

「来たばっかりなのに何を白状しろって言うんだよ!」

「カイラムそのまま抑えていてくださいね、すみませんあなたのお名前を聞いてもいいでしょうか?」

「カガミカズマだよ!」


また腕に痛みが走る。


「貴方は盗賊団と何か関わりあいがありますか?」

「ないよ!つか!痛いっての!逃げないから少し緩めろ!」

「うるさい!貴様の言うことなんて誰が聞くか!」

「カイラム!離しなさい!」

「え?」

「私のスキルでこの人は嘘を言っていない事が分かりました。だから離してあげなさい!」

「でも!」

「速く!」

「…わかりました」


僕はようやく解放された。

なんなんだよ!まったく!これスキルだけの影響なのか?


「申し訳ありませんでした」

「いえ、勘違いはしょうがありませんよ、それに僕にも責任が全くない訳ではありませんから」

「あの、もう少しだけお話を聞きたいので付いてきてくれませんか?」

「わかりました」

「カイラム、貴方は謝罪しなさい!」

「悪かったよ」


そこではじめて僕はカイラムを見た。

服は立派な物を着ていて、茶髪のイケメンで頭から小さめの犬耳が生えていた。モテるんだろうな~っていうのが第一印象だった。


「次から気をつけて貰えたらいいですから」

「ああ」


全く!このスキルはトラブルしか生み出さないな!

僕は女の人に付いていく。


女の人は3階建てだと思われる街の中でもかなり大きな建物に入っていく。

僕も建物に入ろうとすると警備員らしき人に声をかけられる


「おい!貴様!何の用だ!」

「私のお客様ですから、大丈夫ですよ」

「ハッ!失礼しました!」


女の人は警備員らしき人に答えてくれた。

どうせ僕が答えても信用されないだろうしな、と思いながら建物に入っていく。

3階の角の一室に入り、ドアを締める。

部屋の中にはソファーが2つ向かいあって並べられ、間に机が置いてある。


「どうぞお座りください」

「ありがとうございます」


僕はソファーに荷物を置いて、ゆっくりとソファーに座る。

柔らかくいいソファーだった。


「先程は失礼しました。」

「いえ、気にしないでください、前の村でも似たような事がありましたし」


前の村では剣を向けられたしね。


「そうでしたか、それでこの町にはどういった用事で?」

「旅をしているので立ち寄っただけですよ、まあお金が稼げればいいなとは思っていますが、迷惑をかけるようなら、必要な物を買ってから、すぐに出ていこうかなと考えていますが」

「カガミさんは盗賊団について何か知っている事はありませんか?」

「残念ながら知りませんね、さっきこの町に着いたばかりで事情が呑み込めないまま、あの騒ぎでしたから」

「そうでしたか、まだ自己紹介をしていませんでしたね、私の名はリース・カーマインです。まずは貴方に言わなければならない事があります」


すると彼女はメガネを外してこちらに頭を下げた。


「申し訳ありません」

「え?何が?」

「先程まで貴方に尋問のスキルをかけていました」

「尋問?」

「はい、嘘が混ざった言葉を見付けるスキルです」

「ああ、まだ疑われていたんですね」

「はい、しかしカガミさんの言葉に嘘を何一つ見付ける事は出来ませんでしたので、カガミさんは盗賊団と無関係という事がわかりました」


(尋問のスキルか、そういえばザイルも持っていたっけ、まあいろんな職業が有るんだから、そんなスキルもあっておかしくは無いよね。

まあそのスキルを使ってくれる人は、僕の話をちゃんと聞いてくれるから好感度は上がりそうだね)


「それは良かったです、けどさっきの騒ぎであまり目立つような行動が出来なくなりましたね」

「何かされる予定でも?」

「いや、僕は識別や鑑定のスキルを持っているのでそれで何か商売でも出来ないかな?と思っていたので」

「そうでしたか、それは申し訳無いことをしました。」


この町ではもう鑑定を使ってお金を稼ぐのは無理そうだった。まああれだけの騒ぎになったので当たり前のことである。


「ところで、盗賊団って何かしているんですか?」

「ええ、まあ、街の外で町に住んでる人たちが襲われる事がありまして。その被害が最近多くなってきていて」

「そうでしたか」

「中には帰ってきていない人もいるみたいなので、どうにか対策を考えていたのですが」

「そんなに強い盗賊団なんですか?」

「ええ、この町にいた護衛を雇っていた商人も被害に遭われていたので」

「その護衛の人のLvは?」

「70位だと聞いています。職業は平民だったみたいですが」


(あれれ?僕はLv1も無いのですが?Lv70の人を倒す盗賊団が近くにいるとか生きた心地がしないんだけど?早くこの町から離れた方がいいのかも、ん?でも街の外に出たら襲われる可能性が有るんじゃ?でも街の中に居ても好感度マイナスのスキルで身の危険もあるよね?あれ?詰んだか?)


「盗賊団を捕まえれる人は居ないんですか?」

「国に依頼すれば何とかなると思いますが、恐らく依頼しに行く道中を襲われてしまうでしょうね」

「それじゃ僕も襲われる可能性が高いと思った方がいいですかね?」

「ええ、申し訳ありませんが、そうなる可能性は高いと思われます」


(うん!詰んだね!二つ目の町で詰んだね!ザイルさん色々教えてくれてありがとう!約束は守れそうにないや!)


「しょうがありませんね、悪いのは盗賊団の人なんですから」

「そう言ってもらえると助かります、では私はそろそろ仕事に戻りますので」

「それじゃ僕も失礼します」


僕はようやく解放されて街の中を見て回る。

街の人達は変わらず、あの視線を送って来ている。

そこで宿屋らしき看板を付けた建物を見付けて中に入る。

一泊木貨20枚らしい。

3泊分支払っておく、前の村で滞在できた分だ。

案内された部屋で僕はくつろぐ。


(ここの所固い地面ばっかりだったから、ベッドが柔らかくて気持ちいいな、さてと詰んだけど、これからどうしようかな?まずは盗賊団を潰す、これは無理だろうな、Lv差がありすぎるし、団員の人数ですら分かっていない。次はこのまま盗賊団が対処されるまで待つ、現状この町の人達では無理だろうな、次は対処せずに、この町から出ていく、これは自殺行為、最後に盗賊団に取り入る。スキルの影響で無理だろうな)


今の所盗賊団の問題が解決しないと、この町から出られないし、この町に滞在し続けてもいずれ町の人達から危害を加えられるだろう。

ザイルさんの村でも危なかったのだ、この町は僕が来る前に盗賊団に襲われていたから、外から来た人間の好感度は低いだろう。そこにスキルが影響するのだから、長い間滞在すると、きっとどこかで襲われるだろう。


(考えていても今はどうにも出来ないし、他の事を考えるか、現在の所持金は木貨226枚、これからも旅を続けるならもう一つ同じサイズの袋と財布用に小さい袋、食料と水は絶対に必要になるよね、後は防具、回復アイテム、新しい服くらいかな?食料と水は出る時に買うとして、他は今から買いに行こうかな?)


僕は宿屋を後にして街を歩いてお店を探すことにした。


ザイルさんの村とは違い色んなお店があった。

派手な衣装を売ってる店や、宝石店、壺ばかりを売ってるお店もあった。食料を扱っている店はチラホラ見かけた。

その中から目当てのお店を探すのは苦労した。

二つの袋を購入して宿に戻り、荷物を整理してお金とステータスカードだけ持って外に出る。街の中で武器を所持している人はほとんどいなかったからである。


しかし、不思議な感じだ。特に工場みたいな建物が無いのに街は商品で溢れている。どういう事だろう。畑等も無いのに食料で溢れている。街は今、盗賊団に襲われていて外からの補給が出来ない筈なのに町の人達は慌てている様子もない。


(何も不都合が無いのかな?)


しかし、リースさんは困っている様子ではあった。

どういう事だろう。

そんな事を感じると空腹感を感じたので飯屋を探した。


料理店があったのでそこで食事をすることにした。

店に入り適当に注文する。店員さんは嫌そうにしていた。店の中で楽しそうに話していた、お客さんは僕を見ると黙り、チラチラとこっちを見ている。


(このスキルはホントにきついな。まともに食事も出来やしない)


そこで料理が運ばれて来る。

一口食べてみた。


(うまい!なんだこれは!店で売られている食料とは比べられないくらいにうまい!)


僕はがっつくように食べた。一心不乱に食べた。

あっという間に完食してしまった。

落ち着かせるように水をゆっくりと飲む。


恐らくこれが料理人の職業なのだろう。これは是非とも取得したい!が取得条件が分からない。

そんな事を考えていると、


「酒だ、酒!酒を持ってこい!」


と大きな声が響いた。

そこにはデブで綺麗な服を着ている、チョビヒゲの顔を赤くしているおっさんがいた。


「お客様、あまり大きな声は、」

「うるさい!金はあるんだ!さっさと持ってこい!」

「…かしこまりました、少々お待ちください」


どうやらかなり酔っているようだ。

周りの客もざわめいていた。

その声に耳を傾けると


「アイツってこの前盗賊団に、」

「そうそう、凄腕の商人だったとか、」

「なんでも護衛ごと盗賊団に奪われたとか」

「護衛も?」


とかなんとか話していた。

すると店の奥から一人、長身で体つきのいい男が汚れたエプロンを付けて出てきた。


「お客さん!あまり騒がれたら困るんですがね!」

「何だと!私は客だぞ!」

「ならお金を払ってくれませんかね?」

「いいだろう!ほらよ!」


デブのおっさんは手のひらサイズの箱を取り出した。箱を開けて銅貨を2枚取り出した。エプロンの男はお金を受けとり、そのお金を店員に渡して


「まいど、おい!お客さんのお帰りだ!」


と言い、片手でデブのおっさんを持ち上げた。


「おい!何をする!離せ!」


デブのおっさんは暴れるがエプロンの男は特に気にしていないように男を店の外に連れ出す。

後ろからお金を受け取った店員が、お釣をデブのおっさんのポケットに入れる。


「またのご来店をお待ちしております!っと」


エプロンの男は店の外にデブのおっさんを投げ出した。

エプロン男はすぐに店の奥に入っていった。


周りは静かになる。


(あっ!水が無くなった、僕もそろそろ出ようかな)


僕は勘定を済ませる。木貨73枚した。かなり高かった。今度からは食料を買う事になりそうだ。


店を出ると目の前にデブのおっさんがいた。

デブのおっさんは無様に倒れて、いや寝ていて、違う!気絶していた。


(どうしようかな?助ける?助けない?)


コイントスをする。表が出る。

僕はデブのおっさんを担いで宿屋に戻る事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ